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【第2回】EC未経験者が入社1年で22のモールやカートを経験して学んだこと

※前回の記事はこちら

以前の記事をnote公式編集部のおすすめに掲載していただき、大変多くの反応をいただきました。まだnoteを書き出して1週間しか経過していないのですが…こんなにも反応をいただけるのかと、本当に嬉しく思っています!やはりECの世界は面白いですね…こうした情報の発信をする事で、反応をもらえると、また視野が広がってワクワクします。

では早速、自分が「未経験で入社し、過酷な環境下でひたすらに叩き込んだECの知識」を今回もお伝えしていこうと思います。

今回は、まずは「受注・在庫の一元管理ソフト」についてからです。

1.受注・在庫管理ソフトって使ったほうが良いの?どのくらいの受注件数・売上から使うべきなの?

EC業界に入ってすぐに行っていた業務が「一元管理ソフトの設定代行」というちょっと異色な仕事でした。自分が作業していたのは「ネクストエンジン」という受注処理・在庫連携の一元管理ソフトで、月間30社以上の企業様と導入についてのお話をさせて頂いていたと思います。

そんな経験を経た自分の意見としては、こういった一元管理ソフトは本当におすすめです。現在運営中のEC(合計5店舗)でも、もちろん使っています。

そもそも、一元管理ソフトってなによ?って思われる方もいらっしゃるかと思いますが…他店舗展開などを行っていくと、展開した店舗の数だけCMS(管理画面)が増えてしまうため、問い合わせ対応も受注処理も出荷通知も顧客の注文状態も…そして何より、在庫の共有が出来ないので欠品や販売の機会損失となる事が多く出てきます。そんな時間ばかりかかってしまう作業を一つのソフトで管理する事ができる素晴らしいソフトです。

しかしながら、導入のボーダーについて悩まれる方が多くいます。要するに「受注件数○件以上で導入すれば費用対効果が良い」や「多店舗展開で○店舗以上なら在庫連携で機会損失削減により効果を実感できる」といった明確な基準値がないため「無くてもとりあえず運営できてるし、後回し!」とされる方が本当に多かったです。

在庫連携の効果はわかりやすく「3店舗以上で50item以上」なら絶対に導入すべきだと考えています。商品は露出されなければ売れません。在庫連携の重要な部分は「販売機会損失(欠品)」を無くすことにあります。A店舗が多く売れているから、という理由で在庫を「A店舗:10個、B店舗:3個、C店舗:2個」というような分配をしていたのでは、発生した機会損失にも気付けず、PDCAすら正しく回せません。

受注件数については、1件あたりにかかるコスト(商材による)で判断するのが良いかと思います。備考などが多かったり、のしやラッピングなどのギフト対応が必要だったりと、確認事項が多い店舗ほど、受注件数は少なくても費用対効果は高いと思います(視覚的に1件ずつのチェックが不要となる機能があるため)目安としては「受注件数300件以上、確認が必要な受注の、1件あたりの処理コスト(メール対応含む)が5分以上」で、人件費よりも導入費用が下回ると思います(厳密にはもっと細かいですが、それはまた別の機会に)

そして一番の導入をおすすめする理由は、作業のスイッチコストです。CMSを行ったり来たり、売れれば在庫を追加して…1日に何回管理画面を切り替えているでしょうか。1回あたりの切り替え・作業は数分でも、積もりに積もれば別の作業に時間を充てられます。

このスイッチコストこそが、自分は導入の最も大きなメリットだと思っています。一元管理ソフトを導入して思ったのはRMSやストアクリエイターPro、セラーセントラルをほとんど開かなくなりました。CMSはモールやカートごとに違い、覚えることも多いですが共通のプラットフォームであれば万が一急な店舗担当者の退職などに直面した場合でも、他の人でも代用が出来るメリットがあります。

検討するのはタダです。もし管理ソフトのことで気になることがあれば、わかる範囲でコメントにてお答えしますので、お気軽にどうぞ(*´∀`)

それではいよいよ本題のモール・カートのまとめ情報です!

