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2024年2月27日 青森移動体験記

JR東日本が10000円で全線一日乗り放題というキャンペーンをやっている。新幹線を含めた指定席も2回まで利用可能。利用14日前までの購入が必須。

これを使って青森まで日帰りで行ってみようと思い立った。青森には行ったことがないし、幽谷霧子の出身地だから。

6:32発のはやぶさ1号に乗ったらまず八戸で降りて、鈍行で片道約20分の鮫駅というところに行く。鮫駅周辺を見たら八戸に戻り、青い森鉄道というやつで1時間以上かけて浅虫温泉駅へ。その後再び青い森鉄道で青森駅に行って、最後は新青森駅19:44の終電で帰宅する。


E5系。


雲がなく、富士山と月がよく見える。間もなく北を向くので角度的に見えなくなる。


山が近づくと雲が出てきた。


雲を背負う連山。


ちょっと寝て目を開けたら空は完全な曇天で、地面に雪が現れ始めていた。


盛岡あたりで隣の席から人がいなくなったので、東京駅で買った弁当を食べる。そもそも家を出る前にピザを2切れ食べているから腹は減っていないんだが、680円で案外安いなと思って買っていた。うまかった。右上のはみかん。


すっかり雪景色。


八戸に到着。


ここから八戸線に乗って鮫駅まで行くつもりだったのだが、前日の大雪により運休になっていた。八戸線は八戸〜久慈を結ぶ路線で、大雪により八戸から鮫までは一部運休、鮫から久慈までは終日運休となっていた。つまり鮫まではギリギリ行ける状況。八戸からもともと乗る予定だった時間の列車は運休になっていたが、その次は予定通り運行されたので不幸中の幸いだった。


運休により想定外の待ち時間が発生したため、八戸駅周辺をうろつく。


思えば、雪国を歩くのは初めてのことだ。この日のためにワークマンで耐水性・グリップ性の強い靴を買っておいたから不安はない。ガンガン雪の中を歩いていったが、結果的に最後まで一切濡れることはなかった。

あと、衣服にはレインガードというスプレーをかけておいた。かつてたかやさんの記事に協力した際に知った商品で、マジで効果がすごかったから今回ぜひ使いたいと思ってドラッグストアを8軒ぐらい回ってやっと見つけた。置いてなさすぎ。でもおかげで服は全く濡れなかった。ズボンの裾もノーダメージ。


雪の中に獣道のようなルートが作られている。1人しか通れないため、対向者が来た場合はどちらかが適当な場所で待つことになる。


前日に大雪が降ったらしく、大きい歩道に面した店や住宅の方々はみな大きいスコップで雪かきをしている。雪国の仕事だ。


立ち寄ったスーパーの南部せんべいコーナーがとんでもない充実ぶりだった。柱を隔てた左側も南部せんべい。少し変わり種のやつを買ってみたので帰宅したら食べる。


列車の屋根に雪が積もっている。


ホームにも雪が積もっている。


自販機で売られていた、北東北限定というリンゴジュース。


そうして鮫駅へ到着。英語圏の人は駅名をどう解釈するだろうか。

それはともかく、ここでとんでもない葛藤が生じた。

大雪により鮫から八戸に戻る路線も運行本数が減っている。その結果、鮫周辺での滞在時間を25分以内に収めなければ、巡り巡って八戸でまた1時間以上の待ち時間が発生することになった。八戸駅周辺で今やれることは何も無いからそれは避けたい。

しかし私がここで行ってみたいのは、徒歩で片道15分かかる神社だった。電車を止めるほどの雪が積もる中、往復30分想定の行程を25分以内でこなすにはどうすればいいのか。

めちゃくちゃ走るのである!


25分以内に戻ってくるのはマジで最優先事項なので、めちゃくちゃ走った。めちゃくちゃ走っていたら目的の蕪島神社が見えてきた。蕪嶋神社がなんなのかは分からない。本当は葦毛崎展望台というところに行きたかったのだが雪で無理になったので、電車の中で地図を見て「ここええやん!」と決めただけ。

