見出し画像

罠にはまる!「去年の冬、きみと別れ」(映画)

今年は中村文則さんの映画化作品が続々と公開された年でした。玉木宏さん主演の「悪と仮面のルール」、岩田剛典さん主演の「去年の冬、きみと別れ」、そして本日から公開される「銃」です。

「去年の冬、きみと別れ」は、私が病気になって初めて映画館に行って観た作品です。ジストニアの病気が判明して、安堵と不安が渾然一体となっていた時期に映画館で観ました。

上記の三作品は、すでに小説で読んでいました。「銃」は芥川作家の中村文則さんのデビュー作。他の二冊はサスペンス色の強い作品です。

「去年の冬、きみと別れ」は、主演の岩田剛典さんにとって、新境地を見せた作品に違いありません。

原作は、2014年の本屋大賞ノミネート作品で、「化け物小説」(いい意味で)と言わしめました。原作と映画は構成が異なります。

映画では、斎藤工さんが天才カメラマン木原坂を演じています。その天才カメラマン木原坂は、かつて、猟奇殺人の事件の罪で逮捕された過去を持ちます。その木原坂の過去を探る主人公が岩田剛典さん演じる耶雲。

木原坂の魔の手が、耶雲の恋人の忍び寄る……といった感じのサスペンスです。恋人役の山本美月さんは、振り幅の大きい役者だと思いました。表情が素晴らしかったです。北村一輝さんも重要な役どころでした。

私の一押しは、役者の二面性です。前半と後半の表情の変化に大注目です。岩田さんにとって、現時点での代表作といえる記念碑的作品に間違いありません。

斎藤工さんの狂気に満ちた表情も冴えます。とても、年末の日本テレビ系「ガキの使いやあらへんで」演じているキャラクターと同じ人だとは思えません。

さて、「去年の冬、きみと別れ」というタイトル。平凡なタイトルと思わせておいて、これがうまく機能してます。タイトルの意味が最後には明らかになります。こういうタイトルの付け方嫌いではありません。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?