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悟りギャル

あらすじ: 雨が降り続け、傘を持たずに公園に取り残された主人公は、丸井というクラスメイトと偶然再会する。一緒にベンチに座ることになる。 初めは緊張していたが、主人公は偶然見られてしまった透けたシャツを気にしていた。 、失礼さのあまり、思わず彼にセクシャルな冗談を言ってしまう。たわけではなく、彼女が好きな人には大切にされるべきだと言い、彼女を慰めた。二人は仲良くなり、また雨宿りをする機会を楽しみにして別れた。

「あーあ、サイアク・・・」
季節外れの雨は止む気配がない。
お店に入る余裕もないので、仕方なく公園で雨が弱まるのを待つことにした。
ベンチに座りながら空を見上げる。
雲はどんよりとしていて、厚そうな色をしていた。
まるで今の私の心みたいだなと自虐的な笑みを浮かべる。
バシャと足音がしたほうを向くと、そこにはクラスメートの丸井がいた。
あたしはドキリとして慌てて顔を背ける。
いつもは整っている髪が雨のせいで少し乱れている。
制服のシャツには水滴がついていて、傘を忘れたのは一目瞭然だった。
「あ、こんにちは」
「こんにちは」
他人行儀な挨拶。
方や優秀な委員長、方や不良少女。
共通点など何一つない。
(こんなあたしが話しかけたら迷惑よね)
そう思って口をつぐんだ。
けれど、彼は隣に座ってきたのだ。
それだけで胸が弾んでしまう。
「・・・雨、止まないですね」
「そうですねぇ」
会話終了。
気まずい沈黙が流れる。
このままだと変な空気になってしまうと思い、何か話題を探した。
そして、ふと彼の視線に気付いて己の胸元を見る。
雨でシャツが透けていたのだ。
「~っ!」
恥ずかしくて慌てて前を隠したが、時すでに遅し。バッチリ見られている。
「・・・エッチ」
「見えたんだから、仕方ないじゃないですか」
「うぅ・・・」
言い訳できない。
恥ずかしさで顔が真っ赤に染まった。
(丸井君でも、こういうの興味あるのかな?)
チラリと横目で彼を見ると目が合った。
そのままジッと見つめられると、恥ずかしさのあまり変なことを口走る。
「ま、丸井君って童貞?その歳でまだ経験してなかったらウケるんだけどw」
「は?」
彼は眉間にシワを寄せて不機嫌そうな表情になる。
(あーもう、なんでこんなことしか言えないのよー!)
そう思いつつも口を閉じることはできなかった。
「今勃ったら抜いてあげるけど、どうするぅ?」
そう言って胸を強調させるように腕を組む。
すると、なぜか彼はため息をついた。
「バカなこと言わないでください」
「ハイ、そうですよね、スミマセン・・・・」
あまりにも冷たい反応に肩を落とす。
嫌われたかと思って不安になった。
しかし、それは違ったようだ。
「そういうことは好きな人とだけやってください」
呆れたような声音だが、それでも私のために言ってくれていることだけはわかった。
だから、私は嬉しくなってつい調子に乗ってしまう。
「じゃあさぁ、もしあたしのこと好きになってくれたら抱かせてあげようか?」
「・・・本気で言ってます?それ」
「もちろん本気。あたし、嘘つかないし」
「・・・じゃあ、僕があなたを好きになったら抱かせてくれるんですね」
「うん♪」
冗談半分で言ったつもりなのに真剣な眼差しを向けられて戸惑ってしまう。
それに気付かれまいとしてわざと明るく振舞った。
「そ、そろそろ帰ろっかな」
立ち上がって歩き出す。
けれど、彼に手を掴まれてしまった。
振りほどこうとしてもビクともしない。
「え?ちょ、おかむ・・・んっ!?」
唇を奪われる。
突然の出来事に頭がパニック状態だ。
