見出し画像

パーソナル・ブランディング ② 入社試験の場合~3分で読めるブランドのチカラ (78)

○ 入社試験に必要なパーソナル・ブランディング
○ マイナビの示す模範回答
○ トータルで1,000字近くなるエントリーシート
○ 面接官も人の子、読むのが辛い
○ ブランド・ソーマを使って好感爆上げ

前回 (77) で、パーソナル・ブランディングもブランディングである以上は商行為で、買ってくれるひと、言い換えるとクライアントが存在する、と書きました。

つまりはパーソナル・ブランディングとは「自分を売る」行為で、最初にアタマに浮かぶ例として2021年度M1グランプリ※お笑いコンビの錦鯉を取り上げました。

今回はパーソナル・ブランディングが必要となる別のケースについて書きたいと思います。

それは企業の入社試験です。

新卒入社希望者はエントリーシートや履歴書などの書類審査を経て、筆記試験、面接審査へと進みますよね。中途入社の場合は職務履歴書ですか。

入社志望者はまさに全力で「自分を売る」わけですから、この全てのプロセスにパーソナル・ブランディングが必要になります。意識せずとも大なり小なりやっているはずです。

やっていないひと、出来ていないひとは…多分試験に落ちています。LOL

マイナビが新卒学生の場合のエントリーシートの作成の仕方を紹介しています。

学歴などの基本事項の記入の仕方はそれはそれとして、自己アピールのための重要事項として、自己PR、学生時代に最も打ち込んだこと、志望動機の三つをあげています。

それぞれに文章例をあげて、こうするともっと良くなると言う添削例が、注意ポイントと併せて書かれているわけです。

添削例、注意すべきところ、実に的を得ているなぁと感心しました。マイナビだけのことはあります。

紹介されている自己PRの項では、小学校入学以来、水泳に取り組んできた学生の例で、日々の努力や裏方としてのサポートもしてきたこと、その結果全国大会に出場できたことなどが400字強の文章にまとめられています。

主な注意点としては、結論は最初に持ってくる、結論を裏付ける経験や成果で説得力を持たせる、自分の弱点にも触れる、などがあり、読み手の立場も考慮して適度な文章量 (特に規定がない場合は400~500文字が目安) にすべしとのアドバイスと添削例が。

学生時代最も打ち込んだ項は、自己PRの内容を敷衍し、エピソードを入れ、人間的成長についても触れると良いと、書かれています。

えーと、完成形を見ると、実にそつなく出来上がっていて、文句のつけどころがありません。ありませんが、多分記憶にも残りません。LOL

多くのひとを対象としていると汎用性が必要となり、どうしても尖ったことは書けないんですよね。わかります。

で、私は逆に尖ったこと、極論を書きたいと思います。

ブランディングは一瞬にして対象者の脳の意識下に、好印象の楔を打ち込むものです。

そして、打ち込まれた好印象は主に視覚と聴覚に凝縮されたブランド・ソーマ※をきっかけに蘇ります。

400字も費やしていては、むしろブランドは曖昧模糊としてしまい記憶に残りません。

私は会社員だった頃に何度も採用面接をしたので、実感持って断言できます。

400字の自己PRを読むのは辛い。

さらに400字の「学生時代に最も力を入れたこと」が待っている。

そして少し分量は減るが「志望動機」。併せて千字強。

「読み手の立場を考慮して」くれるなら、もっと短くもっと簡潔にしてくれ。LOL

だって、自分の担当する受験生だけで数十人になるんですから。50人だったら全部で5万字ですよ。新書本の半分くらいのボリュームです。無理。

もちろん事前に資料としてそれらは目を通しておくのだけれど、当然志望者たちは「失敗しないエントリーシートの書き方」マニュアルを会得して書き込んでくるのであります。


畢竟みな大差ない「よくできたエントリーシート」の山となり、記憶に残ることは逆にないのです。


面接官を何度も経験したと書きましたが、私の記憶に残った、20年近く経った今でも思い出す女子学生のエントリーシートがあります。

マイナビの例を出したのは、エントリーシートと面接が記憶に残っている彼女が高校まで水泳選手をやっていたひとだからです。

この方のことはいたく感心して、備忘録にメモったので、よく覚えています。

その女性のエントリーシートの自己PRは、私の身体は水泳で出来ています、の一文から始まっていました。

人間のカラダは60%は水である、とはよく言われることです。50%だったかな。まぁ、半分以上は水分と言ってよいのでしょう。

彼女のカラダは水泳で出来ている…水じゃなくて?

え?と思った瞬間、もう彼女の話に引き込まれているわけです。

詳しく覚えてはいませんが、他にも面接の際に印象に残っているのは…

○ 私の肺活量は普通の人をはるかに超えている。水の中で三分息をとめていられる。(四分だったかも。とにかく、嘘っ!と思った記憶あり)

○ スタートの号令音への反応が早いので、前半はいつもリードできる。

これって、視覚と聴覚に訴えるブランド・ソーマになってますね。結びつく先のイメージは

○肺活量大、ひとより長く息を止められる→我慢強い体育会系
○スタート号令音への反応早い→仕事での素早さ

なんですね、多分。

肺活量では、水の中に長い時間、目をあけて鼻をつまんでほっぺたを膨らまして我慢するスイミングスーツの彼女のビジュアルが浮かびます。

そしてスタートの反応がいいという話には、ピッというスタート号令音が聴こえてくるんです。

マイナビでは自分が打ち込んできたことの結果や成果を記入して説得力を持たせるようにとのアドバイスでした。

彼女も自己PRにインターハイ出場と書いてありましたが、説得力は肺活量と号令音反応の方が強いんです。視覚聴覚にリンクされてますから。

自己PRは「ビジュアルが見える」か「聴こえる」ように書くべし、というのがブランディング的見地からのおすすめです。まじで。


最後に。

このブログを読んで頂いたあなたは、ブランディング&マーケティングに関心のある方だと思います。

ブランディング&マーケティングTipsを月一程度発信するメルマガならぬライマガを公式LINEでやっています。

LINE友だちになって頂いた方には「ブランドの正体」という、私がブランディングの説明によく使うスライドを解説付き(25頁)で無料プレゼントしていますので良かったら是非。

友だち登録は、このURLをクリックして下さい。
http://lin.ee/bnKEbVq


※ M1 グランプリ  吉本興業と朝日放送テレビが共催している、毎年の若手の漫才師のナンバーワンを決めるコンテスト。全国テレビ朝日系列で放送している。2001年~2010年。中断後、2015年から再開。

※ ブランド・ソーマ  グローバル調査会社のミルウォード・ブラウン南アフリカの会長、エリック・デュ・プレシスの作った考えと造語。ひとの意識下に隠れている「直感」は多くの経験を踏まえたうえの合理的な脳の反応であり、ひとの行動を特定の方向に誘引する、とする著名な神経学者のアントニオ・ダマシオの説を敷衍して、ブランドに紐づけられる「直感」がある、それをブランド・ソーマと呼びたい、とプレシスがとなえた。ソーマ、Somaは英語で肉体という意味でmentalの対義語。直感は心理的、精神的なものではなく、脳に記憶された合理的な反射、つまり物理的、肉体的なものであるとする説。




ブランディング&マーケティング虎の巻を満載したホームページはこちら 

http://causeplanning.hp.peraichi.com/home






















この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?