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7.がん治療でお悩みの方へ綴る《緩和医療》

どんなに頑張っても、残念ながら手の施しようがない状態に至る場合も少なくはありません。病気と病期が進行したとき、具体的に自分の身体へ何が起こるのか、よく分からないと思います。私は色々な状況の方を見てきたので、どうなっていくかはだいたい分かります。まあ、状態状況によって経過は千差万別とも言えますが、最も人を苦しめるのは痛みです。次は胸水腹水。皮膚を突き破ると超やっかいです。

癌というものは、そこにあるだけでは痛みを発しません。ここが他の病気と大きく異なる点であり、気づいた時には進行癌という状況になる理由です。どんなに大きくなろうとも、症状を出すに至る臓器や組織に影響が及ばぬ限り無症状か軽度の違和感程度でスルーしてしまう。故に、がん検診が勧められるのです。検診の必要性については以前に書きましたので参考にしてください。

その癌が周囲に浸潤(広がって食いついていく)して症状を出すに至る臓器や組織に到達した時、骨に転移した時、かなりの痛みをもたらします。これは通常の鎮痛剤では制御不能であり、麻薬系鎮痛剤を使うしかありません。

麻薬を使うと死期が早まる…

これは絶対に嘘だとは言い切れませんが、実質的に本当ではありません。むしろ、違うと思って頂きたい。これも医学の進歩と言えるところですが、細かく量を調節して痛みを和らげ、日常生活を円滑に送ることができるようになってきています。ある程度、麻薬量が必要になっても、貼る麻薬で身体へ安定供給できるものもあります。

そのさじ加減を得意とするのが腫瘍内科です。私も以前に緩和ケア学会に入っていて勉強会にも参加していたのですが、腫瘍内科専門医の知識量と経験値と薬剤のさじ加減が素晴らしいと思いました。抗がん剤や鎮痛剤、どうせ任せるなら腫瘍内科専門医だなと。まあ、都市部に集中してしまってはいるのですが、、、 地元の病院に在籍しているか確認しておくと良いでしょう。

 *日本臨床腫瘍学会認定の専門医名簿を見ることができます:その病院の外来担当表やプロフィールを確認して意地でも探しましょう。

指導医は専門医の格上で、その数は少ないです。認定医はそれなりに数はいますが、失礼ながら専門医よりは格下ですので、何の認定もない医師よりはましかなという感じになります。あ、私見ですからね、私見。私見。個人的には専門医以上がいいかなあ〜〜〜

緩和医療の本来の目的は「人としての尊厳を保ち、人としての生活を保つこと」であります。単に終末期医療という死を待つだけという印象を日本では持たれていることが多いのですが、まるで違います。たとえ死が避けられないとしても、1人の人としての尊厳を保ち、死を迎えること。それには痛みを和らげることも必要です。家族の苦しむ姿はなるべく見たくないでしょう。

人としての尊厳を保つための医療、それが緩和医療。

そして、突然緩和医療を受けようと思いたってもホイホイとは入れません。何度か経験しましたが、急に入れて欲しいと頼んでも入れません。病状の急変で入院を要する状態と判断して受け入れ要請をかけても、通常の病院ですら断られます。お産と同じで、馴染みの無い末期的患者さんに対して責任を負えないという理由です。どんなに頼んでも受け入れないということは、自宅で死ねと言われているのと同じです。

ですから、不本意かもしれませんけれど、進行した状態であれば早めに緩和医療へ紹介状を主治医に書いてもらい、まあまあ元気なうちに緩和ケアとの繋がりを持っておいた方がよいと思うのです(早期では無理だと思いますけど)。まだ早いと返されることもあるので、ひょっとして訪れるかもしれないその時のために、保険として主治医とは絶対に縁を切ってはいけません。

自然派と呼ばれる方に多いのですが、治療を受けたくないと喧嘩別れで孤立した方、手術が嫌だと補完医療をした結果病状が進行して手術不能でお手上げされた方、三大療法を受けずに悪化した方に医師は冷たいです。

三大療法を断ったとしても、何が何でも主治医とは縁を切らず、時々でも顔を出して欲しいです。なんで検査も治療も受けないのかと悪態をつかれたり、嫌みを言われたりすることもありますけれど、絶対に縁を切らないで下さい。もう来るなと言われても、予約はできちゃいます。で、行っちゃいます。何しに来たと言われても、てへぺろで軽く受け流しましょう。

自分が行っている補完医療の状態把握を知るために検査を受ける事は意味があります。その辺の細かい話も直接お話しした方がいいかな、とは思いますので詳細は省きます。 *https://capybara-tanaka.com

…つづく

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