煙が立ちのぼる、朝。
うちからゴミ捨て場までは徒歩2分。
家を出て、細い1本道を針葉樹の森に向けて入っていく。
てくてく。
川を渡り、森はすぐに抜ける。
畑といくつかの家が見えてきて、景色がひらける。
視線を少し上に向けると、
ばらけて建つ3つの家から
煙が立ちのぼっている。
薪ストーブの、煙突からの煙だ。
冬の朝の清浄な空気のなか、音も立てずに上がる煙は、
静かで、動かない里山の風景に「動」の気配を漂わせる。
見えないところで人が立ち働き、暮らしているという事実を
まるで狼煙のように、知らせる。
「朝がきました」「始まりました」「始まってます」
静と動が共存し、
生命の秘めたエネルギーを捉える、他愛ない美しさ。
その3本のバランスも、どこか絶妙なのだ。
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