普段使いできる陶器にハマり出したのは何年前だったかな。コロナ禍になってお店をうろちょろできなくなり、陶器市や蚤の市も軒並みオンライン開催が主流になった。今では通常開催に戻りほっとしている。そんな中、通販し易い磁器にもハマった。陶器の作家物は現物を見ないと買うのが難しいと個人的には感じるけれど、磁器なら気になる名のメーカーを追えば良いので比較的ポチり易い。食洗機にも入るしいいじゃんいいじゃん、、、この考えがヤバかった。結果全種食器は打ち止めと相成り、自ら禁止令を出している。狭い我が家に置き場は限られ、直ぐに食器棚から溢れてしまった。でも出会ってしまったらそれは仕方がないよね。出会いですから。

陶器との出会い

　作家物の陶器と出会ったのは、とある小さな器屋さんだった。料理にハマり、いつか食器も欲しいなと見始めていた頃、遊び仲間の御母上が近くで器屋さんを営んでいると聞き、直ぐに伺った。直ぐ。お店は始められたばかりとの事で、お店兼ご自宅の素敵な邸宅にお邪魔して器と触れ合う。うわぁぁ。百貨店などで陶器は見始めていたけれど、よくわからなくて足早に売り場を通り過ぎていた。落ち着いて練り歩くメンタルは持ち合わせていない。けれど、そのお店は違った。静かな住宅街にあるお店は、無駄なプレッシャーを一切感じない。店主の御母上も「ごゆっくり〜」とおっしゃっるので、お言葉に甘えて全部見る。だいぶ触る。もちろん指輪なんか全て外した手で、じっくり眺める。近くからも遠くからも。素敵な空間にいるだけで、本当はかなり背伸びしているんだけれど、それでも居させて頂けるだけで幸せな気分だった。大人の階段登ったよね。器を選ぶコツは「何を盛るのか3パターン想像できること」と教えて頂いた。手ごろな小皿から揃え始め、徐々に食卓の格が上がっていった。作っているものは一緒なのにね。
　お茶を点てて頂いたのも嬉しかった。お茶なんて高校の学園祭の時に茶道部に点ててもらつた以来だ。「そんな適当でいいのよー。私なんてお茶やってるお友達に、あなたのお茶は随分とたっぷりねーなんて言われるの」可愛らしい素敵なマダムだ。惚れる。お陰でお茶を習わずして抹茶を求める体質になった。抹茶は良い。海外で抹茶ブームになっているのも良くわかる。美味しいもん。日本人は作法とか気にせず呑めば良いのよ、普通にさ。お茶に関しては別途書こうと思う。

不用品が磁器に化ける

　陶器にハマりだしてから、旦那さんから遠慮がちではあるがはっきりと申し出があった。「素敵なのはよくわかる、が！食洗機に入らないのは辛い」と。ですよね、、、夕飯の食卓が全て食洗機アウトの陶器で並んだ時、旦那さんは悲しい顔をしていた。洗い物担当の申告は真摯に受け止めねばならない。ここでおおっぴらな陶器収集が終わる。でも買わないとは言わないからな！　磁器は食洗機OKなものが多い。もちろん装飾のあるようなものは注意が必要だけれど、私が集めだしたのはARABIAやiittalaなので、ほぼ食洗機OK。意気揚々と集め始めた。この時のテンションはかなり高かったと思う。とは言えお安いものではない。ポチるにしても正規品をポンポン買うほど、お財布の紐は緩まない。陶器の時とは感覚が全く違った。そこで私が手を出したのはフリマサイトだった。しかも家にある不用品を売りさばいてから、その売上を磁器にまわす。これなら文句はあるまい！折しもコロナ真っ只中、時間はあった。最初は読まなくなった書籍類、漫画は売れるのが早くて楽しい。鞄は時間がかかったけれど、無事買い取られて行った。今は部屋を掃除したご褒美に、旦那さんから譲り受けた特撮系のおもちゃをちみちみと売りさばいている。これが良い単価で（笑）また別の時に書こうかな。売るも買うも商品を選ぶコツがあるように感じる。

　陶器の段で既出したお店は少し前に閉店されている。本当に残念。あの時教えて頂いたお陰で、新しい事がそこまで怖くなくなったかもしれない。初めてって緊張するよね。温かく受け止めて貰えた事が本当に嬉しくて、自信にもなった。私もあんなお茶目な可愛いマダムになりたい。歳を重ねることも何も怖くない。今が一番楽しい、を続けたい。