そのまま腰を抱かれ、敏感な私のカラダはほんの少しイッてしまう。
ただの軽いキスだったけど、頬に縋られ、頭の中がクラクラとした。
「・・・約束しましたからね」
耳元で囁かれる。
それだけでゾクリとしてしまった。
彼が去ったあとも、しばらくボーっとしていたと思う。
(ヤバイ・・・もしかしてあたし、ヤバイ人に惹かれちゃったかも)
雨はいつの間にか止んでいた。
[newpage]
「石出、今日ヒマ?」
クラスメートの時田に話し掛けられる。
コイツは彼氏でも何でもないが、時々遊んで、時々体の関係を持っている男友達だ。
「特に予定はないけど」
「なら放課後カラオケ行かね?奢るからさ」
「えっと…ちょっと待って」
あたしはチラッと隣の席を見る。
そこには優等生でクラス委員長の丸井がいた。
いつものように真面目な顔つきで授業を受けている。
(アイツ、よく毎日飽きずに勉強できるわよね・・・)
そんなことを考えながら返事をした。
「ごめん、やっぱりやめとく」
「はぁ!?お前が来ないと盛り上がらないじゃん!」
「本当にゴメンってば」
あたしが謝ると時田は不機嫌そうな顔をした。
それから何も言わずに立ち去って行く。
ほっとすると同時に罪悪感も湧いてきた。
(時田、怒ったかな…でも、遊ぶ気分になれない)
昨日のことを思い出して胸がドキドキする。
そして、それと同時にムラムラもしてきた。
(丸井君に触られたいなぁ・・・)
そう思うといてもたってもいられない。授業が終わると同時に教室を出た。
目指す場所は決まっている。
保健室に駆け込み、養護教諭である先生に声をかけた。
「せんせぇ、お願いがあるんだけどぉ」
「あら、どうしたの?」
「実は生理痛が酷くてさ、ベッド借りてもいい?」
「いいけど、大丈夫?」
「うん、平気平気。じゃあ、お言葉に甘えて失礼しまーす」
「はい、お大事にしてね」
あたしは制服を脱ぎ捨てて下着姿になると、そのまま布団の中に潜り込む。
そして、スカートの中へと手を伸ばしてオナニーを始めた。
(あっ、これヤバいかも・・・)
すぐに気持ち良くなってきたが、イケない。
理由はわかっている。指だと奥まで届かないからだ。
もっと深くイキたいのに、それができない。
そう思った途端、無性にイラついてくる。
「あーもう、なんでよ!こんなんじゃ全然満足できな……」
「何が満足出来ないって?」
「ひゃあんっ!?」
突然後ろから抱き締められて、無防備な声を出してしまう。
「と、時田…なんでここに…」
「オレが保健室来たらおかしい?なんかヘンだと思ったら、お前丸井とヤッたのか?」
「ちっ、ちがう……これはその……」
焦りすぎて上手く喋れない。
言い訳を考えているうちに押し倒されてしまった。
「ちょっ、やめて!先生呼ぶわよ!」
「残念だけどセンセは居ねぇぞ」
「なっ……アンタまさか最初から」
「ああ、先生には『調理室で負傷者が出たので見てあげてください』って言っておいた」
「ふ、ふざけんなぁ!!」
あたしは力いっぱい抵抗するが、ビクともしない。
それどころか腕を押さえつけられてしまった。
「くそっ、離せっ!」
「暴れんなって。今からちゃんと可愛がってやるからさ」
「誰がっ、あっ♡」
いきなり乳首を摘ままれて変な声が出てしまう。
慌てて口を塞ぐが、遅かったようだ。
「アハハハ、お前マジで敏感なんだな!」
涙目に睨みつけても効果はない。むしろ逆効果だ。
そのままブラを外され、パンツも脱がされてしまう。
「やめろっ、見るなぁ!」
「うるさい口はこうしてやるよ」
唇を奪われる。舌で無理やりこじ開けられてしまった。
その間も彼の右手はあたしの胸に触れている。
そして彼の一物があたしの膣内に挿入された。
(ヤダヤダッ!!助けて、誰か・・・)
心の中で必死に助けを求める。