2.経験したことのあるECのCMS一覧

【モール】
・楽天市場
・Yahoo!ショッピング
・ヤフオク!
・Amazon(.co.jp)/Amazon.com(USA)
◆上記モールの第一回はこちら
---------------------
・Wowma!(旧Dena)
・NETSEA
・ポンパレモール
・SHOPLIST.com
・Qoo10
---------------------第二回はここまで
・SUPER DELIVERY
・eBay
・Web現金問屋街

【カート】
・Makeshop
・FutureShop2
・カラーミーショップ
・EC-CUBE
・おちゃのこネット
・Eストアーショップサーブ
・ebisumart
・aiship-R
・Shopify
・たまごリピート
(順不同)

・Wowma!(旧DeNA)

ここ数年で圧倒的にシェアを伸ばしているWowma!です。元々DeNAで出品経験のある方ならご存知かと思いますが、CMSはすごく使いやすくなりました。WowmanagerというCMSを使用するのですが、サイドメニューにすべての項目が入っているので、迷わずに体感で操作できると思います。

クライアントの状況を見ていると、1店舗目にWowmaを出店される方は少なく、多店舗展開が軌道に乗り始めた時に出店される方が多いですね。基準としては「楽天で月100万を超え始め、Yahooで10万程度の売上」が出せるようになれば、Wowmaに出しても恐らく出店コストを下回らないと思います。Wowmaは楽天と同様、CSVでの一括出品に「月額1万円」が発生します。そのため、商品登録を一括で行いたい場合にはコストがかかることを覚えておきましょう。

また、クーポンが特殊で「配布期間開始は利用可能日の20日前」というルールがあります。そのため、事前に大量にセール対策としてクーポンを設定しておく事が出来ず、配布期間を意識してCMSをチェックする事が多いです。

Wowma!はauショッピングモールという別名がある通り、ユーザーの支払い方法の大半が「auかんたん決済」を利用しています。運営側が問題点となるのはここで「決済完了後のキャンセル処理、返品処理が面倒」という事が生じます(キャリア決済の場合、課金確定後の金額修正はスムーズに出来ないのがECの基本です)取り扱い商材により、出荷後の金額修正等が生じる可能性がある場合には注意しておくと良いと思います。

また、個人的な最大のネックは「フルパスのリンク不可」です。これはめちゃくちゃめんどくさいです。どうにもサーバーが特殊な仕様で「フルパス(https://〜)でのリンクはNG」という概念があります。ショップページなどを多く作成し、ページ間のリンクを作成したり、画像リンクなどを行う場合には「フルパスでリンクを貼れば絶対に大丈夫」という当たり前の概念を簡単に破壊してきます(何度これに頭を悩まされたことか…)

ただし、購入ユーザーとしては商品画面に不要な情報が一切置かれないことから、シンプルで買い物がしやすいと思います。

ここ数年で極端に出店店舗が増加しているので、運営も体制が整ってきており、当時は楽天・Yahooの次はWowmaをおすすめしていました。

ちなみにWowma!の出品代行サービス(たしか無料)を利用すると、楽天のitem.csvを運営に送ると代わりにシステム側で全商品出品してくれます。

・NETSEA(ネッシー)

BtoB向けの卸売り用ECです。2006年11月に株式会社DeNAが運営を開始したモールで、恐らく一般ユーザーには馴染みが少ない場所かと思います。

一元管理ソフトを求めるユーザーは多店舗展開をしている方が多く、小売業がメインですので、NETSEAのような卸専門のモール利用者はほとんどいませんでした。

個人的な印象ですが、当時は(今では違うかも知れませんが)DeNAのCMSと機能的にはかなり似ておりCSVがとてもとても厄介でした…ロットナンバーという出品を行うと自動的に割り当てられるコードが存在するのですが、これが一度出品してしまうと消せないため、在庫連携時に影響を及ぼしたりと…正直、運営設定側としては…ほんと、良い思い出がありません(笑)

