野次馬根性

県下の小学校は、今日が卒業式の集中日だったようです。散歩がてら、今どきの卒業式の様子を偵察してきました。 保護者の方が校舎の外で子どもたちが出てくるのを今や遅しと待っています。 わたしも校門の外で通りすがりの人を装い、柵越しに覗いていましたが、あまりにも寒く、帰りたくなりました。 関係者でもないのに我ながらもの好きなことです。 校門前の寄植えを眺めていると、一人の女性に声を掛けられました。 卒業生の保護者ではないようですが、PTAの役員か来賓でしょうか。 胸元に花をつけ、

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一緒に帰ろうよ

前回の投稿からかなり時間が空いてしまった。 さぼっていたわけじゃなく、納得のいく文章を書けずにいたからだ。 納得のいく文章を書けずに、ガンダムSEEDを観返していたからだ。 くそッ!僕がコーディネーターなら、ちゃちゃっと面白い記事が書けたのに…! まぁ言い訳はこれくらいにしておこう。 ある日の撮影が終わった夜の1時をすぎた頃。 石井の家を出て帰ろうとすると、こんのが一緒に帰ろうと声をかけてきた。 引っ越したことで、途中まで家の方角が一緒だという。 あれ?そうだったかな?とは

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河童狂騒曲

 台所の扉を開けると、河童がいた。目が合った。扉を閉めた。  解放感に満ちた、爽快な朝のはずだった。両親は「結婚記念日なの」と気色悪いウインクを残して旅行に出ていて、わたし一人がこの家で我が物顔にテレビを独占してゲームに明け暮れたり、口うるさい母親の目を気にせず冷蔵庫に買いだめしておいたスイーツパーティを開催したり、お風呂に父親のプレーヤーを持ち込んで映画観賞会を開こうと思っていたのに、出だしから躓いた。  いや、あれは浮かれすぎたわたしを戒める幻覚かもしれない。そう思って再

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【バトルグラウンド・サツ・バツ】まとめ

  これはニンジャスレイヤー本編とは異なるスピンオフ小説です。 【バトルグラウンド・サツ・バツ】1  落雷の音がバンディットの意識を覚醒させた。 「イヤーッ!?」  バンディットは咄嗟に地面に手をつき、跳ね起きて、カラテ防御姿勢をとった。彼自身のソウカイ・シックスゲイツとしての油断なき実力、ニンジャ第六感が、なかば無意識的にそのような行動を取らせたのだ。  そして己自身を見下ろし、周囲を見渡した。  彼は見知らぬ広野のただ中にいた。地衣類で覆われた地面。彼方には

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犬も食わない

(約3,000文字) 先日、アマプラ配信の『mr.&mrs.スミス』の感想を投稿した。 夫婦喧嘩は犬も食わないと言う。 なんでも食す犬でさえ関心を示さないし、どうせ元にもどるのだから、仲裁するだけ損、という諺だ。 仲裁はしなくとも男女の痴話喧嘩、断然自分は聞く派である、と記事に書きあげた段階で、とても不思議なことが起きた。 昼食のため家族で立ち寄った店で、 まさに、私の隣で、 男女の言い争いが始まった。 引き寄せの法則ならぬ言霊という単語が頭に浮かぶ。 せっ

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『最強の花粉』#ショートショート

花粉後輩「先輩!ヤバいっす!守りが堅く攻め込めません!」 花粉先輩「ほう。数々の仲間たちが敗れた最強の守りとはこいつか。花粉99%カット」 花粉後輩「はい!データ班に再確認しても突破の可能性は1%と算出されました!」 花粉先輩「下がっていろ。最強の力を見よ。閃一門!」 花粉後輩「越えた……!」 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【あとがき】1%の花粉、現る。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【自己紹介】「ふくふく」って何者? ★共同

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震わすのは【ピリカ文庫】

 あれは15歳の夏休みだった。俺は町の花火大会の会場に急いで向かっていた。住宅街を走っていると、ドーンという爆音が空気を震わし、俺は空を見上げた。 「あ~、始まっちゃったか!」  俺は民家の2階の窓から身を乗り出している少女に気が付いた。その少女は同じクラスの福元美羽だった。あまり話したことはないが、福元も花火が観たいのだろうと思い、誘うことにした。 「福元!一緒に花火を観に行かないか?」  俺の姿を見た福元は、みるみるうちに顔を強ばらせ、窓をピシャリと閉め切ってしま

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Re:逃走癖女神 ⒑臨戦態勢 連載恋愛小説

そして、めぐってきた、第2回甘い接待デイ。 間食を控えたり散歩の距離を延ばしたりと、この日に向け都は臨戦態勢。 スイーツに敬意を表すため、装いも純白ワンピで気合い十分。 何が起きても、すべて受け止める覚悟だ。 今夜のコースは、いきなり栗のテリーヌで幕を開けた。 最高級マロングラッセがごろごろ入った、ずっしりとしたケーキ。 食べ応えがすごくて、その手加減のなさに都は少々腰が引ける。 こんなんでフィナーレまでもつのかと、不安に襲われる。 早々に本日のメインが登場し、心配は杞憂

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絵のない絵本【青いココロ】(3/19)

ココロは、まっさおな雪の朝に生まれました。 空みたいに深くて、太陽みたいに透き通った目をした女の子。でも、祝福にやってきた人たちは、「こんな赤ん坊は見たことがない」と顔をしかめました。 ココロは、少し歩けるようになると野原に飛び出しました。 本当に飛んでいたのです。 ココロの背中には翼が生えていました。 光の加減で灰色のようにも桃色のようにも見えました。 町の子ども達は、気味悪がって、ココロに石を投げました。 ココロが泣いて帰ると、お母さんは、だまって翼に口づけ、お父

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かわいい男の子にもらった一輪の花の話

「これ、あげる」 小さなかわいい男の子が、私に一本のバラをプレゼントしてくれた。 一輪だけ、透明の袋に入っている赤いバラ。 私はありがとうと、それを受け取る。 その日はホワイトデーだった。かわいい彼は近所に住む私の甥っ子だ。 今度小学一年生になるかわいい甥っ子。実妹の息子。 バレンタインデーのお返しにと、妹が気を利かせて花を買ってくれたらしい。甥っ子は妹の手先となり、私を喜ばせてくれた。 正直なところ、花より団子。いや、花より酒ではあるが、花も嬉しい。そんな私の生態を

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