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人事・キャリア支援職の皆様はもう知ってる?「静かな退職」とは何者?3つの対策とは?

「静かな退職」とは、会社や組織において、やりがいやキャリアアップは求めずに、決められた仕事を淡々とこなすことを指します。実際に退職をするわけではなく、退職が決まった従業員のような心持ちで働くことを意味します。基本的には、ある程度安定している大企業や安定産業に勤務されている方が多いでしょう。

2024年現在、特に若い世代を中心にこの「静かな退職」現象が、日本中に蔓延しているのです。

なぜ、「静かな退職」が起こる?

理由は一概には言えませんが、以下のような理由があるといわれています。

1)長らく続く大企業の不正・コンプライアンス違反へのあきれ

長らく続く大企業の不正

今でも、日本の大企業のコンプライアンス違反(不正、パワハラ、過重労働)のニュースは止まりません。よく、副業は怪しい、ベンチャーは危ないともいわれますが、大手企業でも、十分に怪しいということが最近のニュースから露呈しています。

あの自動車大手も、電機大手も、大手広告代理店の話など、どこもかしこも、旧態依然とした体制のままの日本企業が露呈している今、「会社に誠心誠意、熱意をもってコミットします」という純粋な人材が減るのも仕方のないことかもしれません。

2)長らく続く賃金停滞

長らく続く賃金停滞

ここ30年、日本の賃金はほぼ上がっていなのは有名な話です。賃金が上がらないなら、頑張っても無駄だと思ってしまうのも無理もありません。

3)会社が全て決める古き日本型雇用制度

会社が全て決める古き日本型雇用制度

ようやく、キャリア自律が大事だと叫ばれてきたのは、ここ数年の話で、基本は日本型雇用は、会社の偉い人が全て決める会社主導のキャリア形成が主流です。「どうせ、自分の職場も仕事も自分で決められないのなら・・」とネガティブになってしまうのも無理はないでしょう。

静かな退職の実例

では、静かな退職はどのような形で存在しているのでしょう?

Aさん

大手製造業に勤める若手のAさんは、非常にまじめで、仕事の理解も早く、手際もよい優秀人材です。しかし、実はAさんは「静かな退職」をしていて、上司から昇進の話や、外部での選抜研修参加の話もお断りという状態です。シニア世代の社員からすると、優秀人材=上を目指す意欲のある人材 という認識でいるので、このようなAさんを全く理解できません。

Aさんは、会社では静かな退職をしていますが、会社の外でボランティア活動に従事しており、その時間に割きたいということで、基本会社では、今ある仕事のみを丁寧にこなすことを心がけています。

広告会社のBさんは、昔はキャリアアップを目指していましたが、役職に就くことはなく、かといって、いまさら出世欲があるわけでもなく、ある意味「静かな退職」をしています。もうほぼ50歳に近いので、「ぶら下がり現象」とも言われますが、「静かな退職」と「ぶら下がり」は少し違います。

ぶら下がり社員は、日本の雇用制度上、やむを得ない形で存在するのに対してい、静かな退職は、チャンスがあるのに取りにいかない現象と言われています。

静かな退職の対策はどうすればいいのか?

静かな退職の対策

では、会社の人事部門や経営者は、このような静かな退職者についてどのようにしていけばいいのでしょうか?もちろん、できる限り、組織の中で、高い立場で活躍してもらいたいと思うでしょう。その対策3選を挙げていきましょう。

1)「静かな退職」をまずは認める
そもそも、静かな退職をしてはいけないという法律もなければ、規則もありません。出世をしないのも、上を目指さないのも会社側が「そんなのありえない」と諭すものでもありません。

よって、まずは、「そういった考え方もある」と受容することが大事でしょう。そうすることで、該当者も「この組織は、自分を認めてくれている」という好感を持ち、信頼構築ができるでしょう。ここが出発点です。

2)そのうえで、何かやってみたいことを聞いてみる

何かやってみたいことを聞いてみる

静かな退職をしている人は、ある意味、あきらめに似た考えを持っているケースも多いものです。

「どうせ、アサインしてくれないだろう」「引き受けたらノルマを負わされるだろう」「給与も増えないし」など。

そういった中、「何かこの組織でやってみたい事」はないか?ゆっくりと丁寧に聞いてみるのもいいでしょう。それを一つでも実現させてあげられれば、「この場所でも活躍の場がありそうだ」と前向きになってくれる可能性もあります。もちろん、見合う給与も必要です。

3)「静かな退職」のまま活かす

「静かな退職」のまま活かす

結局、上を目指さない方であっても、あきらめることはありません。

そもそも、静かな退職が必ずしも悪いものでもありません。出世こそ望んでませんが、目の前の仕事は忠実にこなす、残業もしないで効率よく業務をする人もいるので、残業代がかからないこともメリットです。

もちろん人によりますが、与えられた仕事をしっかりこなす人も社内には必要です。与えられた仕事はこなすので、与え方を工夫すればいいでしょう。難しいルーチンを確実かつ、効率的に回してくれるのであれば、考えても見れば貴重な人材です。給与も上げなくていいので、人的リソースとしては、十分価値を提供しているのではないでしょうか?

まとめ

「静かな退職」が広がっています。しかし、この人たちを何とか変えようとするのではなく、お互いを理解し、会社側、社員側双方で良い方向で調整していくことが必要かもしれません。

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