・ポンパレモール

3店舗目の他店舗展開を検討する際に「Wowma!」か「ポンパレ」と言われていましたね。運営されているクライアントも多く、全体の4割くらいの方が使用していたような気がします。

このモールの最大の特徴は「CSVの形式が楽天とほぼ同じ」事にあります。これにより、楽天のCSVをダウンロード出来れば、ポンパレへのインポートは本当にスムーズに行なえます。出品作業もかなり楽でした!カラム名も日本語で、カラムの表記も楽天そのまま。どうしてここまで同じなのか…内情は知りませんが(笑)運営者にとってはここまで同じだと、出店の敷居が下がりますね。

CMSは(旧)RMSのような感じでした。RMSに慣れている方なら迷わずに使いこなせると思います。ただし、まだまだ知名度は高くなく「売上」のメインをポンパレで作っているクライアントさんはいませんでした。やはり多店舗展開の候補として位置づけるのが良さそうです。

・SHOPLIST.com

ファッション通販の専門サイトですね。自分も関わるまでは知らなかったのですが…このモールの出荷は自社ではありません。FBAをイメージしてもらえればわかりやすいですね。

CMSもCSVも特段変わったところはなく、むしろ「ファッション」に特化していることから、かなり洗礼されていると思います。当時は全然聞いたことなかったのですが、最近ではCMもよく見かけますし、伸びてそうですね。

出店者、購入者ともに「商品はどこから届くの?(届けるの?)」と質問を受けることが多く「全国のSHOPLISTの倉庫から送られます」と回答していたのを覚えています。そういう意味では在庫管理は明確で、SHOPLISTが入庫された数を在庫数としてくれるため、多店舗展開(在庫連携)とは少し異なりますね。

SHOPLISTもそうですが、商品画面が統一されているのはユーザーからは見やすくていいですよね!

・Qoo10(キューテン)

コエンザイムではありません。まだまだ認知度が低いので、知らない方も多いのではないでしょうか。一部では「あやしい」と言われていますが、そんなことは全くありません(笑)激安の商品が多く、女性向けの商材(ファッション、コスメ、アクセサリーなど)を扱っているクライアントさんが多かったです。まだ知らない方は、ぜひ一度覗いていただくと案外低価格で欲しい商品が見つかるかも知れません。

しかしながら、運営代行視点からすると、良いイメージがありません…。CMSが…CSVがとても使いにくすぎる…。eBay(イーベイ:本社米国)が、日本で展開するオンラインマーケットプレイス(元は韓国)なので、かなりクセが強いですね。こればっかりは日本人向けのCMSじゃないので「楽天に慣れているなら、使いにくいですよ」という事だけは伝えてました。

今回のECモール解説のまとめ

こう思い返してみると、本当に色々苦労したモールが多かった気がします。CSVの一括出品は絶対的に必要なことだったので、初めて触るCMSの場合は「どこから商品情報をダウンロードするんだろう…」から始めてました。

出店前に是非検討してほしいのは、もちろんそのモールに出したら売上が取れるかどうかなんですが「商材との相性」を意識すると良いかもです。1,000社以上のECを運営されているクライアントさんを見ていると、商材によりモールの偏りがあります。特に最後のQoo10などは、コスメやカラコンなどの女性受けする商品を出すなら、ポンパレやWowmaよりも伸び率はあると思っています。

出店の敷居もそうですが、オープンしたあとは運営をしていかなければなりません。テスト期間内にしっかりとCMSを触っておくことが、長期に渡る作業コスト削減に繋がることを是非知って頂けたらと思います。

これから多店舗展開を検討している人のお役に立てれば嬉しいです。

それでは、また。


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