写真だと伝えられないのだが、風が超強かった。地面の水が風で吹き上げられて体にかかるぐらいの強風。向かい風。


なんかすごいところだ。太平洋に向けてニュッと伸びた陸地で、丘の上に神社が建っている。雪景色と合わせてすごい荘厳さだった。


走りながら撮った。階段も駆け上がった。


神社の上から撮った海岸。怖いぐらいの風と波だった。

実家へのおみやげとして書き置きの御朱印を購入し、賽銭箱に小銭を入れ、「怪我せず帰宅できますように」と祈って神社を去った。2分もいなかった。


無事鮫駅にカムバック。そういえばなんで鮫駅という名前なのか知らないままだった。今軽く調べたけどピンとこなかった。

八戸までの乗車時間は本来20分ほどだが、15分遅れで到着した。なかなか予定通りにいかない。雪の威力を思い知る。


大雪なのに人を運んでえらい。(野菜)


浅虫温泉駅に到着。ここには水族館がある。


ゆ~さ市場という店があった。地域の野菜などが売っている。


干し餅というもの。買ってみたので後日食べる。

水族館に向かう。


119と書かれたラブホテルのような建物があり、いくら冗談とて消防と混同させるような名称は危ういんでないかと思ったら、


消防署でした。


浅虫水族館に到着。


40周年らしい。


なんかすごく真顔で言われている気がする。


入ると本当にカメから始まる。


うまそうに太っているサケ。


イトウ。鰺ヶ沢町ではイトウを食べられるらしい。結構希少な魚だからいつか食べてみたい。


ふれあいコーナー。


ホヤを触り放題だった。


イルカの水槽。


飛んでえらい(野菜)


ショーを終えたイルカが勝手にステージの上に登ろうとしていた。


階段を下りると水槽を横から覗ける。


「目」すぎる。


全ピラニアの水槽。


ペンギンの名付け方が「腕輪の色」だった。ハルトとハルミはなぜ、と思ったら東武動物公園から引っ越してきた2匹だった。引っ越してきてビックリしただろう。「ここって名前らしい名前を考えたりしないんですね」って。でもまあ名前って人間の文化だからな。


「あ、『赤白』だ!」と思って撮った写真。見つけたときの手応えがなさすぎる。全部見れば分かるから。


軽食コーナーがあった。もう14時半になっているが、最初の弁当を食べて以降何も食べていなかったのでお腹が空いた。


平日のこの時間には流石に客が少ない。館内にはちらほらいるけど。


ホタテラーメン。ここらへんはホタテが名物らしく、ホタテがうまかった。


挟まれが発生。


水族館を出て少し時間があったので海へ。


こんもりとした小さい島がある。なんなんだろう。わかりません。


駅名の由来でもある浅虫温泉があった。


右のやつは飲用で、左の箱は温泉たまご用。生卵を持参すれば温泉たまごを作り放題らしい。生卵を持っていなかったし、買っても持ち運びが大変かもと思って今回は見送ったが楽しそうだ。飲用のやつは飲んだ。手ですくおうとしたらめちゃくちゃ熱かった。りんごジュースの空き缶が残っていたからそれに入れて飲んだ。硫黄っぽい香りがあった。


浅虫温泉という名前の由来。まず、法然がこの温泉を見つけたらしい。「傷ついたカモシカが湯あみするのを見て」だってさ。浅虫というのは、もともと「麻蒸」だったのを「火事を連想するから」といって「浅虫」に変えたらしい。私の感覚では全く理解できない背景だった。


こっちは足湯。温泉たまごを作っている間に浸かるのが良さそうですよね。私は卵を茹でていなければタオルも持っていないので浸かりませんでした。「濡れたくない」の気持ちが勝った。撥水厨。


足湯を混浴と捉える必要はないと思う。


電車の時間になったので青森駅に向かう。

乗った電車が最初はガラガラだったのだが、途中で高校の下校時間にぶつかり、高校生がワッと乗り込んできて一瞬で混んだ。大変なタイミングにぶつかってしまったと思ったのだが、喧騒に耳を澄ませるとその音の正体は津軽弁(というより津軽訛り)そのもので、たまらず目を閉じて聞き入ってしまった。

じっくり聞いていると、津軽弁のアクセントの特徴がわかってくる。まず、音の高低の差が極端。そして、一度上がったり下がったりするとその高さがずいぶん長くキープされる。雪国だから外での会話は音が吸収されやすくて、大きい声を出すのがデフォルトにならざるを得なかったからこういう訛り方になったのではないか、とか思ったけど根拠はない。


青森駅に到着。


ワラッセというねぶたの展示施設。


ねぶた。迫力ある。


中を覗ける。


鬼。かっこよかった。


「縄文の時から!」「全国へ宅配」

おそらく世界一の老舗商店。


お土産屋に併設するジェラート屋で紅玉・ジョナゴールド・王林のジェラートを食べた。ジョナゴールドが圧倒的にうまい。

この施設ではシードル(りんごで作った酒)の試飲も人気なのだが、ラストオーダーに10分ほど間に合わず機会を逃した。なんかサイトに記載されている情報より1時間早かった。しかしねぶたの展示よりこちらを優先していれば間に合ったので悔しい。

