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2978ツクルバ

明日上場のツクルバは本格的な展開に踏み出してからまだ浅く、現時点では今後どれだけの率で、どの程度まで成長できるのか、その評価がレコード不足で難しいところがあります。このあたりは以前の記事で述べました。

今回は、現時点でできる評価を試みます。

※ 広告と人件費を除く販管費について修正しました。 7/30 20時

切り口は、類似企業との比較です。

①中古マンションを対象にしている、
②ウェブで集客している、
③少ない人員でクロージングしている、
、という点でGATechnologiesが近いと感じますので、これを基準に考えます。
GAは物件を仕入販売していて、ツクルバは仲介がメインである、という大きな違いはありますが。

まず、コスト構造を見ます。

基本的に顧客≒新規顧客と解釈できる業種なので、それを獲得しつづける広告は経常的なコストです。また、クロージングに必要な営業や物件掲載に係るエンジニアのコストも経常的なもので固定化は難しいものと認識します。

GAのコスト構造は、過去2期ほどを見ると「広告+人件費」が粗利の概ね4割、その他のコストで同じく4割、合わせて粗利の8割程度の販管費を計上しています。

ツクルバにおいても「広告+人件費」は粗利の概ね4割程度に収斂するものと認識できそうです。(前記事参照)
その他のコストは3Qから類推すると4割以下の可能性があるうえ、前期からそう増えていないと目されること、またオフィス代など固定的な要素の影響が売上水準が低いため相対的に大きく、この低下が見込めるため、ザックリ2割〜
3割程度と認識してみます。

次に、GAの予想PERがどの程度であったかを考えます。
粗利については、
・ 上場時は現在の19.10会社計画(売上から粗利計画を推定)、
・ 現在はQごとの粗利の伸びがリニアに続いた場合、
を前提に考え、
コスト構造は上述の式を前提に考えると、
・ 初値PER : 約30倍
・ 上場後3か月目にTATERUショックが起きるまでのMAでのPER : 約45倍
・ 現在のPER : 約30倍
となります。

次にツクルバの予想PERが「実質的に」どの程度であるかを考えます。
・ Qごとの粗利の伸びがリニアに続いた場合
・ コスト構造は上述の式を前提に考える
を前提に考えると、公開価格で概ね40倍となります。

LU解除は60倍ということになりますので、ボリュームを考えても今の段階ではLU解除を吸収する資金が入るのは難しいだろう、という印象です。

GAよりも高いPERでも評価しうる点は、以下の通り明確にありそうです。
① 単純に、より高い成長率を実現しやすいステージであること
② 築古物件が多いことから、結果的に投資用での購入が相対的にかなり少ないと考えられること(実需のほうが投資用よりもボラティリティが低いはずなので、相対的に高いプレミアムの要因)
③ 販売物件について仕入を伴わないこと(リスクが相対的に低い)

逆に、相対的に評価が低くなってもおかしくない点は、
① レコードが少ないこと
② 訴求力は非常に高いものの、築年数との比較で見て物件価格が高くなってしまっていることも事実なので、潜在買主(デザインを重視する層)の上限があまり高くない可能性があること(成長の限界が相対的に低い可能性)
です。
とはいえ、②は定性的であり高成長が維持できているうちは明確には意識されにくい要素ではあるため、上場後の決算で高成長を確かめていく展開になった場合には「GAよりも高いPER」が実現していく可能性が十分あるのではないかと思います。

小型株、いまはとりわけグロース株の評価を業績面から行い、見た目のPERではわからない「成長性に鑑みて割安な銘柄」の発掘を目指しています。IPOセカンダリーなど。