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ピアノとハモリ

先日の「絶対音感が残念な話」の続き。ピアノは(概ね)平均律で調律される。ただし,本来綺麗にハモるべき5度音程(ドとソの和音)が平均律では少し濁る。また,長三度(ドとミの和音)の平均律による音程は,ハモる音程より少し明るめに響く。

フランスではこの長三度の音程を少し純正律に近づけて調律することが多いと,海外によく行く調律師の方から聞いたことがある。また,バロックが好きな演奏家は,チェンバロなどで使う少し純正律に近い音律に調律にすることもある。ただし,その場合はハ長調だと和音がよく響くけど,シャープやフラットが多い調性になるほど和音が濁ったりして,それが楽しかったり困ったりする。

細かいことはともかく,平均律による調律では,1オクターブの音程差以外は濁ってしまい,ハモリで音程を決めるコーラスや弦楽器とは相性が悪い。
以下の動画ではJacob Collierが,この動画のJacob Collierは正しい(ハモる)音程を歌って,ほら,ピアノの音はずれてるよねと説明している。英語だけど,英語が苦手な人でもピアノの音を出してる付近を見れば,何を伝えようとしているかはわかると思う。

でも,先日も書いたように,室内楽や伴奏のうまいピアニストは,ピアノの調律の音程がよろしくないことを知っていて,そのピアノの音を,歌や弦楽器の音程とハモるような演奏をできる。具体的には,弦楽器などと音程が食い違いやすい音を小さく弾いたり少しタイミングをずらしたりなどの工夫をして,濁りに気づきにくくする。理屈はわかっても,なかなか出来ない。

ついでにだが,昔アンサンブルに使った,少し古そうなスタインウェイのピアノは,鍵盤を弾いて鳴らした音が,その後弦楽器の音と共鳴して音程がハモるように少し変化した。初めびっくりして,弾きながらピアノの音に耳を澄まして何度も確認したので間違いないと思う。あとで,スタインウェイのピアノは弦を引っ掛ける金具(?)が響板に緩めに固定されていて,共鳴しやすく出来ているらしいぞと聞いたこともある。本当だったらすごい。

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