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2019年選挙に不可欠となるストーリーテリング(物語の語り部) - 2008年オバマ氏の演説事例 -

みなさま

こんにちは。

立憲パートナーズ社会構想研究会(#社構研、非公式)と申します。

当会は立憲パートナーに加入する、東北から九州への26人(2019/2/15現在)の市民により構成される研究会であり、日常の生活現場、すなわち社会課題の現場にいる私たちゆえの市民目線で、政策の提言を立憲民主党に対して行っています。現在、ご寄付を受け付けています。詳細は専用ウェブサイトをご覧ください。

先日、私たち立憲パートナーズ社会構想研究会(#社構研、非公式)は「2019年市民型選挙の戦略」をリリースしました。

アメリカに遅れること10年ということなのか、2019年の日本の選挙の候補者がストーリーテリング(物語の語り部になること)をすることは、ますます不可欠になっています。海外であれ、日本であれ、閉塞する現代社会において、人々は将来への望みを感じられる、感動体験を求めているからです。

日本でも、伸びている民間企業やNPOは感動体験の共有にこの数年で大変力を入れるようになりました。日本国内の人々はますます目が肥えており、「与野党で相互批判ばかりして、感動体験の共有を後回しにするなんて。政治は遅れている」と政治に距離を置いたり、政治不信もさらに広がっています。

「うちの地元は昭和のままだよ。感動体験? ストーリーテリング? SNS? うちの地元には当てはまらないよ」と思っておられる候補者や支持者の方は、恐縮ですが、甘いです。

皆様の記憶に新しい2019年1月の山梨県知事選。昭和どころか、恐らくそれ以前から地域に脈々と続く無尽講による話し合いが山梨県の選挙の伝統だったのに、各陣営はSNS発信に注力し、最後の三日間の追い込みの感動体験を発信しきった与党陣営が勝利したのです。

みなさまがいらっしゃる地元にもこの波は確実にやってきています。自分の陣営が無視していても、自公など他陣営がやり込んでいて、気づいたら有権者たちはそちらの支持に相次ぎ回り始めてしまい、最後の三日間という重要局面で突き放されてしまいます。

どうしたら現代民主主義において支持の輪は拡大するのでしょうか?

「演説による感動体験」と「SNS拡散」が掛け算になると、「支持の輪」が拡大していきます。演説の名手の枝野代表やオバマ前大統領の姿を思い出される方も多いかと思います。

よって、熱く心を込めて街頭演説です!!! 心が入っておらず、しかも物語もない街頭演説は感動体験が生まれません。支持者の協力を得ながら、街頭演説は極力映像に収録して、SNSで拡散します。

「2019年市民型選挙の戦略」では2008年米大統領選にてストーリーテリング(物語の語り部になること)という手法で共感の輪を広げ、ついには全米を「イエス・ウィ・キャン(Yes, we can!)」を覆い尽くしたオバマ氏のスピーチの一部をご紹介しました。

今回では、ストーリーテリングに関連した箇所を全て和訳したものを、以下にご紹介いたします。英語の原文の全文はこちらからお願いします。

オバマ選挙キャンペーンの会場にきていた人々が内面から突き動かされ、やがてその街、さらには全米に、突き動かされる体験が広がっていく様を、オバマ大統領候補(当時)は物語の語り部となり、伝説のスピーチをされました。

