「マツケンサンバ」を初めて観た日 遠い目をした遠藤 太津朗さん

「面白いモノを観せてあげる」

そう言って、演劇関係の仕事についた友人が連れて行ってくれたのは、松平健さんの舞台だった。今から20年ほどの前のことである。

そんなことを、思い出したのは今日、「あいつ今何してる」で松平さんの「マツケンサンバⅡ」を久しぶりに聴いたせいだ。

舞台は二部構成で、一部が松平さんの代表作「暴れん坊将軍」二部が「歌う絵草子」だった。

『暴れん坊将軍』がまあ、ごくまっとうに終わり、休憩のあと、始まったのは時代劇とは全く違う世界だった。

「ここは、宝塚?」と見まごうばかりのキラキラしたセットの世界。

そういえば、松平さんの奥様(当時)宝塚出身の大地真央さんだったわ。奥様の影響で宝塚の演出を取り入れているのか……。でも、ごくまっとうな時代劇のあと、斬新すぎる……。

そんなことを思っていると、松平さんがキラキラ光る素材の着物を着て登場し、そのバックには宝塚感あふれる女性ダンサーの他にも、先ほどまで、時代劇で渋い演技をみせていた俳優さん達がトランプのマークの電飾を背負って、松平さんの後ろで踊っているのだ。

そこで、歌われたのは「マツケンサンバ」。

友人が私に観せたかった「面白いモノ」だ。

ちなみに、「オーレ、オーレ、マツケンサンバ~」で一大ブームになったのは「マツケンサンバⅡ」。

私が観たのは、その前のマツケンサンバファーストとも言うべき、「マツケンサンバ」で、当時は、松平さんの舞台を観に行った人しか知らない、知る人ぞ知る歌だった。

その衝撃は凄ましく、なんの前情報もない私も、知っていた友人ものけぞって笑ってしまい、周りの観客から白い目で見られた。

舞台を観る時は必ず持っていっていた、オペラグラスで舞台を観ると、松平さんのバックで踊る役者さんがノリノリの人もいれば、「なんで俺はこんなことをしているのだろう」と、遠い目をしている人もいた。

遠い目をしていた人。

それは、遠藤 太津朗さん。

『銭形平次』で平次を敵視する岡っ引き三輪の万七役で知られる強面の役者さんだ。

そりゃ、遠い目をするよな。

「マツケンサンバ」も面白かったけど、遠藤さんの遠い目が忘れられない。

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