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2泊3日 書籍のリアルパブリッシングイベント「NovelJam」とは


2018年11月23日(祝)~25日(日)に東京都八王子市の大学セミナーハウスにて開催された「NovelJam 2018秋」に「デザイナー」枠で参加しました。3日で「本」を作るとは一体どんなイベントなんでしょうか!? 「デザイナー」視点でお届けします。

「NovelJam」とは、「著者」と「編集者」と「デザイナー」がリアルに集まってチームを作り、ゼロから小説を書き上げ編集・校正して表紙を付け「本」にして販売までを行う『短期集中型の作品制作・販売企画』です。ジャムセッション(即興演奏)のように、参加者が互いに刺激を得ながらその場で作品を創り上げていきます。電子書籍のBCCKSで公開された作品はイベント中に販売が開始され、チームに印税配分される仕組みがあります。

審査対象は「本」にかかわる全て。2018年11月25日に1回目の審査会があり「本」自体が評価(最優秀賞、優秀賞、各審査員賞)され、2019年2月1日に2回目の審査会で、プロモーション方法や販売実績が評価(グランプリ)されます。実質チームで、約2ヶ月活動します。

その間、参加者は3つのプラットフォームを利用し制作や活動を発信していきます。

・参加記録・・・投稿プラットフォーム「note
・制作過程・・・株式会社DeNAが運営する小説投稿サイト「エブリスタ
・成果物・・・紙と電子書籍の作成・販売サービス「BCCKS
・チーム内コミュニケーション・・・自由です。
※私のチームは「Facebook」「Slack」を利用しました。

イベント開始まで

「note」でハッシュタグ #NovelJam をつけて自己紹介を投稿します。その段階でチームを組みたい人がいるか事前にチェックできます。全参加者の一覧を作成されている方がいたりと意気込みが伝わってきます!

1日目 チームづくりとプロット作成

都内から電車で離れ、八王子の山の中にある大学のセミナーハウスに集まりました。人里を離れ、マイナスイオンが出ていそうな気持ちの良い場所です。

開始時間の13:00がくるまで、参加者同士の名刺交換大会でした。頭の中で「note」の自己紹介と照らし合わせます。

開会式のあとは、自己紹介でプレゼンアピール。みなさん本当に個性豊かで、ラップやギター演奏があったり自由に表現します。

その後、著者>デザイナー>編集者の要望順で、組みたい人の名前にマルをつけて投票しチームビルディングが行われました。1チーム4名で、著者2名、編集者1名、デザイナー1名の構成です。私はチーム「BUKKOWASU」になりました。さっそくバンド感ある「BUKKOWASU」ロゴをつくってみました。

1日目の講義は、数々のライトノベルをヒットさせてきた編集者の三木一馬氏です。編集者は著者のファンになれ!作品の中で譲れないものを見つけていく事が大事!など、編集者の極意が伝授されました。

夕食やチェックインを済ませ、プラットフォームサービスの説明が終わったあと、待ちに待ったテーマが19:30に発表されました。 今回のテーマは「家」です!!

1時間半後の21:00には、1つめのチェックポイントであるプロットを「エブリスタ」にアップします。著者は「家」というテーマで一気にアイデアを膨らませ、編集者と精査して書き上げていきます。

22:00に会場閉館のため、各自の宿泊する部屋に戻って作業を続けるも良し、早く寝るも良し、参加者同士で交流するも良しと1日目の夜は更けていきました。

2日目 小説の9割完成。初稿〜二稿、書籍情報、デザイン完成

山の朝はすがすがしく、7:30から朝食を食べて動き出します。

デザインの作業時間が半日位なので、デザインの方向性イメージを決めるべく、プロットから抽出したキーワードとイメージボードで、著者と編集者とイメージをすり合わせます。

2作品ともテイストが全く違うので(男性向けSF小説、女性向け文芸小説)、表現できるか不安でしたがイメージが見えてきました。

『リトルホーム、ラストサマー』藤宮ニア(著)

キーワード: 透明感 / 光 / あいまいさ / 空気感 / 繊細 / 後悔 / 人の動き(一歩踏み出す) etc...

