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初めての「一人夏休み」

私の人生、振り返ってみて、こんなに長い間一人だったことがありません。

大学の最初の二年間は一人暮らしだったけれど、実家暮らしの親友たちが押し掛けてきて、入れ替わり立ち替わり一緒だったし、その後結婚するまでは姉妹三人で暮していました。旅行だって、あっちこっち行ったけれど、一人じゃなかった。

そんな私が去年の夏、三週間の完全一人暮らしを体験しました。

いや、正確には、この方と一緒でしたけれど。
え?大きすぎて誰だかわからない。

はい、この方です。今度は上からだから、なにやら手足がこじんまり、幼げに見えますが、御年七歳(2018年時点)の、手足の長い、七キロ強のタキシードキャットさまです。はい、早い話がちっとも小さくないです、でかいです、重いです、熱いです。

それはさておき、夏休み。仕事柄、引きこもっているのが常の私ですから、昼間に関しては、一人暮らしとなんの違いがあるの?みたいな疑問もありますが、朝から晩まで一人ですから、それってやっぱり全然違う。

最初のうちは静かな時間がなんだか気になって、じゃあ、ここは一つ張り切って、大掃除したりお庭改造したりしてみようか!とも考えたのですが、あえなく挫折。そう、とにかく暑かった。

ロングアイランド、数年前にはエアコンなんて真夏に数回つけるかどうか、なんて言っていたのに、なんでしょうこれは、まさかの連日使用。なにもしていないのに、暑いというだけでヘトヘト。

なので、これはもう体力を温存するに限る!と室内でできる軽めで楽しいことに内容を切りかえ。もちろんそうは言っても、水やりだけは毎日のことなので庭に出ましたが、その時にせっせとブラックベリーを収穫。それをウイスキーにつけてみれば、ああ、色が綺麗すぎてうっとり。

それから、猫さまがダイニングテーブルでお昼寝なのをいいことに(エアコンの流れでそこが一番涼しい)、せっせとソファーカバーを縫ったり。こういう時は一人が便利。多少遅くまでやっても、あれこれ散らかしたままでも、問題ありませんからね。

ふふふ、いい感じに仕上がってきたじゃない、そう思っていたら、柄が反対になっていることに気づきました。・・・・・まあ、あれですよ。ホームメイドのご愛嬌?目の錯覚とも言い逃れられる?いや、ないなあ。とにかく!裏側は暖色のストライプで季節によって使い分けできるリバーシブルタイプです。

あとは深夜の映画三昧。まずは少女趣味全開で「アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅」を観たり「美女と野獣(フランス映画の方)」を観たりした後に、溜めに溜めていた録画分DVD、おとな〜な(笑)「ゲーム・オブ・スローンズ」を一気に観たり。まあでも、どっちに向いてもとことんファンタジーですが。衣装が秀逸なものが、色が綺麗なものが好き。

でもここで、実は大きな音が苦手な私、ちょっとびびりまくることに。画面の中で聞こえただけでびくっとするのに、同時に深夜の庭で同じように何かが聞こえたら、もう心臓がバクバクして振り返れません。なんでもないときもあれば、アライグマがリサイクルバケツの上に登っていたときもありますが、一人ってこういう時に怖い、、、痛感いたしました。

さて籠ってばかりではいられません。水やり以外はちょっと、なんて思っていましたが、やはり夏の終わりに向けて花の世話も必要ですから、曇った日にはさささと庭仕事。午前中が勝負ですね。あじさいの花をみんな切り取って、ドラフラワーを作ったりしました。

そうそう、ボリジのサラダもたくさん食べました。エディブルフラワーを育てていたのですが、たくさん生えてきたものの(数種類ミックスの種)、なぜか肝心な花が咲かず。でもボリジだけはどんどん元気に育ったんです。

花を食べるって恍惚のシチュエーションではありませんか?私だけかしら?時おり無性にそんな気分になります。時にはもう、むしゃむしゃと食べまくりたいときもあるのですが、残念ながらこの年はボリジ止まり。

と言って、ボリジばかり食べていたわけではありません。もちろん一人なのでサラダ率は高め。でも、好きなものを、好きな時に、好きなだけ食べる、またとないチャンスですから!せっせと作りました。外で一人で食事をするのは嫌いなんですが「お家でバル風」は楽しかった。

そんなある日のメニューは、キノアのサラダ、ポータベラのアヒージョ、フェンネルのオーブン焼き、洋梨とプロシュート。日没前からちょっと早めのサパー。お迎えとか、連絡が入って急に運転しなくてはいけなくなることもありませんから、安心して飲めます。ワインを傾けて幸せな一時。

あの綺麗な色のブラックベリーブランデーは八週間後には飲み頃になりました。今も楽しく食前酒にしたり食後酒にしたり。さすがに少なくなってきましたから、今年はジンで作ってみようかと思っています。

もう多分、こんなに長い一人の夏休みは来ないでしょうね。特に何があったわけではないけれど、のんびりと好きなことをして過ごした三週間は本当、最高でした。深夜の部屋でひやりとする時間も、夏の涼しさを演出してくれたのでは?

というわけで、あの夏のきらめきに、心の中でもう一度「乾杯!」



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