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VOICE OF REASON/HAREM SCAREM

 1995年リリースの3rdアルバム。このアルバムに関しては、発売約1ヶ月前にささやかなリスニングパーティーがあり、それに参加し事前に6曲ほど聴くことが出来た。その印象では、若干サウンド的にダークになったかな?とは思ったが、ヴォーカルハーモニーがより効果的に楽曲を盛り上げるタイプの曲が多く、ニューアルバムは期待できそうだとの手ごたえをつかんだ。

 そして、ついに発売となり通して聴いたときは、華やかな2ndの次にしてはトーンが均一で地味になったな~というのが第一印象だった。しかし聴き込むにつれ、もの悲しくも美しいメロディの数々、やはり素晴らしい分厚く重ねられたヴォーカルハーモニー、Peteのアイデアに溢れ重厚さを増したギタープレイなど、アルバムトータルで完成度の高い作品だという印象に変わった。ミドル~スローテンポの曲が多いし、分かりやすさや爽快さという点では1st・2ndに譲るが、しっかりとバンドのやりたい音楽「メロディとハーモニーを保ちながら、パワフルでグルーヴあるサウンド」が伝わる作品だと思う。サウンドプロダクションの素晴らしさも特筆すべきで、音が良い。また、この辺りからQUEENからの影響を打ち出した曲が増えてきた印象がある。

パワフルでヘヴィなリフに導かれて始まる何度聴いてもかっこいい展開の①、シングルとなったワルツ風リズムの②、この中では一際ポップでサビのメロディが素晴らしい⑥、どんよりとしたイントロが不安にさせるが徐々に光が射し込んでくるような神々しさすらあるメロディが印象的な⑦、曲の後半の"I have the push and I have the power~"という部分の希望的なメロディからの展開が印象に残る⑩、そしてアルバムの最後をじっくりと聴かせ全てを浄化するように締めくくる⑪、などが個人的には気に入っている。個人的にだが、LIVEで演奏されることも多い⑧は、アップテンポでギターソロは印象的だが曲自体はそれほどよいとは思えない。

たしかに、賛否両論あるのは理解出来るが、HAREM SCAREMが計算抜きに作った最後の作品と言ってもよいだろう、ミュージシャンシップの高い名盤。

1 Voice Of Reason
2 Blue
3 Warming A Frozen Rose
4 Let It Go
5 And That's All
6 Breathing Sand
7 Candle
8 The Paint Thins
9 I'll Be Brief
10 Untouched
11 Necessary Evil
12 Candle(Acoustic Version)

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