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パガニーニから始まる午後は、やっぱり強烈だったという話

メモリアルデー前日、知人のヴァイオリンコンサートに行きました。場所は大学のある地区に建つ古い図書館。その辺りは歴史地区で、小さな美術館など19世紀からの建物も色々と残っているのです。コンサートが開かれた図書館もそう。1892年に建てられています。

アメリカはまだ歴史の浅い国ですが、その分、かなり激動のあれこれが詰め込まれています。開拓移住、内戦、独立戦争。人種差別問題などは現在も進行形で多くの活動を引き継いでいますし、語れることは案外あったりしますが、ここではそれは省略して、牧歌的なアメリカの美しさを純粋に楽しんでいただけたらと思います。

というわけで今回の内容は公園です。もちろんコンサートは素晴らしく、バッハとパガニーニを堪能してきました。久しぶりに生で聴くヴァイオリンの音は格別でした。淡々とパガニーニを弾きこなす彼女の才能に心から感動。

場所柄、高齢のカップルなどが目立ちましたが、みなさん耳が肥えていらっしゃるんでしょうね。場の雰囲気がすごくいい。最後には、これだけの人数からこの拍手の音量、掛け声の大きさ?みたいな盛り上がりで、あっという間の1時間でした。これ、無料のコンサートなんです。図書館を含む地域の文化教養におけるバックアップの強さを感じました。

そして夏のような日射しの下、午後の公園へ。The Frank Melville Memorial Park。大きな池(Melville Mill Pond)をぐるりと囲む公園です。造られたのは1937年。名前にもなっているメルヴィルさんですが、簡単に言うと、とてもお金持ちのビジネスマンでこの辺りの土地を買って、公園や教育機関(もちろん大学の土地も)などに寄付してくれた方。

場所的には私たちの学校区の隣の地区です。そこでは高校の名前にももちろんなっていますし、あちこちのその功績を讃えるものが残っているのです。ビジネスマンの前に” an American philanthropis ”と紹介されているメルヴィルさん、これはなんと言いましょうか、人類愛に満ち溢れている人、奉仕活動に多大なる貢献をされた方、という感じでしょうか。

人も少ない地元の公園ですが、素晴らしいです。隣の地区だというのが惜しいくらいに(こらこら)。水と緑がキラキラと溢れていました。降り注ぐ強烈な日射しがなければ何時間でもいたいような。池にかかる橋の風情あること。ハクチョウの親子もやってきました。モフモフの子供たちが可愛い。

この牧歌的な美しさはなんでしょうか。まさに抽象画の世界ですよね。池の輝きがなんとも言えない。思わず何度も書いてしまいますけど、、、この強烈な光さえ和らいでくれれば、、、天国でした。

青空がまぶしすぎるほどの午後も、この写真に関してはそれが功を奏しているような。池が素晴らしく青い!そして藻の緑とのコントラストが非常に美しい!これは、2枚前の写真に写っている橋からの風景です。

さらに、この橋の脇には水車がありました。カタカタ、ジャージャー音がしているので覗いてみたら、下は小さなダム(関)になっていました。池との間にかなりの段差があったんですね。その向こうにはロングアイランド特有のウェットランド(湿地帯)が広がっていました。

アシが生い茂る湿原。海、入江へと向かっているんです。ロングアイランドの北岸、多くがこのような感じです。ちょっと住宅地帯から離れれば、こういう風景の中に、結構シカが走っていたりしますよ。

そうそう、写真を撮り忘れましたが、公園のブッシュにはブラックベリーの花もたくさん咲いていました。夏の終わりにはどっさり実がなって、野生の動物がたくさん来るでしょうね。いいですねえ。うちも細々ながら、ベリー系は野鳥とシェアしてます(まあ、大部分は私がジャムにしますが)。

その下でカサコサと音がして見慣れない小さな背中が。ウサギ?シマリス(Chipmunk)?アメリカの住宅街の庭にいるのは Eastern gray squirrel で、日本でおなじみの Chipmunk は見かけませんから、こういう公園などでその姿を見かけると、よりのどかな野生を感じます。

超絶技巧を堪能してきてからですから開放感も格別です。パガニーニ、演奏も困難でしょうが、聴く側にも恐ろしい程の緊張感が漂います。そして、息を詰めて聴くその旋律の完成は、、、途方もない強烈さだったりするわけです。午後の公園をそぞろ歩く私がそこに、美しいだけではなくて、なんだか猛烈に二度おいしい感を味わっていたのも当然ではないでしょうか(強弱といいましょうか、緩急といいましょうか)。

しかし、そう簡単ではありませんでした。印象派の絵に光が溢れているように、午後の公園にもまた日射しは降り注ぎ。何度も書きましたから十分お分かりだと思いますが、これがまたとんでもなく強烈だったんですね!驚異の旋律に続く、驚異の夏日!少々クラリとしながら帰途に着いたのは言うまでもありません。パガニーニから始まる午後、やっぱり恐るべし。今度は秋の穏やかな日に、ゆったり散策に行ってみたいと思います。

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