暮れの元気なご挨拶

2007年12月4日



ちらほらとお歳暮が届き、今年も残りわずかだなと思う。
頂戴するのはスッゴク嬉しいけど、贈るのはかなりユーウツだ。
何でだろう。
来なければ送らずに済むし、実際、
「もうお互いにやめませんか」
と、貨幣経済が発達した現代、原始的物々交換制度の打ち切りに同意してもらった知り合いも数ヶ所ある。
しかしそれでも頂いた以上、答礼せなアカン場合がある。
そんでもって、仕方ないので築地場外に出掛けた。

世は不景気である。
お返しには三千円、五千円、七千円、一万円の4コース設定をしてて、今までは平均的にバラけていたが、最近の中心は五千円コースが金額の上限になりつつある。
先方だって以前はズワイの足がギッシリ詰まった高級缶詰を贈ってくれたのが、同じズワイでも今回はバラけたクズ肉にランクを落としたりしている。
やはりどこも不景気で大変なのだ。
来年あたりはカニカマになっちゃうんだろうか。
(ーー;)

風習とか心遣いのお歳暮やお中元は日本特有の文化でも、それは義理や下心などの意味合いが強かったりする。
現にサラリーマンを辞めた瞬間に、お中元とお歳暮は極端に減った。
社会はシビアだった。
でもそれでいいのだ。
デパートなどはお歳暮商戦を盛んに煽るけど、心のこもらない虚礼や顔つなぎならば、そんなもんはどんどん廃止しよう。

それでも、
「一年間お世話になりました、こちらは元気です」
の意味を込め、五千円コースをふたつだけチョイスして場外を後にした。

すでに築地市場の移転が決定している。
場所は江東区の豊洲。
元々は残土などを持ち込んだ埋立地で、東京ガスの所有地だったものを東京都が購入した。
築地よりもはるかに広い。

以前、バイトで大型トラックで魚を搬入していた時は、早々と午前零時過ぎに入場して荷降ろしを終えたものの、何しろ日本全国からトラックが集まるものだから場内は大混雑で、出場に3時間もかかったことがある。
それでもう半日がパーである。
「築地ブランド」のネームバリューを放棄しなければならない、などの意見も含めて移転反対の声は多いが、入荷するドライバーたちは大歓迎だろう。

しかしこの「築地」は全国区なのだろうかと首をひねることがあった。
東名高速海老名SAでのこと。
トラックの運転席で弁当を食べていたら、隣のスペースに入って来た大阪ナンバーの大型保冷車のドライバーから声を掛けられた。
「ちくちはどう行けばいいんですか?」
「ちくち?」
(ちくちなんて聞いたことないぞ…)
一瞬、築地のことかなと思ったが、プロドライバーが日本一の取引高を誇る築地市場を知らないわけはないと、(ちくち、ちくち、ちくちはどこだ…)と考え込んでしまった。
「築地ブランド」のネームバリューなんて、所詮この程度なんだと知った。


新市場予定地、地下水も“1万倍ベンゼン”
日テレNEWS24 (05月19日21時37分)

 東京・築地市場の移転予定先である東京・江東区の豊洲地区から、環境基準の4万倍を超えるベンゼンが検出された問題で、汚染が広範囲にわたっていることがわかった。
 豊洲地区の土壌汚染について、東京都は19日、専門家会議を開いて調査結果を明らかにした。それによると、土壌から有害なベンゼンが基準の4万3000倍の高濃度で検出されたほかに、地下水からも最大で基準の1万倍を超す濃度のベンゼンが検出された。さらに、有害なシアン化合物も高濃度で検出されていた。
 専門家会議は、都が670億円をかけて土壌を入れ替えるなどとした既存の計画では不十分で、地下水対策も必要であると指摘した。一方、都は倍の1300億円の費用が必要になると試算し直している。
 移転は予定されている2013年から3年遅れる見通しで、築地市場の跡地にオリンピック関連施設を建設するという計画についても、市場の移転が遅れればオリンピック招致に影響が出ることは避けられない見通し。



