見出し画像

当店の最高齢常連さんwithコロナな話(2020年7月・長文です)

昨夜、約1ヶ月ぶりに当店最高齢の常連客Yさんがご来店された。

Yさんは80歳に手が届こうかというお年。
昨夜はこちらへ向かって来られるお姿を見て、いつも以上に歩みも遅く、更に痩せられた感じと猫背具合もかなりだったので少し不安を感じたのと、新宿区内でこんなにコロナ感染者が出ているというのに、そのお年で飲み歩かれてる事に心配と不安と驚きを隠せず、つい、
「大丈夫ですか!?こんな時期に飲み歩いて💦それにいつもより体調よくなさそうに見えますよ💦私だって感染してるかもしれませんし😅」
と少し脅してみると、後ずさりをしながら、
「またまたぁ😅だーいじょうぶ!!オレはちゃんと考えてるんだから!!最近オレ全然来なかったでしょ?みんながコロナに油断して街に出回ってたから逆にオレは呑み歩いてなかったの。でもま〜た感染者増えたでしょ?今日このあたりの店どっこも人入ってないから逆に安全なの。オレはそこまで計算して飲み歩いてるから」とドヤ顔。
確かに仰る通り、昨夜はお隣のお店を除いては、どこも23:30に電気が消えてしまうほどに周辺は静まりかえってた。
万が一の事があっても心配なので帰そうとしたけど、そのやり取りをしながら、Yさんはかなり頑固でうちが何を言っても無駄だという事をすぐに思い出したので、諦めて渋々外のテーブル席へ座って頂いた。

「この店で一番安いお酒と何かつまみね。それとあなたに一杯。2千円ここに置いとくから。オレはねぇ、ちゃんと計算してんの。この店がこのあたりで一番安全だって知ってるから。だって外なんだから。あとオレみんなに近付かないでしょ?ちゃんと距離も考えてるからね」と、更にドヤ顔。
確かに、ソーシャルディスタンスという言葉が出回ってからは、磁石の同極同士の様に、誰かが近付くと、その近付いた距離と同じ分だけYさんも後ずさりするほどの警戒ぶり笑。
以前マスクも品薄だった時期には、表面が毛羽立ち、両サイドがボロボロに破れた使い捨てマスクをされてた事があったので、
「私ももうそんなにあるわけでは無いけど、もしマスクお持ちで無いなら差し上げましょうか?」と言うと、
「馬鹿いってんじゃないよ!!オレはコロナ流行る前から人にあげられるぐらいマスクいっぱい持ってんの。それにねぇ、これ見て。」とマスクを外すとその下にもマスクが笑。
しかも布マスク笑。
かなり皺クチャで縮み気味の😅
ビックリしたのと面白いのとで、
「人にあげられるぐらいたくさんマスクをお持ちなら、そのボロボロの使い捨てマスクを外側にしないで新しいのを見える外側にされたらいいのに笑」と言うと、
「オレはマスクもちゃんと洗って使ってんの」とドヤ顔されるので、
「それだけ縮んでたら、見ればわかりますよ笑」というと、
「いやいゃ、この使い捨てマスクも何度も洗って使ってるから」のドヤ顔に、お客様一同
「Σ((◎д◎))ゝえーーーーーーーーーっ!!!!!!!」
とマスクを二度見(笑)うちも驚きを隠せず、
「それ、洗うのには適さない素材でできてるから、そりゃボロボロになりますよ😅」と言うと、
「だから下にちゃんと布マスクしてるじゃない。それにこの布マスクの中も見て」とまたドヤ顔で布マスクを外すと、昔懐かしのガーゼが一枚。
「ね、オレは3枚つけてるから、みんなよりも3倍用心してるからね」と笑。
理屈が合ってるんだか合って無いんだか。
「うちが言うのもなんですが、そこまでして呑み歩かなくても(^.^;」と言うと、
「いや、日頃から毎日これだから。べつに飲み歩く時だけじゃないから」とまたまたドヤ顔。
余談になるが、数日後にほんとにマスクを10枚下さった。その時は呑まずにマスクだけを手渡しに。
あの時はマスクが全く手に入らなくて仕事柄困っていたので、とても有り難く重宝し、他のお客様にもお裾分けした。

昨夜も例の三段仕込みのマスクをされてご来店され、何かつまみをと仰ったので、Yさんの大好物でもある魚貝類で、しかも激レアな沖縄県産赤いかの刺身があったのでお勧めすると
「あーー、いいね♪」と。
赤いかは身が分厚くて噛みごたえがあるので、お勧めはしたものの、噛み切れるだろうかと勧めた事を少し後悔し、食べられるかどうか尋ねてみたが、店内に居るトイプードルのむぎたんのパパに話し掛けるのに夢中で全く聴いてない💦
なるべく薄く切って
「沖縄県産赤いかの刺身です(◍•ᴗ•◍)もし食べにくかったら仰って下さい。」とお出しすると、
「いやーーー、美味いね!!これどこの?」
沖縄県産だと言ったばかりなのに、やっぱり聴いてない笑。まぁいつもの事。

