近隣の国にまたもや追い越されるのか 減り続ける「文化の拠点」 毎日消えていく書店

日本では毎日3つ書店がなくなっていくという衝撃(?)の事実。わたしが住んでいる地域でもこの5年ほどで3店がなくなりました。1店は個人店で、昼間はレジの横でおばあちゃんが猫を抱いて昼寝をしているような本屋さんでしたが、後継ぎが不在なのか売上が減って維持できなくなったのか、ある日閉店になり跡地は集合住宅になりました。もう1店はもう少し若い世代が経営していたと思われますが閉店してしまい、もう1店は鉄道会社が経営する書店チェーンで、こちらは不採算のため撤退したのでしょう。

自宅から徒歩圏にある「複合文化施設」と銘打つビル内に、それなりの規模の書店が残っていますし、そもそも買う本の半分以上はネット経由で購入しているので大きな不便は感じないのですが(こういう人間が増えたことが書店減少の大きな要因なのでしょうが……)、このままのペースで減っていくと、本屋といえばターミナル駅周辺にある大型書店しか知らなかったり、都市部以外では、多数の本が並んでいる姿は学校の図書室でしか見たことがない、という世代が出てきてしまうのかもしれません

日本はもちろん、中国でも韓国でも(たぶん世界中で)書店の数は減少傾向にあるようですが、中国では政府が書店を増やす後押しをしているほか、毎年数百ずつ増えるショッピングモールに書店を出すと、不動産開発業者の戦略で数年間家賃が無料になるとのこと。モール内に豪華な書店があると「施設の格が上がる」ことに加え、政府への忖度の意味合いもあるようです。


中国政府は、AIをはじめとした次世代の覇権争いに邁進中ですが、そういったハードな話だけではなく「文化大国」になるための動きも推進していて、映画館・劇場・書店を増やすことにも熱心なようです。一方で言論統制が未だ行われていることも事実ですが、文化力=国力だということを政府の幹部が具体的に理解しているということなのでしょう。

政府の号令だけではなく、書店が増えている要因としては、文革時代(焚書まで行われていた!)に制限を受けた世代を中心に、自分たちの子供や孫たちには自由に文化に触れさせたいという熱情が大きいとのことで、政府やビジネスの都合だけであれば「張りぼて」で終わってしまう可能性もあるのでしょうが、もともと教育に熱心な国民性という説もありますし書店はこれからも増えていくのでしょう。

1960年代から70年代にかけての文化大革命の間は読める書物はいっそう限られていた。そのころに育ち、いま親や祖父母となった大人の夢が書店に投影されているという。子供や孫には自分が読めなかった良い本を与えたい、と。「豊かになった人々が文化にかける熱情は大きいのです」

日本が書店が減少していき歯止めがきかない一方、中国では一般人のニーズに加え政府が後押しして書店が増加傾向にある。この傾向がこれからも続いたとしたら、そのうち一般的な知識水準で、日本は中国に遥かに追い越されてしまうのかもしれません


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