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『十二国記』の『白銀の墟 玄の月』を読む

こんにちは、東京スタジオのヤマケイです。


10月12日(土)に発売された『十二国記』シリーズ18年ぶりの新作長編、『白銀の墟 玄の月』の1・2巻を読みました。

なんと今回、1~4巻でひとつのシナリオであり、3・4巻は11月9日(土)発売予定です。

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1・2巻を読んだ後、生殺し状態になるファン続出。

でも既に18年待ったため、あとひとつきくらいどうということはない!と理性では思いますが、心は戴国から帰ってきません。

小野不由美先生の作品は、色んな意味でドライに待てない。


『十二国記』シリーズは、地球と、十二の国がある世界が蝕と呼ばれる現象で時おり繋がるという設定のある小説です。

嵐のような現象であることから、発売日にかぶってきた台風19号は、ファンの間で蝕と呼ばれたりもしていました。

台風のなか無理して買いにいかないように公式ツイッターも呼び掛けるという事態になっていましたが、発売3日で各10万部の増刷が決まったそうです。


本を読み始めたきっかけは昔、年下小学生の従姉妹が読んでいて、「面白いよ!」と言われて読んでみたのが最初です。

読み始めた当初、異世界に行ってしまう少女の話はいくつか知っていたのですが、「暗!!これを年下のあの子が読んだのか」と心配になりながら読んだ覚えがあります。

十二国記は設定こそファンタジーですが、歴史小説並みに骨太です。

「異世界に来ちゃった☆でも私王様なんだって!なんとか助けてくれる人とも会えたし、頑張るぞ☆」とか、麒麟や妖魔が出てくるファンタジーでありながら「俺の能力や運が良すぎて敵がザコ!」は、一切ありません。

強い妖魔を使令として保持していても、奸計によって無効化されたりします。

とはいえ「絶望しかないじゃん…」という話でもありません。

(今回の作品はネタバレしたくても出来ない状態にちゃんとなっているのですが、以下にこれまでのあらすじをざっくり書いたりしているため、「これから読もうと思っている」という方はご注意ください。)


『白銀の墟 玄の月』の面白いところは、「おっとこれは…巨悪と思っていた者の様子がおかしいぞ…」という空気です。

読者は、戴国の泰麒(麒麟)がどのような経緯で日本に生まれてしまったのかを知っています。

周囲の努力の甲斐あって10歳で十二国に戻って来たものの、国を知らないし、麒麟と言われてもなんのことやらと思っている少年が使令や王を得てほっとしたのもつかの間、謀反によって記憶と麒麟としての能力を失って日本に逃げるはめになった経緯も知っています。

そして、日本の日常でも様々なトラブルに遭いながらも、やっとこ戴国に戻ってきたところなのです。

小さいころから見ていた子が大きくなって、「生死不明だった王と再会して国を立て直すための戦い」を始めるのか、と思っていた。

でもなんだかそうではない。

「誰もなにもしないから、国が荒れている」。


読みながら、「そういう会社ある!」と思ってしまう事態になっている。

「天」のルールやシステムを作ったとされる、「天帝」の話もしてくれるのだろうか…。

3・4巻が楽しみです。

PVのナレーションは、2002~2003年のNHKテレビアニメで高里要を演じた声優・岡野浩介さん

たのむ…泰麒…しあわせになってくれ…。


『十二国記』は、山田章博さんのイラストがとても綺麗でグッズにもなっているのでオススメです。

10月18日(金)までは、東京メトロ新宿駅に柱巻広告が登場しています。

世界観やキャラクターを忘れた方は、10月4日(金)に発売した、「ダ・ヴィンチ」11月号の世界ガイドを見てみるのもいいかもしれません。


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ニイザト

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ヤマケイ