見出し画像

あさが来た!

私の家では、朝のニュースはNHKと決まっていて、
それはその流れで、朝ドラを見るためだった。

小さい頃、といっても、
いないいないばあっ!を見たい時期から、
幼稚園に入るまでの短い期間だったが、
毎朝母と一緒に朝ドラを見てから、一緒にスーパーに買い物に行ったりするのが日課だった。
といっても、よく分からなくてつまらない時もあったのだが、
どちらにしても母が夢中になって観ているので、横で黙って座っているしかなかったのだ。

そうして、幼稚園に入ってからは、
結構ませた子どもだったので、内容がなんとなく分かるようになり、朝ドラは毎回録画して、夕方母と一緒に見ていた。
私は幼少期から、ブルーレイとまではいかないが、
ビデオデッキくらいはあった世代なので、
見たい番組は録画しておくのが当たり前だった。

朝ドラを見るのは、私にとって、
朝8時15分になったら決まってテレビをつけるとか、
そういうものではなく、
本当に好きな時間に見るコンテンツだったのだけれど、
その習慣は大人になった今もずっと続いている。

けれど、大人になってからの方が、
「ドラマを好き嫌いする」ようになった気がする。

小さい頃は、何でも新鮮だから面白くて、
世の中こういうもんなんだな、とか思いながら、
どんなドラマでもかじりついて、丁寧に見ていた。
だが、大きくなると、この設定は嫌とか、
この俳優微妙とか、このシーンを見てるとなんか恥ずかしいとか、
けちをつけだして、楽しめない時があった。
これは世に言う、思春期ってやつなのか(は分からないが)。

そもそも、朝ドラが好きとか嫌いとか以前に、
母は私が高校生くらいになるまで、
夜10時とかにやっている民放のドラマを見せてくれなかったので、
私にとって、自分の知らない世界に入っていける手段が、
朝ドラだけだったのだと思う。

そういう習慣のおかげで、なんとなく見続けていた朝ドラだが、
ついに、あるドラマが、私の中に革命を起こした。

『あさが来た』だった。

まず、波瑠さんや玉木宏さんをはじめ、
キャストの方が全員素敵で、幕末の世界観にぴったりで、
私はドラマの世界に一気に引き込まれていった。

何より、主人公の生き方や考え方が素敵で。
あの時代に道を切り拓く女性というのは、
こうもカッコよくて、それなのにチャーミングなものかと。
新選組に立ち向かったと思えば、
「旦那さま」の溺愛っぷりに応えたりと、主人公の表情もころころ変わり、背景は激動の時代であるから、話の展開も多岐にわたって、飽きが来ない。

ドはまりした私は、原作本『土佐堀川』を買って読んでみた。

広岡浅子さんは、ドラマ以上に波瀾万丈な人生を送られていて、
病気や傷害事件などに遭い、3度も死にかけたり。
九州の炭鉱に行く際に、自分の側近を旦那様の妾にしたり。
ドラマと比較すると、もっとサバサバした強い女性として描かれていた。

ドラマでは、旦那様と離れる時に、腕の中で号泣していたり、
有名な「びっくりぽんや」の台詞だったり、
チャーミングな「あさ」の一面が描かれていたが、
それはどちらかというと、波瑠さんの演技やお人柄によるものかもしれないと思った。



いずれにしても、モデルとなった広岡浅子さんと、
波瑠さんの演技のコラボレーションが生み出した魅力に、
私は取り憑かれたのだ。

そして、小説とドラマを比べながら見ることが、
なんて楽しいんだ、表現方法ってなんて多様なんだ、と
エンタメの奥深さにも魅了されたキッカケでもあった。

エンタメの世界に夢を持っている今も、
やはり朝ドラは特別で、民放の10話で終わってしまうドラマとは、
自分の中での距離感がどうも違う。
10話ドラマは、主人公がくっついたら終わりだったりするけど、
朝ドラはそうもいかない。
その後の人生は無情にも続いていき、
大恋愛をした旦那と、その先も幸せに暮らすとは限らない。

人の関係性のドラマチックな部分を切り取って、
エンタメに昇華するのも楽しくて面白いのだが、
やはり一人の長い人生を作品として作り上げることに、
根気と伝統を感じる。

いつかその伝統に携わることができたら、
私はきっと大往生だよな、とか思いながら。

明日のあさも、楽しみにしています。

#好きな番組

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?