けれど、当然誰も来ない。
あたしは無様にも快楽に屈してしまった。
――"そういうことは好きな人とだけやってください"
不意に、彼の言葉が蘇る。
「・・・めて」
「あ?何か言ったか?」
「離れてって言ってるの!」
私は思いっきり時田を突き飛ばす。それから急いで服を着た。
後ろにいた丸井が突き飛ばされた時田を助け起こす。
「おい、大丈夫か!?」
「いっつつ……んだよ急に」
「・・・丸井君、どうして」
「どうしても何も、きみが時田に乱暴されてたように見えたんだ」
彼はあたしのほうを向く。そして、真っ直ぐに見つめてきた。
「石出さん、昨日のこと覚えてるかな?」
「えっと……うん」
「僕は君を守りたいと思ってる。だからもし困ったことがあったら遠慮なく相談してくれ」
「・・・ありがとう」
嬉しい。でも、同時に不安でもあった。
「・・・丸井君、私のこと好き?」
「・・・」
彼は答えてくれなかった。ただ黙って私を見つめてくる。
いつものように優しい笑みを浮かべているが、どこか悲しげにも見えた。
「ねぇ、僕の家に来ないかい?」
手を握られる。
少し汗ばんでいたが、不思議と嫌ではなかった。
私は小さくコクンとうなずく。
すると、彼は嬉しそうに微笑んでくれた。
そして、私たちは並んで歩き始める。
お互い無言だったが、気まずい雰囲気はなかった。
(どうしよう……なんか緊張してきた)
心臓がドキドキする。手も震えていた。
(大丈夫、ちょっと寄って帰るだけだもん)
自分に言い聞かせるように何度も呟く。
そして、ついに彼の家に着いた。
玄関に入るとすぐ横にあるスイッチを押して電気をつける。
靴を脱いで家に上がると、すぐに部屋へと案内してくれた。
「うわっ・・・」
そこには、見渡す限りの古いレコードやCDがあった。
床には大量の本もある。まるで図書館みたいだ。
「ごめんね、汚いところ見せちゃって」
「そんなことないけど……すごい量だよね」
「まあ、昔から音楽が好きでさ。つい集めすぎちゃって」
照れ臭そうに笑う彼。とても可愛いかった。
「適当に座っていいよ」
「う、うん……」
どこに座ろうか迷っていると、彼が手招きしてくる。
仕方なく隣に腰掛けると、頭を撫でられた。
「よし、じゃあやるか!」
「何を……ひゃっ」
何をされたかと思えば、私の頭にはヘッドフォンが装着されている。
「えっ・・・な、何?これ・・・」
「これなら集中して勉強できるだろ?」
「べ、勉強?」
彼はキョトンとしたままのあたしの手を引く。
「それとも、こっちのほうが良い?」
そのままベッドに押し倒された。
「ちょっ、なにしてんの!?」
「何って・・・ナニだよ。ちなみにこの部屋、防音対策はバッチリだから」
耳元で囁かれる。吐息がくすぐったくて身をよじれば、彼はクスクスと笑っていた。
「なんてね。今日は石出さんに、たくさん俺の好きな曲を聴かせようと思ってさ」
「そっか……」
「イヤだった?」
「ううん、全然!むしろ聴きたかったかも」
「よかった。実はお気に入りの曲があるんだ。聴いてくれる?」
「もちろん!」
彼のおすすめの曲はどれも最高にカッコ良かった。
歌詞も英語なのでよくわからないが、それでも素敵だと思った。
「beyond the sunriseって何?」
「直訳すると"朝焼けの向こう側"って意味だね。beyond the sunrise,if the stars were gone, I'll be with you forever・・・"太陽が昇って星が見えなくなっても、ぼくはきみと一緒に居たい"」
「・・・」
「・・・石出さん?」
ハッとして顔を上げる。いけない、すっかり聞き入ってしまった。
私は慌てて首を横に振る。
「あっ、なんでもないから続けて」
