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キミはイノマーを知ってるかい?

「家、ついて行ってイイですか?」イノマーの妻の回

 これは、テレビ東京の番組「家、ついて行ってイイですか?」で、以前に放送されたイノマーの妻の回を再編集した特別編を観たときの話。
 見逃し配信サイト「TVer」で、しばらくの間、見れたんだけど、すでに配信終了となってしまっている。
 周りの友人たちには、配信が終了する前に、ぜひ観て欲しくて、インスタにはすこし前にアップしたけど、本当はnoteに書いておこうと思っていた長いバージョンをいまさらながら。

「オナニーマシーン」ってバンドのボーカル イノマー

 イノマーは「オナニーマシーン」っていう、ちょっと物騒な名前の性春パンクバンドのボーカルだったらしい。らしいってのも、自分はこの手のバンドに、あまりハマったことがないので、この番組を観るまでは知らなかった。

 イノマーは、それ以前は音楽雑誌の編集者として、「銀杏BOYZ」の前身である「GOING STEADY」や「サンボマスター」や「氣志團」を、誌面を使ってフックアップしたひとなんだそうだ。
 そのイノマーの内縁の妻に出会ったのが、テレビ東京の番組「家、ついて行ってイイですか?」。

 そんで、そのイノマーと個人的に懇意にしていた、テレビ東京の別のディレクターが、ガンに侵されたイノマーが亡くなるまでを追いかけた映像を撮っていた…そう、イノマーはすでに2年前に亡くなっていて、番組が彼女と出会ったのは葬儀直後のこと。

 彼女を追いかけた、元々の回も良かったのだけど、生前のイノマーの姿を加えた今回の特別編がスゲーかった。

壮絶としか言いようがないドキュメンタリー

 舌下ガンに侵されたイノマーは、舌の大半を切除したので滑舌が悪い。そして、若いゆえガンの進行も早く、転移していく。でも歌う。
 
 まだ、やらなきゃならないことが、たくさんあるからと寿命に抗う。

 そして、こんなバックボーンのひとだから、病のことも面白おかしくするんだけど、後半はもう壮絶としか言いようがない。

 オナニーマシーンの記念ライブが決まっていて、その頃には、彼の病状はは極限状態。会場に向かうのも大変な体調…でも、生きるために、ステージに向かうために、楽屋では無理矢理サンドイッチを口に押し込む。

 本番前の楽屋、本番後の車の中でも、ほぼ "死に体" だったイノマーだけど、ステージに立ったときだけは蘇る。イノマー、凄まじくスゲー!!

 ひとはモチベーションがあれば、医者が考える寿命なんて、いくらでも超える。それは、自分の死んだ親父を見て知ってる。
 4月に余命3ヵ月と言われた親父は、5月に孫が生まれて、翌年の1月4日まで生きたのを、僕は目の当たりにしてるから。

 話を戻して…最期のその日までイノマーを撮るカメラは、残酷なまでに、彼の姿を追い続ける。でも、その中には、イノマー自らが世に出した「銀杏BOYZ」の峯田和伸が見舞いに来たとき、家族の呼びかけにも応えられなくなっていたイノマーが、まさに息を吹き返す。というスゲー!奇跡も残されていた。

 さらに、もうひとりの盟友が江頭2:50で、彼も何度かお見舞いに訪れるんだけど、そんな彼へのメッセージなのか、臨終の時間は2時50分だった。
 

 イノマーは最後の最期までシャレが利いていて、最期の最期までスゲーひとだった。

 ステージ上では素晴らしいパフォーマンスを発揮するアーティストが、ステージを降りたら、とても物静かで…みたいなのは、よく聞く話だけど、命が絶えそうな人間を蘇らせる魔力まであるのかと思った。

 改めて音楽は、ライブは、素晴らしいなぁ。早く大好きなミュージシャンたちのライブを観たいなと強く思った。

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