ボスニア・ヘルツェゴヴィナ（BiH）の首都サラエボ市からお届けしています。こんばんは🌟Dobro veče

現在、イスラエルとハマスの戦闘でサラエボ市は市長以下、長きに渡りBiHは他民族国家であり寛容と共存をベースに平和的な社会が成り立っていることを改めて訴えました。

サラエボ特化型noteなので、自分自身の機微な感情を書くことは少ないのですが、今回どうしても飼い猫について書きたくて、２回シリーズ（２回目は12月末）でお届け致したく、お付き合い頂ければ幸です。

我が家に子猫がやってきた

2011年3月11日の東日本大震災

東日本大震災の被害をここで述べるのは割愛しますが、私は首都圏に住んでいたので余震が続き、輪番停電の告知があったり、水や電池の買い占めがあったりと穏やかではない生活をしていました。

その2ヶ月後、近所のショッピングモールへ食料品の買い物へ行ったときに、出会ってしまったのです。

なんとも！可愛い真っ白な子猫。
ペットショップのガラスケースの中でちんまりと座っていました。

私は幼少期、鯉と熱帯魚とカメを飼ったことがありますが、犬や猫など王道のペットを飼った事はありませんし、猫を飼っている知人はサザエさんの磯野家くらいでした。
（リアルにいないという事です）

強い磁石に惹きつけられるようにペットショップの店内に入り、子猫をガラスケースから見つめました。目が合いました。

「あの～コレ、飼います」

と腹話術師に操られた人形のように、勝手に言葉が漏れてしまいました。

「え！？！？　ありがとうございます！今、ケースから出すので、見てあげて下さい（先ずは）」

ペットショップの女性店員さんが子猫を取り上げました。
そして、子猫に店員さんが掛けた言葉を聞いて、私は涙が溢れてしまいました。

「良かったね、お母さんができたよ」と、生後、数カ月が経過している子猫の行く末を心から安堵している様子が彼女から伝わってきたのです。もう売れ残りクリスマスケーキな存在。
私は周囲なんか気にせず泣いてしまいました。

私の異常行動、いかに？

大震災があって、とんでもない虚無感に襲われていた為でしょう。
さらに情緒も不安定でした。一瞬にして平凡な日常生活が奪われてしまった恐怖から、全く抜け出せずにいました。
「家族や友人がもっと欲しい」「一人になりたくない」と意識下で切望していて、子猫に心が奪われ、さらには「生き物を救う事ができた」という喜びが涙腺を爆発させたのだと思います。

そして、この1月生まれの子猫は3月の大震災とその後も続く余震、けたたましく鳴る防災アラートに怯え、ガラスケースの中で暮らしていたのかと思うと胸が痛みました。
（子猫も今は12歳になったシニア猫ですが、今もなおビクビクと小心者なのはその後遺症かな？）

数日後、そのペットショップの前を通った時にすれ違った女子高生2人が
「あれ？あの可愛い子猫がいないね！売られたんだね」といった会話が聞こえてきました。
２人の前を立ちふさぎ、
「はい、私が買いました！」とドヤ顔で言い放ちたかったのですが、理性が勝りました。
やっぱりあの可愛さは通行人をも圧倒していたんですね。

日本から海外へ、輸出手続き

子猫が我が家にやってきて３か月後、
海外へ行くことが突如決まり輸出手続きを始めました。どんな因果でしょう。。。もう少し早く分かっていたら子猫を迎え入れることはしなかったでしょう。

輸出の手続きです。
マイクロチップの装着と２回の狂犬病ワクチンと抗体価の検査をし、動物検疫所で出国前手続きをするなど公的な手続きを行うのみです。
但し、短期（2年以内）で帰国予定が分かっていたらもうひと手間手続きをすると帰国が楽になります。

飛行機に載せる時は、超小柄ならキャビン、引田天功なみのちっちゃなケージに入れたく無ければ貨物預けになります。

１５年前はカタール、エミレーツにペットを載せることが出来なかったのですが（競走馬のサラブレッドはOK）今はペットフレンドリーで乗せられない飛行機会社は少なくなりました。

世界中でペットショップが消える

さて、現在は猫を購入したペットショップはショッピングモールにはありません。カフェになっていました。

10年も経つと社会の論調も変わり動物愛護の観点から、国内のペットショップは減少しています。ペットショップの経営を支えているのは、残念ながら新たな犬猫を供給するという命の大量生産・大量消費です。

フランスの話になりますが、2024年1月からペットショップで犬猫の販売を禁止する法律が可決されました。コロナ禍で多くの人が自宅で仕事をし、閉ざされた生活でペットは心の支えになりましたが、皆オフィスに戻り始め、さらにはバカンスシーズンになると捨てられるペットが激増しました。一世帯に１匹はいると言われているフランㇲでは年間１０万匹も飼育放棄されているとの事です。

今後、フランスでペットを飼うためにはブリーダーを通して、又は保護された動物を引き取る形が主流となります。また、新しくペットオーナになる人は飼育放棄をしないなどの宣誓と署名をし、引き渡しまでの７日間は考え直すための期間が設けられます。（日本のクーリングオフみたいな）

ペットは動くオモチャではありません

けど、えらそうに言う私はどうなのだろう・・
ワールドツアーに連れまわしている落ち着かないこの生活。
「サイテーなお母さんだ」と私は1ヶ月落ち込んでいます。

夜になると私のベッドに必ずやって来て、丁寧に毛づくろいをして、寝息を立てて熟睡する年をとったシニア猫を、夜中、じっと見つめるお母さんの私。

０歳からずっと一緒で、いつもそばに居た我が子です。
それがこの度、私の愚かなミスで１３歳の誕生日を一緒にお祝いが出来ず、一時的に離れ離れになってしまいます。

狂犬病清浄国へ異動

狂犬病は恐ろしい病気です。
狂犬病｜厚生労働省 (mhlw.go.jp)
狂犬病にかかった動物に咬まれた部位から唾液に含まれるウイルスが侵入し、動物も人も１００パーセントの致死率です。年間世界中で５万人以上も命を落としています。

約２００もの世界の国や地域の中で農林水産大臣によって「狂犬病の発生がない」と認められているのは、日本、オーストラリア、ハワイ、グアム、イギリス、ノルウェーをはじめとする11の国・地域だけです。

日本は狂犬病が４４年間ゼロ

昭和32 (1957) 年から、もう狂犬病が44年間も発生がないとの事です。

狂犬病予防法が制定される1950年以前、日本国内では多くの犬が狂犬病と診断され、ヒトも狂犬病に感染し死亡していました。
現在、日本では狂犬病の発生はありません。しかし狂犬病は、世界のほとんどの地域で依然として発生しており、日本は常に侵入の脅威に晒されていることから、侵入に備えた対策が重要となっており、ペットの入国は大変厳格です。

百鬼園先生のお気持ち痛いほど

次回は、飼い猫と一時的に離れ離れになってしまう経緯をお伝えします。そして、必ず再会と一生離れないと誓って書きます。

もし、海外で猫を飼っていらっしゃるかたがいたら、迷わずコンスタントに予防接種を。そして、「二度と日本に戻らないかも」と考えていらっしゃる方も。