「ふーん・・・わかった」
いつの間にか時間が過ぎていく。
気付けば外が暗くなっていた。
「もうこんな時間なんだ……ごめんね、遅くまで付き合わせちゃって」
「気にしないで。うちは放任主義だから。泊りで帰ったってなんにも言われないもん」
本当は家族に内緒だけど。でも、彼ともう少し一緒にいたかった。
時計を見れば、時刻はすでに20時を過ぎている。さすがに帰らないとマズイだろう。
「送っていくよ」
そう言って立ち上がろうとする彼。しかし私は服を引っ張った。
「石出さん?」
「・・・あのさ、お願いがあるんだけど」
「どうしたの?」
「その・・・まだ帰りたくないっていうか」
恥ずかしくて顔を逸らす。
「もっと丸井君のこと知りたいし、それに……私も丸井君と仲良くなりたくて……」
「・・・」
返事がない。不安になってチラッと横目で見ると、彼は優しそうな笑みを浮かべていた。
「ありがとう。僕も石出さんの事、もっと知りたいな」
ギュッと抱きしめられる。そして、そのままキスをした。
永遠みたいな、優しくて、それでいて甘い口づけ。
やがて唇が離れると、私たちは見つめ合う。
お互いに照れ笑いすると、彼が名残惜しそうにつぶやく。
「・・・でも、今日はここまでかな」
「えっ?」
「きみのご両親に迷惑を掛けたくないからね」
「・・・わかった」
帰り道、家の前で彼に聞く。
「・・・丸井君、私のこと好き?」
「・・・」
彼はやっぱり答えない。
「・・・太陽が昇って星が見えなくなっても、ぼくはきみと一緒に居たい」
「えっ?」
「さっきの歌の歌詞だよ。今はそれで許して」
困ったように微笑む彼。
「また明日ね」
「うん……」
額に柔らかい感触がする。
そのまま手を振って別れた。
(…夢でも見てるみたい)
家に帰ってからも、ずっとドキドキしていた。
額を撫でながら、ベッドに寝転ぶ。
(なんで・・・あたしなんかと)
考えれば考えるほど、思考はぐるぐると回る。
「はぁ・・・」
思わずため息が出る。もしかしたら、何か裏があるんじゃないかって。
何か隠してるんじゃないかって、そんな気もちにさえなる。
「・・・byond the....何だっけ?」
慌てて英語辞書を引っ張り出す。それから覚えている単語を片っ端から調べ、ノートに書いていく。
それだけでも、まるで恋文をしたためているような気分になった。
「・・・これじゃあ、まるっきり乙女じゃん!」
自分で自分の行為に呆れる。こんな気持ちになるなんて、思ってなかった。
「・・・」
結局、その日は眠れずじまいだった。
それでも英語を学ぶことがこんなに楽しいと思ったのは、初めてだった。
[newpage]
彼女、石出由愛に恋をしたのは、10月も終わりに近いころだっただろうか。
社会科の授業で、「なぜ戦争が起きるのか」という問いが出された。クラスの皆は一様に「民族や宗教の違い」と答えていたが、彼女は少し違った。
「自分の信念のために戦うなんて、なんだか子供みたいね」
クスリと笑って呟く彼女に、俺は雷に打たれたかのような衝撃を受けた。
今までの人生で、こんなにも世界を客観的に見れる人間に出会ったことがなかった。
俺は彼女のことがもっと知りたいと思い、彼女のことを観察した。
だがそれは逆効果だったようだ。
彼女を意識すればするほど、彼女のことがますます分からなくなり、そしてますます惹かれていった。
スラリと通った鼻筋に大きな瞳。美しさのなかにあるミステリアスで大人びた雰囲気。
石出さんは、俺が知っているどんな女の子よりも魅力的に見えた。
だからあの雨の日、つい大胆な行動に出てしまい、我ながら動揺した。
嫌われたかもしれないと心配したが、それは杞憂だったことに安心した。
石出さんと仲良くなりたい。
