“万学の天才”を訪ねて--上野科学博物館「南方熊楠展」に行ってきました(半蔵門太郎)【#5:「こんなイベントに参加してきました」】

南方熊楠(みなかた・くまぐす)という人物をご存知でしょうか?

最近「天才」にまつわるブログ記事が盛り上がっていましたが、南方熊楠は間違いなくそんな天才の一人でしょう。明治期から昭和初期にかけて活躍した、日本が誇る天才民俗&粘菌&生物学者です。

中学時代に彼のことを本で知って以降、熊楠のWikipediaとか5回くらい読み返してるくらい大好きな私。ですが意外と知名度は低いので、まずは彼のプロフィールを箇条書きでざっくりと紹介しましょう。

・専門は民俗学・粘菌学・生物学

・英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、ラテン語、スペイン語が話せる(日本語は漢文がスラスラ読める)

・世界最高峰の科学雑誌『Nature』に日本人最多の51本の論文掲載

・「学者」として紹介されるものの、特定の研究機関に所属しているわけではなく、人生の大半を実家の和歌山で過ごしていた。いまで言うとフリーランスの研究者みたいな(そんな人いるのか)

・死ぬまでに6000種類以上の粘菌を採集。そしてそれを1つ1つ絵に描いて記録していた。

・口から胃の内容物を自在に嘔吐できる反芻胃を持つ体質で、小学校時代もケンカをすると“パッ”と吐き、ケンカに勝っていた(ソース:Wikipedia)

孫文と仲いい

ていうか昭和天皇とも仲いい。昭和天皇が熊楠の地元の和歌山に来た時に「雨にけぶる 神島を見て 紀伊の国の 生みし南方熊楠を思ふ」って詠むくらい仲いい。

ざっと挙げましたが、こんなもの氷山の一角。個人的には40歳で初恋した人に大好きなアンパンを30個贈ってドン引かれた話とかしたいんですけど、本題に逸れるので気になった人は詳しく調べてみてください。

とにかく、言語に長け、文理を越えて学問に秀でた「万学の天才」だったのです。

そんな熊楠の生涯と研究を追った展示会「南方熊楠−100年早かった智の人−」が先週末まで東京・上野科学博物館でおこなわれていたので行ってきました。今回はその中で印象に残った展示をご紹介します。

熊楠の智の集積--『菌類図譜』

熊楠が残した学問的業績として

1)多くの菌類・博物学的知識を集積した。

2)それらを体系化した。

ことが挙げられます。熊楠が残した『菌類図譜』はそんな熊楠の“智の集積”の1つ。実家の和歌山周辺の山中を歩き回っては、いろんな真菌類(キノコ)を集め写生したものです。総じて3000枚あるそう。

このクオリティで3000枚とか一生終わるわ…。しかもこれ、どっかの研究機関からスポンサードとかじゃなく、自分で知りたくてやってるからね。「とんだアカデミックニートですわ」という感想しかない。しかし、驚異的な記憶力を持っていたという熊楠は、インプットするだけでなくアウトプットすることも大事だということをわかっていたのかな、と思いました。

熊楠はこうした写生、ないしは書籍のないようをまるまる写し書きする「抜書(ぬきがき)」によって、知識を蓄えていったそうです。

智の展開--『十二支考』

熊楠は、知をただ単にため込んだ人物ではありません。『Nature』に51本の論文を掲載した実績した経歴でもわかるように、知を編集し、伝えることに秀でた編集者でもありました。一説によると、多くの学者に知を還流した「情報提供者」の一面も持ち合わせていたそう。

展示会の後半には、そんな彼の編集力を物語るものがありました。それが、干支の動物を俎上に古今東西の説話をふまえて語る『十二支考』、その腹稿です。

一見、単なる走り書き、落書きに見えるかもしれません。しかし!これは原稿を書くために自分の知識の風呂敷を広げる、いわば「ブレスト」なのです。この落書きが少しずつ原稿へと変化していくさまを展示では紹介していたのですが、興奮して写真を撮り忘れたので以下のツイートから詳しく見てください。

今回、いままでミステリアスだった天才・南方熊楠の脳みそを覗くことができ、貴重な体験となりました。思ったよりも奇人・変人だったのと、今でも通底するメソッドを用いていたことがわかり、面白かった。これからもWikipediaを漁ったりして、いろんな天才・変態を発掘していきたいですね…!

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次回更新は3月7日(水)、担当は我らが長谷川リョーさんです!お楽しみに!

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半蔵 門太郎

ライティング・ミレニアルズ

長谷川リョー、オバラミツフミ、梶川なつこ、小池真幸、井下田梓の5名からなるチームによる共同マガジンです。 特定のテーマについてリレー形式でnoteを更新していきます。(たまにゲスト寄稿者を呼ぶかも?) 今月のテーマは【チーム長谷川で働くということ】です! (毎週水曜日更新)
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