憧れの情景2018

憧れの情景2018

話は少々前後してしまいますが、、、、その他の庭での時間です。
早春のやわらかな日差しを昼間に一瞬でも感じられるようになったら、
早速庭に飛び出して、小さな球根たちの成長具合を確認し、
ガーデンチェアーやパラソルを引っ張り出してきて虫干しです。

ガーデンパラソル、いろいろと色柄をさまよって、3本目でようやく、
うちの庭にしっくりくる色、深めの赤系、レンガ色に落ち着きました。
大きいと広く影ができていいんですが(角度も変えられますし)、
風には要注意です。結構怖いですよ、上空でブルブル揺れると(^^;)

ローズガーデンの中には、ミニ水仙と数種類のチューリップ、ムスカリを
植えていますが、これらは仲良く開花してくれて、まだ花のない季節に、
彩りを与えてくれます。ここ数年植えっぱなしですが、元気です。
特に私は水仙が好き。1月も中旬になると、アイルランドから空輸で、
どんどん水仙の小さなブーケが到着し、店頭に2ヶ月ほど並びます。

春を呼ぶ花なのです。庭の花をあまり切れない私は(数もないので、笑)
毎週のようにこのブーケを買って飾ります。もはや私の春の習慣。
ワーズワースの歌にも出てくる水仙の群生地は憧れの情景その1です。

それは大好きなウェールズや、オースチンのナーサリーのある州の風景。
イギリスにはこれまで寒い頃ばかりの滞在で、残念ながら霧は見ても
花を見ることがなかったのですが、いつか春から初夏にかけてたっぷりと、
水仙やバラが咲く姿を追いかける旅に行きたいものです。

そうそう、私の庭にはワイルドフラワーガーデンと命名した場所もあって、
半分でイチゴを(これも植えっぱなし)、半分で花を育てています。
ワイルドフラワー、最初の頃はミックスの種をまいていましたが、
だんだんと好みの配合に変わっていき、今ではヤグルマギクとルピナス、
数種類のコスモスがメインになってきました。これらも群生が素敵。
特にヤグルマギク、このサファイアブルーの群生をいつか見に行きたい。
憧れの情景その2です。場所は、、、私的にはエストニア希望(笑)。

一輪を愛でるのもいいですが、群生というのは本当、心惹かれますよね。
世界がその色で埋め尽くされる贅沢さ、そんな思い出には白もあります。
初めてトルコに行ったのは'94のことで、春まだ浅い頃でした。
一面ね、アーモンドの花が咲いていたんです、白い白い風景でした。
その日、ボスポラス海峡をのぼっていくフェリーのデッキから
向かい合うように聳え立つ、両岸の砦を見つめました。

1453年、東ローマ帝国、ビザンティン帝国の最後の風景と同じはず。
塩野七生さんの「コンスタンティノープルの陥落」。
好きというか手放せない1冊でこの時ももちろん読み返していました。
もうすごいんですよね、戦いの緊迫感が、息が苦しくなる。

その砦が目の前に!けれどそれがみんな夢のような白に抱かれて、
ちっともおどろおどろしくないのです、たまらず涙が溢れました。
花に埋もれる砦に流れた時間の優しさを感じて、胸がいっぱい。
私の中でもようやく、戦いが終わったかのようでした。

あの日からトルコ料理が大好きで、家でもよく作ります。
初夏になったら、庭でキョフテを。いわゆるトルコ風ハンバーグですが
スパイスがポイントです。クミンや庭のミントをたっぷり練り込んで
私の頼もしい相棒、BBQグリルでじゅっ、と焼きます。いい香り。
さらにもう一品、やっぱりナス料理ですよね。
イマム バユルドゥ、うちではトマトをこれでもかとのせますが(笑)。

キョフテにヨーグルトソースをかけて、ガーリックブレッドを添えて。
お皿はターコイズブルーで、気分はちょっぴりコンスタンティノープル。

白い花咲く坂の途中のお店で、お茶を飲んだうららかな午後のことや、
スーパームーンの夜に浅い眠りの中で聞いた、一晩中途切れることのない
街の喧騒と潮騒を懐かしく思い出しました。憧れの情景その3でしょうか。
またいつか、アーモンドの花咲く季節に、なんて思う夜でした。
「オリエント急行殺人事件」のDVDでも、観るかなあ(笑)。


サポートありがとうございます。重病に苦しむ子供たちの英国の慈善団体Roald Dahl’s Marvellous Children’s Charityに売り上げが寄付されるバラ、ロアルド・ダールを買わせていただきたいと思います。