高須賀真之

1989年愛媛県生まれ。2017年12月、ふじのくに⇔せかい演劇祭2017劇評コンクー…

高須賀真之

1989年愛媛県生まれ。2017年12月、ふじのくに⇔せかい演劇祭2017劇評コンクール最優秀賞および入選。2018年1月、第22回シアターアーツ賞佳作。

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ウィニーは死を免れたのか?/かもめマシーン『しあわせな日々』

 「言葉」というより「音楽」を聴いているようだった。第一幕はドラムのセッション、第二幕は野太い(あるいは極く繊細な)管楽器のごとく、ことばと身体が鳴り響く。ことばと身体が一種の“ビート”となって、空間を満たしていく。  かもめマシーンによる『しあわせな日々』の上演では、安堂信也・高橋康也訳ではなく、長嶋確による新訳が採用されたことでことばが意味の重みから解放され、ことばの音=リズムのつらなりが前景化された。ベケットの(原語の)テキストを注意深くみると、韻を踏んでいるとまではい

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      いつからこうなった? いつからこの雨は降ってる? いつから俺は泳いでる? いつからこの狂人に憐れみを感じてる? いつからこうなった? いつまで続く?  『うまれてないからまだしねない』(2014年)は、僕がはじめてみた範宙遊泳の作品だった。当時はまだ東京に住んでおらず、片道1時間以上(そしてそれなりの交通費)をかけて東京へかよっていたこともあり、月に2本舞台をみられたらよい方だった。そんななか出会ったこの作品は、この時期に観劇した舞台作品のなかでも印象深いものだった。舞台上

      • 捩れから浮かび上がるもの/ジエン社『ボードゲームと種の起源』

         かっちりとした「批評」のスタイルで書ける気がいまはしないので(そもそもそういうスタイルがあるのかどうかしらないけれど)、まずは劇中で印象に残った台詞(言葉)について触れるところからはじめてみたい。 チロル「近すぎたわたし?……わたし距離が近くなりすぎるから、人間たちをおかしくさせてしまうらしい」  当日パンフレットの登場人物紹介によると、チロルは「自称妖精の女。妖精の森出身で、3か月前、魔界の門が、ダークエネルギーが、魔の胞子が、なにか、こう、いろいろあってボードゲーム

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