俺のことを好きになって欲しい。
彼女ともっと一緒にいたい。
でも、これ以上近付くにはどうしたらいい? どうやったら振り向いてくれるんだろう。
そんなことを考えていたとき、ふと、ある歌を思い出した。そうだ、あれなら……。
「…石出さん、入れるよ…?大丈夫、熱くないから」
「う、うん…」
放課後の理科室。熱いフラスコを二人で持つ。
そして中の液体をもう一方に流し込む。すると、化学反応によって液の色が変わるのだ。
「わぁ…」
「ね?きれいだろ」
「スゴイ…こんなに変わっちゃうんだね」
彼女は筋が良く、一度学んだことはスポンジのように吸収していった。そしてそのたびに、新しい表情を見せてくれた。
「石出さんは化学が好きなの?」
「うん!特にこの反応とか、見てて飽きないし」
「そっか、それならよかった」
そして、石出さんの笑顔を見るたび、胸が高鳴った。
こうして毎日「理科の補習」と称して二人きりで実験をする日々は、楽しかったけど、同時に苦行でもあった。
気持ちを伝えたいと思う反面、関係を壊したくないという思いがあったからだ。
でも、ある日、決定的な出来事が起きた。
「ねえ、丸井君ってさ、教室にいるときと別人みたいね」
「そう?まあ、学校では真面目キャラやってるからな」
「あれってキャラだったの!?」
「そうだよ。がっかりした?」
彼女が黙りこむ。しまったと思ったがもう遅い。
そのとき、彼女の顔が真っ赤になっていることに気がついた。
「わ、わたしは……ふだんの丸井君のほうが好きだなあ」
もじもじしながら言う彼女に、心臓を撃ち抜かれる。
(ああ、神様)
(どうか、これが夢ではありませんように)俺は心の中で祈りを捧げると、彼女の手を取った。
「……ありがとう」
「丸井君…」
それからしばらく見つめ合い、どちらともなくゆっくりと顔を近づける。
しかしそのとき、突然扉が開かれた。
「おーい、まだ残ってるか~?」
「あっ、先生…きゃ!?」
俺は彼女の腕を引っ張り、机の下に潜らせた。
「あれ?人の声がしたと思ったんだが」
実は理科室は許可を得て使っているものではない。
普段から鍵をかけていないうえ、誰かが来ることなどめったにないので油断していた。
このままだと見つかってしまう。
(どうしよう)
「……丸井君?」
不安そうな声で名前を呼ばれる。
今、ここで言わなければ、離れていってしまう気がして、俺が思わず言ってしまった。
「由愛、好きだ」
「えっ」
彼女の唇をふさぐ。その瞬間、脳天まで突き抜けるような幸福感に襲われた。
やがて足音が遠ざかり、完全に聞こえなくなると、俺は体を起こした。
彼女のほうを見ると、彼女の目からは涙が流れ落ちていた。
「どうして泣くの?」
「だ、だって…私は汚れてるし……」
「うん、知ってるよ」
「それに女子力もないし…気立ても良くないし、空気読めないし」
ポロポロと涙をこぼす由愛。
「それでも好きなんだよ」
「でも……」
「君が好きなんだ」
そう言ってもう一度キスをする。
「私なんかで、本当に良いの?」
「由愛は自分がどんなに可愛いのか自覚してる?」
「へっ?」
「その顔、他の男には絶対見せちゃダメだからね」
そう言うと、また彼女にキスをした。
今度はさっきより深く長く……。
彼女は嫌がらなかった。
ただただ受け入れていた。
ねえ、由愛。これからは俺だけのものでいてくれないかな。
俺のことだけを見てて欲しい。
誰にも渡したくない。
太陽が昇っても、星が見えなくなっても、永遠に君のそばにいたい。
俺の願いはそれだけだよ。
放課後の理科室。夕日の差し込む静かな部屋で、二人の影が再び重なった。
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