熱海秘宝館の展示物でもっとも興奮したのが、マリリンモンローだった。

このために、私は熱海まではるばる、金と時間をかけてやってきたのだと言っても過言ではない。

映画『７年目の浮気』で地下鉄の通気口の上にたったマリリンモンローのスカートがふわりと浮かぶ様を再現できるのだ。

20世紀の映画史上最も有名なシーンである。

風を起こすのは私で、展示の前にあるハンドルを、これまでの人生一番と行っていいほど真剣かつ力一杯に回したのである。

▲マリリンモンローの展示物。ハンドルを回すと地下鉄が通った様子を再現できる。つまり、通気口から風が吹き上がり、マリリンモンローのスカートがめくれ上がるという仕組み。風が吹かなくとも非常に薄いワンピースだったのでとても興奮させられる。そのさまを稚拙な絵のため表現できずに非常に残念だ。（例によって秘宝のため撮影は禁じられているので、筆者書く。）

これは極めて楽しく、また何度もハンドルを回してしまった私であったのだった。

今まさに是非映画を見てみなければならないと言う焦燥感に駆られているところである。

昔の地下鉄は自動換気式と言って、歩道の上などに通気口があった。

地下鉄が走るたびに風が起きたというわけである。

現代は、換気システムが発展してしまい、また路上に通気口が放置されていることもない。

技術の発展がチラリズムを駆逐してしまい、遺憾千万、残念極まりない限りである。