そこへ先月も初めてご来店されたインドネシア人の青年が二度目のご来店。
Yさんはテーブル席を青年に譲ろうとするも、青年は断り続け譲り合い合戦になったが、青年もこのおじいちゃんは頑固だとすぐに悟った様で、お礼を言いながら渋々テーブル席に座ると、Yさんは青年と同じテーブルの向かいの席へ。
うちもてっきりコロナ対策で青年と同じテーブルにYさんが座らないのかと思いきや、外国人と喋りたさに結局同じ席へ😅
Yさんが同じテーブルに座ると、青年は席を譲ってくれたYさんと喋ろうと気を遣った様子で自分の椅子をテーブルに少し引き寄せた。コロナ対策もあるので距離をとる様にうちが注意を促そうとした矢先に、間髪入れずにYさんが自分の椅子を後ろへ引きずった。青年がまた少し近付くと、同極磁石の仕組みでYさんは更に後ろへ笑。
自分と喋りたくて同じテーブル席へ座ってきたであろうYさんが後ずさりをするので、不思議そうにしている青年に、
「このお客さんはお喋りはしたいけど、コロナ対策でソーシャルディスタンスをとってるから、お兄さんも少し後ろへ離れてあげて^_^;」と言うとやっと理解できた様子で、後ろにさがった。
するとYさんは椅子をテーブルに引き寄せた笑。

そしてYさんは
「彼にも1杯。あとオレにワイン1杯と、なんかもう一品。追加の2000円ここに置いとくよ」と、1杯目にご注文されたこの店で一番安い酒がまだ殆ど残ってるにも関わらず、この店で2番目に高いアルコールをご注文されたので、念の為
「まだ1杯目が殆ど残ってますよ💦」
というと、
「いーからいーから」と。
そして青年は
「イャイャ、自分デ払イマス💦」と、押し問答(笑)また長くなりそうだったので、
「この方こう見えてお金持ちだから、安心してごちそうになって大丈夫ですよ笑」
と言うと、彼は笑顔で
「ジャアゴチソウニナリマス😄」と。
そこから矢継ぎ早に青年へ質問攻め笑。
Yさんは外国人客が来られると、その国の情勢や経済状況等を訊きたがる。
そこへインドネシア青年のお友達が更にお二人ご来店。
Yさんはテーブル席を離れ、彼らに席を譲ろうとしたが、ここでまたしても譲り合い合戦^_^;
青年は
「椅子ガ4コアルカラ、一緒ニ座リマショウ」
と提案するが、押し問答しながらもYさんはどんどん後ずさりし、徹底的に密を避ける対策をしている事はうちもよく知っていたので、
「コロナ対策でソーシャルディスタンスをとりたい人だから、気にしないで3人とも座って^_^;」
と言うと、遠慮しながらも彼らは座った。

Yさんはというと、当店三枚扉と窓も全開で半露店にも関わらず店内には絶対に入ってこず、店内に居たトイプードルむぎたんのパパが外に出て店内のカウンターを譲ろうとするも、またもや譲り合い合戦が始まりそうになったので、うちが窓の外にあるカウンターを勧めると、やっと納得して下さった笑。
グラスと食べかけの赤いかを外のカウンターへ移動させると、今度はまたむぎパパへ喋り始めた。けども、先程よりもお互いの距離がかなり遠くなったのと、そこへ電車が通る音も加わり、お互いの声が聞き取れて無い笑。
むぎパパが
「えっ!?すいませんよく聞こえなくて💦もう1度お願いします💦」
と、その声すら届いておらず、Yさんはそのまま喋り続ける始末。間に居る自分には聞こえるのでむぎパパに通訳するが、それにむぎパパが大声で返答してもそれすらYさんには聞こえず、うちがむぎパパの返答を大声で通訳するもそれも届かず次の質問がとんでくる笑。
むぎパパも苦笑いしながら聴こえてるフリで相槌。
「Yさん、相変わらずマイペースですね笑。面白いっすけどね笑」と。
Yさんはお茶割りをチェイサーに赤ワインを飲みながら、好き放題喋り散らかして、赤いかの刺身と夏野菜のオリーブオイルソテーを食べ切ると、
「じゃあオレ帰るよ」
と、手を挙げ突然去り掛けたので、千円以上残ったお釣りを返そうと声を掛けようしたが、今までお釣り受け取ってくれた事は一度として無いので、出掛けた声を引っ込めた。
Yさんが大地主である事は、地元では知らない人が居ないぐらいなのに、倹約家なのか、ケチなフリなのかなんなのか。
ただ、緊急事態宣言の最中、お客さんがひとりも居ない真っ昼間を狙ってご来店され、
「これ、受け取って」と、数千円手渡され、どんなにお断りしても聞き入れてもらえず、更に
「オレ1万円だけ出すから、このボロボロのビニールの暖簾、替えたらいいんじゃないの?オレ1万円しか出さないから、足りない分は他の人に出してもらってさ」と勝手な言い分^_^;

頑固で生真面目で倹約家なのに、
コロナ禍でも揺るがない独自の理論で自ら出歩いて飲食店をなんとか応援して経済を回そうとするシャイなお姿に、うちは戸惑いながらも、敬服する。

浜松市天竜区水窪の新店和泉屋の屋根と外壁の補修工事に使わせて頂きます。 よろしくお願い致します。