見出し画像

四国アイランドリーグplusでリーグのデータ活用を推進する仕事を始めました

はじめに

2022年の9月にIPBL(日本独立リーグ野球機構)のグランドチャンピオンシップでの解説のお話をいただきまして、新潟で監督をされている橋上秀樹さんとスポーツナビの配信でご一緒させていただきました。

今年からはスポーツナビでも四国アイランドリーグplusの一球速報が行われるなど、独立リーグの中でもデータを活用した取り組みが進み始めています。

そのような中で、リーグでデータを活用する取り組みの推進役をやってほしいという話をもらいまして、四国アイランドリーグのplusの「新規事業担当/アナリティクスディレクター」という肩書きが出来ました。

そもそも、公式HPに飛んでいただければわかりますが、リーグを主務として運営している方は4人しかいないです。

この4人も全員が100%リーグの運営に関する業務をやっているわけではなく、新しいことをやるというリソースはとても少ないのが実情です。

四国アイランドリーグplus運営事務局のメンバーと連絡先。
スポンサー、パートナー企業大募集中です。

このような環境の中で、自分のような外部のリソースを使って環境を整備する動きを始めてみようとなった。と理解しています。

リーグでデータを活用するとは?

今回の最大のポイントは「チーム、球団」単位ではなくて、「リーグ」としてデータを活用するとはどういうことか?という点にあります。

しかも、基本的には顧客情報ではなくて、選手のパフォーマンスに関する情報や試合のスタッツのデータが対象です。

詳しくは下記のnoteで書きましたが、チームが主体となって選手のパフォーマンス向上を目指す上での課題は構造化されてきています。

一方で、リーグやチームが主体となって顧客情報をどう管理してマーケティングにつなげるか?という話も、一般的なtoCビジネスのマーケティングの延長線上に存在します。

プロスポーツリーグでは例えば、下記リンクのJリーグの例がよく取り上げられます。

今回のメインはそのどちらでもなくて「リーグが主体となってパフォーマンスに関するデータやスタッツをどうマネジメントし、チームや選手のパフォーマンス向上の環境整備やビジネスにつなげるか」がポイントです。

結果的に、リーグの価値向上にどう繋げられるか?が鍵となります。

客観的な情報の活用は「人材育成」に欠かせない

ここで、四国アイランドリーグplusのHPに載っている、リーグの役割を見てみると、3つの役割が書かれていると分かります。

・人材育成
・野球界をはじめとするスポーツ界の裾野拡大
・地域の活性化と地域貢献

https://www.iblj.co.jp/league/ 「四国アイランドリーグplusの役割」より

独立リーグは地域に根ざしたプロ野球リーグですので、「野球界をはじめとするスポーツ界の裾野拡大」と「地域の活性化と地域貢献」はどのリーグもおおよそ共通する内容なのですが、四国の特徴は「人材育成」を役割の一番最初に持ってきているところでしょう。

四国アイランドリーグplusの役割のひとつ「人材育成」の記述

実際に、HPには「セカンドキャリアプロジェクト」の内容も記載されており、個人事業主としての選手の価値向上や、社会人としてのリテラシー向上に対して力を入れているリーグと言えます。

現代社会はスポーツであれ一般企業であれ、客観的な情報を踏まえて意思決定をする能力が求められますから、リーグとして選手やチームのスタッフがパフォーマンスのデータを把握し、情報を取捨選択できる環境を整えることは、リーグの掲げる人材育成の役割に大きく貢献するものと考えています。

また、近年のNPBは情報活用の高度化が著しいという背景もあります。主に予算規模の圧倒的な違いによって、独立リーグとNPBの各球団では現場での情報活用の規模や質が大きく異なります。

下記は5/20に行うスポーツアナリティクスジャパン(SAJ)2023でのセッション内容の一部ですが、プロ野球選手未経験のバイオメカニクスの専門家がコーチになるなど、過去にはない変化が起きています。

5/20に行われるSAJ2023「常勝軍団を目指す横浜DeNAベイスターズのデータ活用の現状と展望」のセッション

また、侍ジャパンをWBC優勝に導いた栗山監督のこのコメントからも、時代の大きな変化を予感できます。

今回はアナリストという職種にフォーカスを当て、大会でどんな役割を果たしたかを栗山監督が語る。また、今回のWBCだけではなく日本ハムで10年監督を続けた経験から、栗山監督はアナリストの存在が今後さらに重要になると考えているという。「日本の球団の真ん中にいるという時代が必ず来るので、夢を見ながら、そこに向かってほしい」とメッセージを送った。

https://www.sanspo.com/article/20230512-OTO7B74VTFKDJJEXBLCCDODW7I/

このような四国アイランドリーグplusの人材育成の役割や、プロ野球界の変革という時代背景からも、選手がより身近に感じられるパフォーマンスのデータに関して、リーグとしてデータ利活用の環境を整えることの重要性がうかがえます。

「ドラフト会議」に向けた盛り上がりを作る

最後に、具体的にいまどう動いているのか?について記します。

リーグのnoteを作ったので、こちらに情報をまとめていきます。

内容としては、いま存在する1球ごとの速報値レベルのデータの集計を初手としつつ、試合中のトラッキングデータのプレ導入とデータの公開を検討しています。

目的としては、今秋のNPBドラフト会議で多くの選手が指名されるために、最低限、四国アイランドリーグplusの注目選手の客観的な情報が世に出ていないということを避ける。ことです。

去年は自分にも詳細データはないけどデータコラムを書いてくれという、アナリストへの依頼としては難しいお題をいただき、下記のコラムを数本執筆しましたが、今年はもっと詳細なデータを元に、注目選手を事前にピックアップできると思います。

また、自分の本来の役割はあくまでもディレクションなので、このような四国アイランドリーグplusの取り組みに協力していただける方がいらっしゃいましたら、ぜひご相談したいです。

具体的には「1球ごとのデータをお渡しするのでコラムを書いてほしい」というような相談をすると思います。そもそも、データを公開しておくことも考えています。

 個人的に8月に高知で試合配信のデータ解説役をする機会があり、現地で高知、徳島、愛媛の試合を見たが、その際に特に印象に残ったのは茶野の加速力だった。また、徳島の松澤裕介コーチからも茶野の紹介コメントが届いているので、プレー映像とともにチェックしてほしい。

https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/2022092800005-spnavi

スポナビのコラムから引用していますが、去年注目していた茶野選手が今年開幕から大活躍していることは個人的にも嬉しく、来年はこのような体験をしていただける人、ファンをもっと増やしたいと思っています。

以上、簡単にはなりますが、四国アイランドリーグplusでの取り組みを始めていますので、ご紹介しました。

1球ごとのデータを簡易的に集約するシステムの構築まではある程度できているので、前期のシーズンが終了する前には、ちょっとずつ情報を出すことができると思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?