『いえ喰ういえ』維嶋津(著)

キーワード: カオス / 生々しい生活感 / インセプション / レガシー / 肩の力が抜けた感じ etc...

NovelJamなのでコラボ感を大切に『リトルホーム、ラストサマー』のイメージをライブペイントで表現しました。絵描きなのでデザインまで落とし込むのに自信がなかったのですが、編集者の宮坂さんにクリエイティブディレクションをしてもらい完成。著者にも気に入ってもらえて一安心です!『いえ喰ういえ』はこれまで作った事がない作品がコラボにより生まれました。

著者と編集者の2日目は「エブリスタ」にアップするチェックポイントが4つ(初稿→初稿戻し→二稿→二稿戻し・書籍情報提出)あります。編集者は2つの作品を同時進行でチェックしていくので腕の見せ所です。

2日目の講義は、校正の大ベテラン大西寿男氏が「NovelJamのための校正術」を伝授。時代にあった注意すべき表現方法や、電子書籍ならではの裏技など、すぐにでも使える充実した内容でした。

20:00からは、文学YouTuberベルさんが会場から生配信が行われました。参加者の作品を紹介していきます!テンションがあがります。

ベルさんから、『リトルホーム、ラストサマー』藤宮ニア(著) が一押しですと太鼓判をいただき、チームは希望と活力をいただきました!

3日目 本の販売開始、発表、審査、表彰

最終日の3日目は、5:00から開場。審査用に印刷したりと発表準備を進めていきます。

作品も大詰めで、8:00に最後の6つめのチェックポイントで最終稿を「エブリスタ」にアップします。

そして、あっとゆう間にBCCKSにて販売開始です。全チーム揃って販売ボタンを一斉にポチッ!!これまで作り上げてきたものが、世に羽ばたいていきます。

息をつく間も無く、緊張の審査会です…! 作品を審査員に向けてプレゼンテーション。

基本的に編集者が担当しますが、私のチームは著者が直接想いを伝えました。チームメンバーの想いが詰まったプレゼンに胸が熱くなります!

スタイルは自由ですがパワポ資料を用意しているところがほとんどでしたが、ラップとギター演奏と審査会を盛り上げます!

発表が終わると、チーム紹介番組配信があったり参加者を盛り上げる仕掛けが盛りだくさんです。運営側も一緒に、みんなで作り上げている一体感が生まれていました。運営のみなさま本当におつかれさまです。

17:00より、結果発表・表彰・講評が行われました。

チーム「BUKKOWASU」はまさかの、W受賞!!! 思わずハイタッチ!!歓喜の瞬間です。

普段ライトノベルを読まない私でも、作品の世界観に没頭できる面白い小説でした。是非ともご覧ください。

【最優秀賞 受賞】『いえ喰ういえ』
著者 維嶋津、編集 宮坂琢磨、デザイン CAROL
日常とカオスが入り混じるSF作品です。家が生きている世界とは!?

▶︎Kindle版はこちら
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【花田菜々子賞 受賞】『リトルホーム、ラストサマー』
著者 藤宮ニア、 編集 宮坂琢磨、デザイン CAROL
「生きづらさ」を感じている人には何か光が見えて暖かくなるような作品。

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本がこうして作られていくのかと、2泊3日で体験できる「NovelJam」。

一気に集中して作品ができ、プロに評価され、仲間ができるのがイベント醍醐味です!!まだ「NovelJam」は終わっておらず2019年2月1日に2回目の審査会に向けて、プロモーション施策を実施していきます。普段できないようなアートワークを試したいと思っています。
今後の動向は「BUKKOWASU」のTwitterアカウントをチェックしてください。

NovelJam 2018秋 グランプリ贈賞式

日時:2019年 2月1日 (金) 18:30受付、19:00〜21:00
会場:アーツ千代田3331
審査員:藤井太洋、鈴木みそ、山田章博
内容:受賞者の発表、審査員によるコメント、トークセッション(予定)


(※このレポートは、AWRDの記事を一部編集して転載しています)

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