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【第5話】出会ってはイケナイ男

 口開け(その日の1組目のお客様)、
「1杯いい?」
と、スーツ姿で胡散臭く固められた髪型に早口で高めの声。
頭の中で一瞬躊躇した。
ハッキリと覚えてる彼の名を呼んでもいいものかどうか。
ほんの一瞬躊躇したが、やはり懐かしさのほうが勝ってしまい、その瞬間
「はっしーだよね!?」
と口から出でしまっていた。
「えっっっ!?えっ!?俺の事知ってるの!?」
「歌舞伎町の立ち呑み屋で笑」
「あーーーーーーーーー!!!みぅちゃん!!」
久しぶりに歌舞伎町の通り名で呼ばれた。
「思い出してくれた?笑」
「思い出した!!よく覚えてたね!!」
と、とても嬉しそうに言われたが、彼の髪は当時より薄くなり、実年齢よりかなり老けて見えたし、少しふくよかになってはいたものの、こんな強烈な男、忘れるほうが難しい。
出会ってはイケナイ男と、また出会ってしまった。
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