見出し画像

丸亀城 ~仁義なき戦い~

今回は四国の香川、そこにある丸亀城を。

ここは『三つの日本一がある!』と言われてる。

それは、

・井戸の深さ
・天守の小ささ
・石垣の高さ

しかし……これは城郭検定準一級の勉強の時に分かったのだが、純粋に日本一は一つだけだったりする。

それはどこなのか、

皆さんには分かるだろうか……

……

………

それは、『井戸の深さ』

深さは驚愕の65メートル!

数字だけ見てもピンと来ない人もいるかもしれないので分かりやすく言うと……まずは50メートルプールを想像して欲しい、プラスで15メートル、以上!

そしてこの井戸では、とある殺人事件が起きている。

それは石垣を築いた羽坂重三郎という職人。

完成した高石垣

木々で隠れてる所も石垣である

それを前にご満悦の城主が「お前ならこの石垣、攻めれるか?」とドヤ顔で質問。恐らくは「いいえ、これだけの石垣……攻めれるイメージは浮かばないです」との答えを期待したのだろう。

しかし……

「あ、自分、ノミさえあれば大丈夫っす(笑)」

と、工具のノミを石垣に引っ掛けてスイスイスイ……

それを見た城主は「こいつ殺そう」と決めた。

それは敵に寝返られては高確率で落城させられるから。決して期待に沿わない返答が来たからではない。

そこで井戸の調査を命じて井戸底に着いた時、上から岩を突き落とした。

中々に業の深い城主である。


さてその石垣だが、高石垣が四段に積まれている。

その高さ約60メートル、正に日本一!

その高さのせいか、坂が急勾配!
                  立ち止まると重力に押し戻される
柵があっても足のすくむ高さ

……なのだが、“四段全部含めて”日本一。条件付きなので純粋な日本一とは残念ながら言えない。

単独石垣の高さでは大阪城、伊賀上野城に続いて三位。


そして天守の小ささ、巨大な高石垣の上にちょこんと置かれてて小ささが際立っている。

ミニチュア感がある。

天守の高さは約15メートル、

確かに城の象徴ともされる天守にしては小さすぎる。

しかし高さでなら備中松山城が日本一小さいのだ。その高さは約11メートル!

「なんだよ、嘘じゃんか」、「プロフ詐欺かよ」、そんな声もありそうだが、日本一なのは間違いはない。
“全体的の”小ささで日本一。

高さはともかく、面積や幅は備中松山城のが若干あった。ここも“全体的の”との条件付きで日本一なのだ。


……井戸を覗いてたらガイドの人が寄ってきて「この井戸には恐い伝説があります、分かりますか?」とクイズを出されたので、

「石垣造った人に城主が登れるか?って聞いて実際に登ったら殺されたんですよね。敵に寝返ると厄介だから」

と上に書いたことをコンパクトにして答えた。

そうするとガイド魂に火がついたのか、「どうやって登った!?」「ではどうやって殺した!?」「ではその時の城主は!?」と次々にクイズを出てきた。

しかしこちらも即座に答えていく。

「ノミ!」「井戸から岩をドーンと!」「生駒氏の説!」

向こうにはガイドの意地があるのだろうが、こちらも城郭検定準一級保持者の意地がある。

そして向こうの奥の手だろう、自信満々にこの問題を出てきた。

「この城にはいくつかの日本一があります!井戸!石垣!天守!後は何でしょう!?」

なるほど、引っ掛け問題か。これだけ自信満々に言われると、合ってる答えでも迷いが出るかもしれない。

しかし残念ながら、僕はそこらの観光客ではない。

「後は無いです、日本一なのはその三つだけ。でも石垣は総合的、天守は高さでは備中松山に負ける!だから純粋に日本一なのは井戸の深さだけ!である!!」

そうするとガイドの人の心は折れたのか、魂の抜けたような顔をして去って行った…。

帰る時にも違う観光客へガイドをしようと近寄ろうとしてたけど、僕との一戦で心が折られたせいか、声をかけるのを躊躇していた。

……いや悪気は無かったんだ。ただ城郭検定準一級保持者としてのプライドがあったんだ。

(石垣の単独石垣は去年の2022年に地中に隠れた石垣を発見、全国で二位に更新されたみたいです)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?