当時の動画も見つかりました。英語ですが、下記から該当箇所の頭出し再生をいただけます。

https://youtu.be/pWe7wTVbLUU?t=2056

ぜひ、「地元での街宣にて自分はどんな物語を語ろうか?」とのご参考にいただけましたら、幸いです。

ストーリーが確たるものにできれば、候補者ウェブサイト等も訴求力が向上します。ボランティアやカンパの募集もしやすくなります。

サウスカロライナ州フローレンス市でのオバマ選挙キャンペーンの運営に関わっているアシュレイ・バイアという23歳の白人女性がいます。オバマ選挙キャンペーンの開始以来、彼女は主にアフリカ系(訳者注:黒人の意)アメリカ人のコミュニティを立ち上げることに取り組んでいました、そして、数日前彼女は、参加者の誰もが自分のストーリー(物語)を語り合う円卓会議にいました。
アシュレイは「私が9歳の時に母親がガンになりました」と話しました。そして彼女の母親は日雇い仕事をできなくなり、勤め先から解雇され、健康保険にも加入できなかったのです。母親は自己破産しなければなりませんでした。そしてそれは9歳にしてアシュレイが「お母さんを助けるために何かをしなければならない」と決心させることになりました。アシュレイは最も高くつく支出の一つに食事があることを知っていました。アシュレイは「自分が本当に好きで、何よりも食べたいと思っているのが『マスタード(からし)だけを塗ったサンドイッチ』だ」と母親を言いくるめました。それが一番安くつくからです。
9歳のアシュレイは1年間「マスタード・サンドイッチ」を母親の体調が良くなるまで食べ続けました。そして、23歳となったアシュレイがオバマ選挙キャンペーンに加わった理由は、アメリカの何百万人もの子どもたちと親たちを助けたかったからです。
アシュレイは自分の話を終え、部屋を歩き回り、会場の参加者たちがなぜオバマ選挙キャンペーンを支持しているのかを尋ねていきました。参加者の彼ら彼女らはすべて異なるストーリーと理由を持っていて、多くの人がある特定の問題を語りました。そしてついに、ずっと静かにそこに座っていた年配の黒人男性の番になりました。アシュレイは彼になぜ彼がそこにいるのかを尋ねました。彼は特定の問題をいうことはしませんでした。彼は医療や経済について語ることもせず、教育も、戦争も言わない。彼はバラク・オバマのために参加しているとも言いません。彼は、部屋の中の参加者全員に通る声で一言、「私はアシュリーのおかげで、ここにいる」。
このことを、若い白人女性と高齢の黒人男性との間の一瞬の出来事とだけ見るのは、十分ではありません。病人に社会保障を提供したり、失業者に仕事を提供したり、子どもたちに教育を提供しようという話も、十分ではありません。
しかし、この瞬間こそが私たちが動き始めるところなのです。部屋にいた参加者たちの間にあった心理的な壁が崩れて、参加者たちは心が揺さぶられるものを感じたのです。
そして参加者の彼ら彼女らが、その円卓会議の会場の部屋で揺さぶられるものを感じられれば、その会場があるアトランタという街だって、揺さぶられるのです。
そして、アトランタが揺さぶられるのであれば、ジョージア州が揺さぶられることができます。
そしてジョージア州が揺さぶられることができれば、全米が揺さぶられるのです。もし私たちの声が一つに集まったら。私たちは社会に存在する壁を崩すことができます。 最終的には(聖書の)エリコの壁は崩れ落ちるのです。それが私たちの希望です - しかし私たちが共に祈り、共に働き、そして共に行進する場合に限ります。
兄弟たちよ姉妹たちよ、私たちは一人で歩くことはできません。
平和と正義のための闘いでは、私たちは一人で歩けません。
機会と平等のための闘いでは、私たちは一人で歩くことはできません。
この国を癒し、この世界を修復するための闘いでは、私たちは一人で歩くことはできません。
ですので私は、あなたに私と一緒に歩き、私と一緒に行進し、そしてあなたの声が私の声に加わってくれるようお願いします。そして一緒に、私たちを分ける壁を突き崩す歌を歌い、誰にとっても、まっとうで、自由で、真に分かちがたいアメリカを、抱きかかえ上げよう。この教会の偉大な牧師の記憶に神の祝福を。そして、アメリカ合衆国に神の祝福を。

以下は原文です。

There is a young, twenty-three year old white woman named Ashley Baia who organizes for our campaign in Florence, South Carolina. She’s been working to organize a mostly African-American community since the beginning of this campaign, and the other day she was at a roundtable discussion where everyone went around telling their story and why they were there.
And Ashley said that when she was nine years old, her mother got cancer. And because she had to miss days of work, she was let go and lost her health care. They had to file for bankruptcy, and that’s when Ashley decided that she had to do something to help her mom.
She knew that food was one of their most expensive costs, and so Ashley convinced her mother that what she really liked and really wanted to eat more than anything else was mustard and relish sandwiches. Because that was the cheapest way to eat.
She did this for a year until her mom got better, and she told everyone at the roundtable that the reason she joined our campaign was so that she could help the millions of other children in the country who want and need to help their parents too.
So Ashley finishes her story and then goes around the room and asks everyone else why they’re supporting the campaign. They all have different stories and reasons. Many bring up a specific issue. And finally they come to this elderly black man who’s been sitting there quietly the entire time. And Ashley asks him why he’s there. And he does not bring up a specific issue. He does not say health care or the economy. He does not say education or the war. He does not say that he was there because of Barack Obama. He simply says to everyone in the room, “I am here because of Ashley.”
By itself, that single moment of recognition between that young white girl and that old black man is not enough. It is not enough to give health care to the sick, or jobs to the jobless, or education to our children.
But it is where we begin. It is why the walls in that room began to crack and shake.
And if they can shake in that room, they can shake in Atlanta.
And if they can shake in Atlanta, they can shake in Georgia.
And if they can shake in Georgia, they can shake all across America. And if enough of our voices join together; we can bring those walls tumbling down. The walls of Jericho can finally come tumbling down. That is our hope – but only if we pray together, and work together, and march together.
Brothers and sisters, we cannot walk alone.
In the struggle for peace and justice, we cannot walk alone.
In the struggle for opportunity and equality, we cannot walk alone.
In the struggle to heal this nation and repair this world, we cannot walk alone.
So I ask you to walk with me, and march with me, and join your voice with mine, and together we will sing the song that tears down the walls that divide us, and lift up an America that is truly indivisible, with liberty, and justice, for all. May God bless the memory of the great pastor of this church, and may God bless the United States of America.

立憲パートナーズ社会構想研究会へ、ぜひ薄く広くご支援をお願いいたします。