ベンゼンは発ガン性物質で、造血障害を始めとする再生不良性貧血などをを引き起こすらしい。
食品を扱う市場の土壌が発ガン性物質に汚染されているとは恐ろしい。
土地購入代金の他に1300億円もの出費が必要になるらしい。
東京ガスがうまく売り抜けたのかはわからないが、ロクな地質調査もせずに購入した都の責任は大きい。
都はオリンピックに照準を合わせ、やっきになっている。
表土を2メートルだけ入れ替えて、「もう大丈夫です」などと言われては困る。
オリンピック招致に影響が出る、と危惧するなら、いっそ豊洲でオリンピックを行えばいい。
でも汚染された場所で開催するとなったら、各国から大クレームやボイコットが出るだろう。
そんな土地へ、都は市場を移転させようとしているのだ。
ベンゼンの他にも、表層土壌や地下水からは環境基準の10倍を超えるシアン化合物、ヒ素、鉛、水銀、六価クロム、カドミウムなどが検出されている。

しかし決定してしまったのだからもう仕方ないらしい。
環境対策を完璧に行なってくれることを願うだけである。
しかし、土を入れ替えるといっても、汚染された土を今度はどこへ持って行くんだろう。
ババ抜きは絶対に避けなければいけない。
都知事は絶対に「指導力」を間違ってはいけない。
地下水だって地盤の弱い埋立地なら、直下型地震が起きれば液状化現象で必ず地表に溢れ出すのだ。

「都知事の指導力」で注目していた別の問題がある。


「都は参議院の家来じゃない」石原知事、議員宿舎問題で怒り爆発
MSN産経ニュース (2008.11.27 20:31)

このニュースのトピックス:東京都政
 参議院清水谷議員宿舎(東京都千代田区)の移転・建て替えに東京都が反対している問題で、石原慎太郎都知事は27日、報道陣に対し「東京は東京の案がある。もともと東京は、元の所に(現在地に)建てたらどうだと言っている。具体的な案を参院に示す」と述べ、参院側が提示している計画変更案を受け入れない方針を示した。
 参院側が21日、緑化率を高めて低層化を図るなどした計画変更案を都に提示し、当初26日までの回答を求めていたことについては、「東京都は別に参議院の子分でもない。家来じゃないんだ、都は。地方分権の時代に」と怒りを爆発させた。
 また、宿舎問題を検討するプロジェクトチーム(PT)の座長を務める参院の西岡武夫議院運営委員長と石原知事が12月1日午後に会談を行うことが決定。参院宿舎の移転・建て替え問題の協議を再開させる。



その後、この問題は白紙に戻った。
議員定数を減らさなければ国の横暴はいつまで経っても止まらないし、
「東京都は別に参議院の子分でもない。家来じゃないんだ、都は。地方分権の時代に」
発言は痛快だった。
その通りである。
政府税制調査会委員と地方分権改革推進委員を務める副知事の猪瀬直樹の意思が大きく反映したことも大きい。

国は引っ込んでいて貰いたい、カニカマでカニ玉を作ったら美味いのか、などと思いつつ、缶詰のカニでチャーハンを作って食べた師走の一日であった。


付記

<「築地」移転>予定地の発がん性物質濃度、公表の115倍
毎日新聞(01月26日12時17分)

築地市場と移転予定地

 東京都中央卸売市場築地市場の移転予定地である豊洲地区(江東区)の土壌から昨年、発がん性物質「ベンゾ(a)ピレン」が公表値の115倍の濃度で検出されていたことが分かった。都は当時、汚染対策を検討するため公開で開いていた専門家会議にこの結果を報告しておらず、「情報隠し」との批判を招きそうだ。

 都によると当初、予定地から土壌1キログラム当たり最大5.1ミリグラムのベンゾ(a)ピレンが検出され、07年11月に専門家会議で公表。詳しく調査するよう指摘されたため、民間業者に改めて調査を委託した。その結果、当初報告された最大値の115倍に当たる590ミリグラムが検出され、業者側は08年6月、都に報告書を提出。しかし都は専門家会議では報告せず、会議終了後の同11月になってから委員に電子メールで報告したという。

 都中央卸売市場の担当者は「ベンゾ(a)ピレンは専門家会議の調査対象になっていなかったため、報告書の記載に気づくのが遅れた。情報隠しではない。専門家からは健康に影響が出る値ではないと聞いている」と釈明している。

 ベンゾ(a)ピレンはディーゼル車の排ガスなどに含まれる化学物質。環境基準は設定されていないが、健康リスクが高いと指摘されている。豊洲地区の移転予定地では基準値の4万倍以上のベンゼンなどが検出され、都は586億円かけて汚染を除去し、14年末の開場を目指す方針を明らかにしている。【江畑佳明】



珍しく都政を褒めたとたんにこの報道である。
隠ぺい体質は相変わらずだ。
もう絶対に褒めないからな!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?