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342 国境の長いトンネルを抜けなくても雪国であった。冬訪ねたい群馬・水上

日本を代表する小説家、川端康成。その代表作である「雪国」は「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」というくだりで物語が始まります。
ここでいう「国境」とは群馬県と新潟県の県境のことであり「トンネル」とは両県境を結ぶ国鉄上越線の清水トンネルのこと。昭和6年の開業時は東洋一の長さを誇るトンネルでした。群馬県からトンネルを抜けて新潟県に入ると車窓が一面の銀世界に変わっていた。そんな情景が描かれています。

でも実はトンネルの手前、群馬県北部も結構な豪雪地帯ですよね。

雪化粧した静かな温泉街で自分時間を楽しむ

ここは新潟県との県境に近い群馬県みなかみ町の水上駅です。水上温泉の玄関口で新幹線開業前は新潟方面の特急が通ってかなり賑やかでした。

駅前の通りは御覧のとおり。結構雪が残っていますね。

水上温泉きっての景勝地、諏訪峡も雪化粧しています。川のほとりに温泉街が広がっています。

わたしが今回泊まったのは、温泉街を抜けた先にある宿「みなかみの自然を楽しむ宿 MICASA」。全部で12室しかない小さな宿です。

ロビーから眺める景色にも雪。ただ室内は温かく、旅館の方も温かく出迎えてくれて温かい気持ちになりました。MICASAとはスペイン語で「わたしの家」。家族で経営されていることもあってかまるで家に帰って来たかのようなおもてなしを受けることができました。

写真には撮れませんが、温泉は源泉かけ流し、ひのきのいい香りのする風呂や露天風呂が楽しめます。雪化粧した谷川連峰を眺めながらゆっくり温泉を楽しむのはこの季節しか味わえない贅沢です。

近年の水上温泉は団体旅行から個人旅行への転換や交通網の変化の波にのまれて苦境に立たされていますが、このように新しい時代に対応した宿もできています。駅から近く東京方面からローカル線でのんびりやってきて団体客のいなくなった静かな温泉街で自分時間を過ごすにはちょうどいい場所ではないでしょうか。

登山の前にプチ登山?日本一のモグラ駅・土合(どあい)駅

さて、翌朝宿を出たら水上駅からさらに山の方に向かってバスに乗ります。温泉街とは比べ物にならないくらい雪が積もっています。

下車したのはJR土合駅前。あのとんがり屋根の建物が土合駅です。駅までの道は除雪されていますがそれでも駅にたどり着くのに一苦労です。

周りに民家は殆どありませんが、登山客が谷川連峰に登るのに利用しています。冬でも登る人がいるといいますから驚きです。
そして、この駅は鉄道マニアもよく利用します。わたしもその一人なんですが、なぜか。

この看板にそのヒントがあります。

この駅、上り線は駅舎を出てすぐのところにホームがあるのですが、

下り線はこ~んな長い階段を下った先にホームがあります。階段は462段。わたしは下っていく方ですが、登りはかなりしんどそうです。東京方面からの登山客はここを登ってから登山に向かうらしいんですが、彼らにとっては準備運動に過ぎないのでしょうか。

462段階段を下りた先に下り線ホームはありました。電車が来ない時間はひっそりとしてさびしいですが、安心してください、電車はちゃんと来ますよ。

長いトンネルを抜けて「雪国」越後湯沢駅へ

川端康成も通った清水トンネルを抜けて越後湯沢に来ました。当然こちらも雪化粧です。

越後湯沢は新幹線駅ということもあり賑やかです。温泉街に繰り出すのもいいですが、時間に限りがあっても駅内でお酒を楽しめる「ぽんしゅ館」やお酒の入った温泉も駅内にあり、立ち寄りでも十分楽しめる駅です。

トンネルの手前も抜けた後も雪国の群馬・新潟県境。冬こそ屈指の豪雪地帯に遊びにぜひお越しください。


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