Dとの再会 #2

そんな彼女と再会したのは3ヶ月後だった 例のバーにいくと、男と親しそうに身体を寄せ合っている。所詮、バーで男を漁るような女かと思いつつ、見ないふりをしつつ酒を飲む。やがて、彼女は飽きたのか帰っていった。自分も帰ることにした。

バーからの最寄り駅に着くと前に先程みた後ろ姿が見える。たまたま、路線が同じなのか。しかし、僕には関係ない。離れた車両の電車に乗り込む。彼女は二駅後で降りていった。そして、何故か自分も降りていた。

彼女にとって男はだれでもいいんだろう。

あんな女に関わることはない

頭の中では警鐘を鳴らしているのに、追いかけて引き止めて連絡先を書いた紙を渡していた。付けられていたことに驚いたのか、動揺を隠せない様子だったが、最後には受け取りますので、ここでお引き取り下さいといい受け取った後に素早く去っていった。たぶん連絡はこないだろう。何故こんなことをしてしまったのか、後悔しつつ自分も愛猫の待つ家へ帰路についた。しばらくは自分もそのバーに行くこともなく、仕事に打ち込んだ。

連絡が来たのは半年後、会うことも若干躊躇ったが、店を決め、会うことになった。話すとからっとしている性格のようで、事務の仕事をしているという。意外にまともな人であった。予約していたので、時間が来たら店をでた。さて、このあとどうしよう。

このまま紳士的に送るか、ホテルに誘うか、正直セックスはしたい。しかし、今日はここで解散したほうがいいのか、彼女は駅とは逆のラブホ街の方へ歩いて行く。
なんだ、あちらもそのつもりだったのか、ならと思い付いて行くと行き先はビジネスホテルであった。

チェックインは済ませていたようで、エレベーターであがり、カードキーで部屋をあけてくれた。どうぞ、と促され一瞬は躊躇ったがこちらは男だ、いざとなれば逃げられると思い、部屋に入った。ドアが閉まり小さなソファに2人で腰掛ける。何か話すべきか、ぎこちなく腕を彼女の肩に回す。

そうなれば、水が流れるようにお互いを止めることはできない。念のため買っておいた避妊具をとりだし、ベッドに倒れ込んだ。情事の後にうっかり寝てしまったようで、目が覚めると5時、家に帰ってシャワーを浴び、会社に行かないといけない。仕事用の携帯をチェックし、大量のメールがきていることにうんざりしつつも、帰りますと一言言って部屋をでた。
バスローブ姿の彼女の少し寂しそうにしている顔が最後に見えた。

その後、僕は同窓会で再会した女と付き合い始め、同棲し、彼女の妊娠を機に結婚した。子供にも恵まれた。

彼女から連絡がくることもあったがすべて無視した。

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