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用語集:   「ベビーシェマ」

今回は「ベビーシェマ」について見て行きましょう。

「ベビーシェマ(Baby Schema)」:  赤ちゃんのかわいらしさに関連する概念です。この言葉は、ドイツ語の「Baby Schema(ベビーシェマ)」から派生しています。

赤ちゃんがかわいいと感じる要因の一つは、外見の特徴です。動物行動学者コンラート=ローレンツは、多くの生物に共通する赤ちゃんの形態的・行動的特徴を調査しました。これには以下のような特徴が含まれます:

  • 体に対する頭の大きさの割合が大きい

  • 顔より頭蓋のほうが大きい(大きい額)

  • 目が大きく丸くて顔の中の低い位置にある

  • 鼻と口が小さく頬がふくらんでいる

  • 体がふっくらして手足が短くずんぐりしている

  • 動作がぎこちない

これらの特徴は、ベビーシェマと呼ばれ、大人に「赤ちゃんらしい」というメッセージを送ります。大人は思わず微笑んだり、手を差し伸べたりすることがあります。

この赤ちゃんの特徴と大人のほぼ自動的な反応が組み合わさっており、誕生後すぐに1人では生きられないほど未熟な状態である赤ちゃんが、大人による愛情行動を引き起こし、世話や保護を受けることができるようになっています。

赤ちゃんは皆、このような赤ちゃんらしい特徴を備えていますが、個人差があります。特に大きな目や頬といった特徴が顕著な赤ちゃんは、親以外の大人から愛情反応を引き出しやすいことが研究で示されています。実際にローレンツが述べたような形態的特徴が顕著な赤ちゃんは、親以外の大人から注目される時間が長く、「かわいらしさ」の評価が高いことがわかっています。

そして「かわいらしさ」の評価は、平均して11か月齢ころがピークになります。これは、運動能力が発達し活発に動き回るためにけがなどの危険が増加する月齢に、大人の注意を引きつけておくことがより重要になることに関係しているようです。

赤ちゃんの表情もかわいさに影響を与えます。笑っている赤ちゃんは泣いている赤ちゃんよりも、大人からかわいいと思われます。赤ちゃんは相手を選ばず反射的に微笑む能力を持って生まれてくることは、周囲の大人との愛着と社会的関係を構築していくうえで有効に機能しているのです。

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