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『音楽文』なぜ米津玄師のニューアルバムは“STRAY SHEEP”なのか 「どうか迷える我らを救いたまえ」


2020年6月23日♥230
 約3年ぶりの米津玄師アルバムの発売が発表された。題名は“STRAY SHEEP”。
 「米民」と呼ばれる米津さんのファンのTweetを見ると、見事に二つに分かれていました。
 「“STRAY SHEEP”、聖書のマタイ伝のあれね。漱石の『三四郎』にもでてきたやつね。」
 あたりまえのように知っているという反応。
 「スト……なんて読むの?」
 まるで、知らないという反応。
 この2つのタイプは通常は相いれません。米津さんの「ニュースゼロ」出演時の言葉を借りれば、お互いに「対岸にいる人」。
 ですが、2つのタイプは米津さんによって、纏められました。米津さんのファンであるという共通点で。
 米津さんが“STRAY SHEEP”という題名を選んだのは、今までの題名、歌詞から考えると、いくつもの意味が重なっていると思われますが、この題名にしたことで、“STRAY SHEEP”という言葉を知り、理解しようとする人、“STRAY SHEEP”を知らない人をも、侮ったりせずに同じく自分と同じ米津さんのファンだと思う人が増えると思います。
そして、ストレイシープ、迷える仔羊は聖書のマタイ伝では、「一匹のいなくなった羊を探すために、残りの九十九匹の羊を野原に残して探しに行く」という物語です。
これは2019年の米津さんのライブ「脊椎がオパールになる頃」幕張最終日で米津さんのMC「船から一人も落っことしたくないなと思うんです。出来る限りですけど」と通じるとも思います。
私個人的にですが、この物語を「多数が正しいとは限らない。たった一人、それが周りに理解されなくても、正しい場合がある」と捉えています。米津さんがそう、思っているかどうかはわかりませんが。
 知識があるだけで、相手を思いやる心がないと意味がないですが、知識があることによって、相手の立場を想像する足掛かりになるのは確かですから、あえて、ありきたりな“STRAY SHEEP”という言葉をえらんだのではないかな、米津さんは。
そして、“STRAY SHEEP”で「どうか迷える我らを救いたまえ」“砂の惑星(+初音ミク)”。

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