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今日、誰のために生きる? ②

「ひすいこうたろう×SHOGEN」を読んで

✅「仕事を愛する大人たち」


 ある日、ザイちゃんがお父さんに「お医者さんになりたい」と言いました。
すると、お父さんは抱っこして、村の病院まで連れて行きました。
 
お父さんはザイちゃんを膝の上に座らせて先生に言いました。
「先生、この子は3歳ですけど教えてやって欲しい。どういう思いで病院を建てたのか、どういう思いで患者さんと向き合っているのか?話してやってくれ。」
すると、先生は得意げに話しだした。
 
ブンジュ村では、自分の仕事に興味を持った子供に対して、やりがいや誇り、喜びを語って聞かせます。
 
誰もが自分の仕事のやりがいについて語れるほど自分の仕事を愛しているのです。
 
ザイちゃんのお母さんも「ショーゲン聞いて、わたしは子供を二人も育てているの。すごいでしょ?」 

ここでは自分の仕事に誇りに思って語る大人ばかりです。

 ✅「残業しない理由」

ブンジュ村の人たちは仕事のために自分自身を犠牲にすることは決してありません。
 
例えば、お母さんは自分一人で家事を抱え込みません。
食事は一日3食作るわけではなく、お腹がすいたら誰かの家で食事を一緒にするという具合です。
 
常にコミュニティーで助け合っているのです。
 
また、仕事に向かう途中に知り合いと会って、立ち話しが長くなった時でも「仕事だから、もう行かなくちゃ」とは誰も言いません。
最後まで話を終えてから仕事に向かいます。
 
みな仕事に誇りを持っているけど、それよりも目の前の人をとても大切にしています。
だから、仕事で遅刻しても誰も文句を言う人はいません。
 
ある日、お世話になっているカリビンさんが仕事で描いていたキリンの絵は残り足一本で終わるのに終業時間だからと辞めてしまいました。
日本人であるショーゲンには信じられない光景でした。
 
このように、徹底してみんなで仕事を終えるのです。
カリビンさんは、さらに衝撃的なことを言いました。
「休む時間を削ってまで仕事をしているところを誰かに見られたら恥ずかしいよ」
 
その理由は、村は日暮れが早いのです。
電気が乏しいから、日があるうちにしか家族の顔をみることができません。だから、少しでも長く家族の顔を見るために早く帰るのです。
 
村人が大切にしていることは、どんなに仕事に誇りをもっていても、それ以上に大切なものが何かを知っています。
「まず自分自身を、そして目の前の人や家族を最優先にしているのです。」

 ✅「わたしは、あなたのことを信じている」


ブンジュ村の人々は、いつでも前向きな言葉をかけ合ってます。
あなたのことを信じている
 
この言葉は大人だけではなく子供も日常的に言います。
「将来スイカ売りになりたい!」と子供が言ったら、周りの友達は口を揃えて「君なら絶対できるよ。みんな君のことを信じているよ」と言うんです。
 
「人の背中を一番押してくれるのは『信じてる』って言葉だよ。だからショーゲンも背中を押してあげたい人がいたら『信じてる』って言葉をかけてあげてね」そう村長に言われました。
 
みんなが信じてくれると、ショーゲンも次第に画家になれるって思えてくるんです。

✅失敗した人は「人間らしいね・かわいいね」


ショーゲンは村で慣れない洗濯をしてました。
すると、お世話になっている奥さんから・・・ショーゲン洗濯できないことを子供たちに伝えてあげて!と・・・
 
ママ・ジャネッティーが言いました。
「失敗しても誰も責めないわよ。だから子供の前で、失敗を隠すのはやめてね。失敗する大人を見るから、子供は安心して未来がえがけるのよ・・・」
 
日本では失敗しないように大人は皆、頑張ってます。でも、この村は違います。
大人が失敗を見せることで子供はできないことを恥ずかしい事ではないと理解して、失敗を恐れない子供になると考えるのです。
 
失敗した人を「この村の大人は『人間らしいね・かわいいいね』って言ってあげるんだ。生きて行くうえで大切なことは人間らしさ。年を重ねれば重ねるほど完璧になっていくんじゃないんだよ。人は年を重ねれば重ねるほど人間らしくなっていくんだ。」

✅「失敗が満員御礼になる日」


ブンジュ村の子供たちは、おやつに鳥や小動物を捕まえます。

11歳のブラウニーは、ゴムパチンコの名手です。
 
そんなブラウニーに教えてもらってもショーゲンは獲物にパチンコ玉があたりません。
子供たちより目が悪いのです。
 
「2キロ先が見える子供たち」に教え上手なブラウニーは、覚えられないショーゲンにいら立ちを覚えました。
 
そこでショーゲンはフィールドを替えて「陸」から「海」へ向かいました。
漁師に頼んで舟に乗せてもらいました。
コップを片手に染み込む海水をくみ出しながら・・・
寝ずの漁も夜明け前に3メートルのマンタが定置網にかかりました。
前の日、ゴムパチンコで失敗したショーゲンは意気揚々と村へ帰り、村長に見てもらいたくて届けました。
 
「ショーゲン!すごいな!やったなー!」村人たちも大喜びしてもらえました。
つづけて村長がショーゲンに言いました。
 
「挑戦するということは、新しい自分に会えるという行為なんだよ。挑戦には失敗がつきものだけど、いつか失敗のネタが尽きる時が来る。失敗が満員御礼になる時が来る。そうしたら、成功するしかないんだ。」
 
村人と美味しく分かち合って食べた片隅に、ゴムパチンコの名手「ブラウニー」がちょっと荷が苦しい顔をしていたことに気が付きました。

✅「言葉より行動」


言葉よりも行動が、とてつもなく優しい。
先の狩猟の名手ブラウニーは、ショーゲンに狩猟を教える時は、とても厳しいのですが・・・
 
ショーゲンが絵を描いている時、風でドアが開かないようにショーゲンに隠れて何時間も風でドアが開かないように支えてくれていた。

また、3回もマラリアにかかるショーゲンを毎日見守りに来てくれていたそうです。
 
ある日、腹が立ったショーゲンが大きなヤシの木の下に行くことを察したブラウニーは「ここでも一人になれなかったね」とショーゲンに笑って声をかけてくれた。
ブラウニーはショーゲンをいつも見守っていてくれたのです。
 
この村の人たちの行動は、このように愛に包まれているんです。
 
ある日、村の会議でショーゲンがコテンパンに「心の在り方が成っていない」と言われていることを知ったブラウニーは村の会議に参加して、みんなに向かって言いました。

「ショーゲンの絵を見たら、わかるよ」
 
ショーゲン自身を見ていたら未熟と感じるけど、ショーゲンの絵を見たら、ちゃんと心が育っていることがわかると。

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