映画「万引き家族」

常に映画はいろいろなことを教えてくれる。
うわべだけを信じるな、もっと考えろと忠告してくれる。

決して明るい内容の映画ではないけど、世の中には深く社会を見つめている人がいるということを知れただけでこの映画に救われた思いがする。

SNSによる私刑しかできない満たされない人々。
フェイクニュースに踊らされる人々。
本当にウェーイしか言えないぱりぴ。
酒飲んで騒ぐことしかできない自称フェスマニア。

世の中には浅い人、浅いことにしか興味がない人しか存在しないと思っていたが、そうでもないらしい。
この映画が評価されているということは世の中の本質に目を向けようと考えている人がいるということ。現実が変わるかどうかは別にして、問題提起をすることは大切だと思う。

血が繋がっていても、崩壊している家族は多い。
うちもその部類に入るだろう。
親しき中にも礼儀ありというが、お互いの領域に土足で踏み込みあうのは家族であってもゆるされないことだと僕は思う。

決してベタベタ仲良くなくていい。
それぞれがそれぞれのことを尊重する。
それだけでいいのです。

結婚というシステムによって作られた家族ではなく、いつの間にか増えていった家族。
他人だからこそ、優しくできる。
義務ではないから、感謝できる。
「万引き家族」はそういう家族だった。

お婆ちゃんの死と少年が万引きで捕まることによって家族はバラバラになってしまう。
ここで本当の絆というものを見ることができたような気がする。

常識ある側の人々のセリフ、「死体遺棄ってのは重い罪ですよ」に対して

「捨てたんじゃない。拾ったんです。誰かが捨てたのを拾ったんです」
「捨てた人ってのは他にいるんじゃないですか」

本質を見ないうわべだけの言葉は全然響かないが、安藤サクラさんが放つ言葉は心に響いた。

常識だけを追っていると、いつのまにか常識よりも大切なものを見失う。
僕はこの映画をそう解釈した。

ありがとうございます。有意義なことに使います。