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刺繍を趣味にすると病まない

だしぬけに恐縮なんですけど、刺繍の良さについて説明させてください。3つあります。

1. 長谷部ばりに心が整う

Googleやマサチューセッツ工科大がガチ研究してることで有名なマインドフルネスってあるじゃないですか。ストレスで損傷した海馬が回復したとかコルチゾールが抑えられたとかドーパミンとβエンドルフィンが増加したとか、とにかく精神衛生上ハチャメチャに良いという評判のアレなんですけど、調べるとやり方がムズいんですね。瞑想の呼吸法とか出てくる。でも言わせてください、刺繍やったら一発です。

マインドフルネスとは平たく言うと「今この瞬間の状態に意識を全振りする」という過集中状態に自分を持っていくことなんですが、刺繍針を手に布地と向かい合うとき、一瞬にして世界は布と糸だけになり、なんら苦もなく自意識スイッチが自動OFFに切り替わります。

(▲私は初めての刺繍では、マンガ『寄生獣』のひとコマを縫いました。)

現代人は全員もれなく自意識過剰だと思うんですけど、小一時間だけでも「私は/私が/私って」の意識から解放されて自意識OFFになると、パンパンにむくんだ赤黒い脳がたちまちクールダウンして正常な灰色に戻るのがわかります。

今日あったことが頭の中でリフレインしないし、理由もわからず気分がモヤモヤするタイプの不機嫌もすっきり治るし、おふとんに入ったら爽やかにぐっすりよく眠れます。

(▲「バキ」最凶死刑囚編のスペック vs. 花山薫 戦で、花山の拳を顔面に喰らうスペックです。刃牙シリーズ通してベストバウトのひとつだと思います。)

2. とにかく安あがり

私が刺繍を始めたころ、私の賃金は低く、世界にまだNetflixは存在していませんでした。すなわちお金はなく、時間だけがありました。
刺繍糸は一束80円、布は数百円。この材料で埋まる時間は軽く見積もって約10時間として、こんなにコスパの良い趣味が他にありましょうか。
軽い気持ちで始めて、途中で投げ出したって何も惜しくないです。精神的負担も金銭的負担も、そのレベルで良いので、ハードルは激低です。

(▲好きなプロレスラー鈴木秀樹選手の、好きな技2つ。相手は田中将斗選手と、船木誠勝選手です。試合映像を一時停止して図案を書くのが大変でした。)

3. 褒められる

刺繍が完成したら、身近な人に「見て見てー」と見せて回ってみてください。経験上、どんなに稚拙な刺繍であれ、ほとんどの人に褒められます。これは推測ですが、多くの人は刺繍の完成度や審美的な美しさ等を見ているのではなく、「(たくさんのコンテンツにあふれた今このご時世にわざわざ好きこのんで刺繡をやっているなんてなんかストイックっていうか不憫っていうか)すごいね!」と感じてくれます。それは立派な1いいね!にカウントできますので、自己肯定感を育む一助としてください。

以上、刺繍の良さをお伝えしました。マインドフルで、コスト的なプレッシャーもなく、褒められて伸びる。圧倒的に病みにくくなるので、ストレス社会で戦う現代人におすすめせざるを得ない最高の趣味だと思います。

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あとこれは個人的な意見ですが、刺繍は最後まで完成させられなくても良いし、ど下手クソでも良いと思います。SNSに載せなければ良いだけです。

(▲一時期、血迷って服に刺繍していたこともありますが、“おしゃれか否か”という別の評価軸が自分の中に生まれてしまい邪念でしかなかったので、いまは辞めました。)

作品を作るような気持ちで刺繍にのぞむ人も多いと思いますが、私の場合は写経のような気持ちでやっています。「縫い続けている時間」そのものが目的であって、モノを完成させることが目的ではないと思えば、縫い始めるのも途中で投げ出すのも気軽なものです。

皆さんもぜひ、お好きな図案で始めてみてください。

(▲現在は糸の刺繍ではなく、フェルト刺繍という手法で、昔の東スポの見出しを縫い取っております。)

このエントリを書いた人:ブル東中野
次回は"ググっても出ない草プロレスの世界"について書きます。

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