“先生が生徒を選ぶ“ことへの違和感を失いかけていた。
ベリーズの少年院に派遣され3ヶ月
インストラクターの1人として
正式に授業を持ったのは今月が初めてだ。
今月はsummer campと呼ばれる
プログラムが行われている月で
普段とは違う時間割で授業が行われている。
フラワーアレンジメント
ドラミング
ラップ
家具作り
ネイル
ペーパークラフト
アクセサリー作り
クッキングクラス
いろんなコースから
子どもたちが興味のあるコースを選択する。
(ここまではなんだか素敵な感じ)
私が任されたのは
ペーパークラフト
クッキングクラス
(ついでに夕方の全女子対象のボクササイズ)を
担当することになった。
今日はその中の
クッキングクラスの話を。
クッキングクラスは
男女合わせて10人以上が
参加者名簿に名前を連ねていた。
通常少人数授業(3-4)なので、かなり多め。
子どもたちは前々から
「何作るの?」「いつやるの?」
と随分楽しみにしていた。
しかし、いざやろうと思ったら
使用できる包丁とまな板は 2つのみ
おまけに教室はかなり狭い。
10人なんて入ったら、もう満員電車状態だ。
手持ち無沙汰の子どもが遊び出して、
崩壊する授業が容易に想像できる。
正直全く気が進まなかった。
だから、授業当日に
上司が「人数を減らそう」と言った時は
少し、いや、かなりホッとした。
名簿を見ながら
「この子は前回の授業で指を切ったから不参加」「この子はよく喋って作業に集中しないから不参加」「いっぱい問題を起こすから不参加」みるみるうちに名簿の名前が消されていく。残ったのは、ほんの数名だ。
結局、授業に参加できたのは3人ほど。
正直、扱いやすい人数だった。
そして、扱いやすい子どもたちだった。
でも、
クッキングクラスを希望した他の子は
一体、その時間何をしていたんだろう。
居住空間から出ることが許されず
牢屋の中でぼーっと過ごしているだけ。
なぜクッキングクラスから外されたかすら、
まともに聞いていないんだと思う。
こんなことは日常茶飯事で、
素行の悪い子は
なかなか牢屋の外には出られない。
かといってその時間
何か別の教育を受けてるかと言えばノーだ。
教育が必要な子ほど、放って置かれている現状。
正直私にしてみれば
授業に問題児が来ないと楽だし
ただでさえ崩壊しがちな授業で
ヘロヘロな私は、思わず
ホッとしてしまっていたんだけど
ふと日本の少年院を思い出して
何やってんだろ私。と恥ずかしくなる。
授業を無事に終わらせることが
目的になっていた最近。
日本の少年院だったら
授業に出られない子どもには
別の課題をやらせたり、面接をしたり
どうやったら授業に出れるか
同僚と話し合って、
より一層手厚いフォローをしていたなと。
授業から
問題児を排除して成り立たせることは
簡単だけど、それじゃここが少年院である意味がない。学校と同じになってしまう。もちろん問題児を排除している学校だけじゃないと思うけど。でも多くはそうやって排除されてきた子どもたちで、またここで同じことをしてしまったら、彼らはいつまでも変われないと思う。
でも、そう思う一方で
10人全員クッキングクラスおいで!
なんて言えず。
(実際、全員来たらボクササイズの授業は容易に崩壊した)
今日もまた、
何を変えられるでもなく、過ぎていく
こうやって
きっと明日も
3人のクッキングクラスを
やってしまうんだけど。
「先生が子どもを選ぶ」ことへの違和感を
とりあえず忘れたくなくて、
ここに記しておく。
私の手の届く範囲で
変えていけることを探していく。
何が自分にできるのか。
何をしにきたのか。
を自問自答する日々が続いてる。
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