見出し画像

おブスだった私の人生を間違いなく180℃変えたファッションについて

ダサい女だった。

そもそも自己肯定感が低すぎて、自分の顔を鏡で静止できないほどだった私は、スキンケアもメイクもほとんどせず、内に内にこもっていた。

髪は常にベリーショートで、「男みたい」にしていた。そしてそれが洗練されている、というわけでもなかった。

高校生の時、安室奈美恵に夢中になってスカートの丈を短くしてルーズソックスを履いていた同級生を冷ややかな目で見ていた。自分を着飾ろうとすることは醜い、とそうはっきり思っていた。

23で上京してからも、ファッションに開眼することはなく、とにかく安く買えるTシャツとGパン、古着屋で買った裏地がボロボロのコートなどを着て過ごしていた。靴のケアの仕方も知らず、どうしたら可愛くキレイに見せられるかということにも興味を持ったことはなかった。それよりももっと、美術館に行ったり、映画を見たりして、何かを吸収して内面を磨いていくことが正しいことだ、と想っていた。

27の時、編集プロダクションに入った。雑誌の仕事、紙の仕事がしたい、ただそれだけの理由で。そこは主に女性誌のページを請け負っており、いわゆるコンサバな女性のための雑誌に携わっていた。中には美容専門誌の仕事もあった。

現場に行って気付いた。あ、私この見た目のままだとやばい。編集者失格だと思われる。メイクもちゃんとしないと美容誌の現場行けないわ。

なんたって参考書は会社にわんさかあるんだから(アラサー、アラフォー、アラフィフの雑誌まで全部網羅してる)、とにかくそれらを読みまくった。旬のモデルが旬のスタイリストにスタイリングされてるコーディネートなんだから、真似するだけでトレンドになる。なんて便利なの…!

ペーペーの編集アシスタントの給料なんてたかが知れているから、ユニクロ、GAP、ZARAなど、買える範囲で少しずつアイテムを増やしていった。失敗もいっぱいしたけれど、スタイリングされたファッションを見続けることで、どれが自分らしく似合うのか、どのアイテムをプラスすればスタイリッシュに見えるのか、少しずつわかるようになってきた。

「○○ちゃん、最近いい感じじゃない」

当時可愛がってくれた女社長が声をかけてくれて嬉しかったのを今でも覚えている。その時、ZARAの、グレーのジャージー素材のジャケットを羽織っていたことまで覚えているほどだ。

服をいっぱい試着していくと、何が自分をよりよく見せてくれるのか、わかるようになっていく。いわゆるフリフリのワンピースは信じられないほど似合わないので、ちょっとマニッシュなパンツスタイルで、TOPSに女性らしさをプラスするようなスタイルが定番になった。

生まれて初めてパンプスも買った。3000円台の安いパンプスだと足がびっくりするほど痛くなるほどを知り、靴だけは15000円前後のものを選ぶようになった。いい靴って、ヒールが高くてもこんなに歩きやすいなんて知らなかった。5センチ背が伸びるだけでこんなに世界が変わるなんて知らなかった。

そうして自分を良く見せることを意識して毎日を過ごしていたら、顔つきが変わっていった。メイクをするようになったことも大きかったと思うが、それよりももっと大きな変化が自分に訪れた。自信が生まれたのだ。

「あ、アタシ、なんか今ちょっとだけ生きやすくなってる」

そう思った。3年ほどでその会社は辞めてしまい、紆余曲折あるのだが、その中で今の夫と出会った。明らかに、あのファッションの転換がなければ、夫と出会うことはなかったと思う。外側を整えることで、内面が変わったのだ。

今は打って変わってファッション大好きオンナになってしまい、今も3万円のワンピースを貯金で買うかどうか迷っている。

でも、いい洋服を纏うことでこんなに自分がご機嫌に、こんなにキレイに変われるなら、ちょっとくらいの出費なんてどうってことない。

そう思える日々は、悪くないもんです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?