ここまでノーミスで来ていた自覚があったのだが、このミスを境にすべての歯車が狂い始めた。


「味噌カレー牛乳ラーメン」という名物料理を出す店に行く道すがら、アニメイトに遭遇。幽谷霧子の何かがあるんじゃないかと思い入店するも、一切なし。地元のオタクと空間を共有して終了。

味噌カレー牛乳ラーメンの店に到着するも、定休日。

系列店が営業していることを知り、そちらに向かう。


系列店のオープンを待つも、営業日なのになぜか営業せず。同じく待っていた周りの客とともに困惑。全員散る。

帰りの新幹線まで2時間弱を残し、やることが完全になくなった。居酒屋や焼肉屋は営業しているが、観光として一人で入りたいような店はほとんど開いていない。


だいぶいろいろ彷徨ったのち、駅ビル内の飲食店が営業していたのでそこに入店。

「もうほとんど売り切れちゃってるんですがご了承ください」と言われつつタッチパネルを受け取る。各メニューに「残り1」などという数字がある。本当に選択肢が少ない。間もなくもう一人の客が入店しており、のんびり選んでいる時間はなかった。スピード重視で注文。


ホタテの刺し身。うまかった。


味噌ラーメン。うまかった。これラス1で、届けられた際に他の客に凝視されたからその人も頼みたかったやつだったのかもしれない。でもこれは戦いだから同情の余地はない。恨むなら営業日なのに営業していなかった味噌カレー牛乳ラーメンの店を恨め。


なんかすごい見た目だが、たらこの漬物が乗ったごはん。一番うまかったかも。


食べながら周りを見て気づいたんだけど、味噌カレー牛乳ラーメンの店で困惑して散った客のうち、私を含めて5人がこの店に来ていた。本当にここしかないんだ。

そして、私を含めた男性の一人客が4人並んでカウンターに座っており、荷物などからして明らかに全員JR東日本の安い切符で来てる客層だった。一人でおそらく日帰りで。周りから見たら我々全員同じように見えるんだろうなと思ったら、なんかやばいかもと思った。切符はありがたいし悪くないんだけど、同類の者が安直に収束しているこの感じは直感的によくない。安い切符に飛びつかず、飛行機もLCCを使わず、というのは私の経済状況的にすぐ脱却できることじゃないかもしれないが、せめて一人での行動は減らしたほうがいいかもと思った。複数人で行動する人のほうが社会的な信用は大きいから(小さい社会を形成できている、という証明になる点で)。めちゃくちゃ反省しながら食べた。

なんだかネガティブなムードで終わりを迎えているように見えるかもしれないけど、私は至って前向きに今後の改善点として捉えている。私は自らに正論を突きつけても全く痛みを感じないから。


いろいろ気づかせてくれてありがとう、青森。


新幹線が来る新青森駅。この周辺は冗談抜きにマジで何も無い。レンタカー屋だけ。


新幹線の待ち時間を持て余したであろう人たちが、雪国への別れを惜しむように意味なく足跡をつける様子。こういうのがいっぱいあったし、リアルタイムでやっている人も見た。


お疲れ様でした。本当に疲れた。


今回乗った電車の時間。いずれも上が発時刻で下が着時刻。9時間ぐらい乗ったのか? 遅延の多さも目立つ。

雪国の移動は大変だということを体験できた。思い通りにいかないし、事故のリスクも大きい。歩道を歩いていてもやはり車のスリップ等が常に怖かった。


雪が降る地域で生活するには、準備も事後対応も必要になる。おそらく幽谷霧子はそういう環境で大人に守られながら育ち、見て学んできたのだろう。ある程度成長したら今度は自分が他者を思いやることができるようになった。身体の不自由なく思いやれる者として、生まれながらに他者のため与える責務があるという思考が形成されたように思える。

私は基本的に心配という行為が好きじゃないんだけど、やはり必要なことではあるんだよなというのがここ数年の気付きとしてある。今日はそれを体で感じた日だった。

日帰りだとあまりに一瞬の出来事で、夢を見た感覚に近い。青森にはまだまだ行ってみたい地域がたくさんあるから何度でも行ける。夏の景色も見たい。

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