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当たり前にプロフが食べられる、いつかの日本で


 午前中もがんばった。ようやく昼休みだ。

「さて、昼メシは何を食べようかな。」


 会社を出て、歩きながら考えよう。

 ラーメン?  ・・・いやいや。今日はご飯ものが食べたい。


 カツ丼?  ・・・いやいや。ちょっと重いな。


 カレー?  ・・・いやいや。午後も仕事だ。ニオイが気になる。

 チャーハン? ・・・いやいや。ちょっと物足りない。 

 そうだ・・・



 プロフを食べよう!


 プロフは肉がゴロゴロ入ってるから、ボリュームがあって元気が出る。


 かといってトンカツみたいに揚げてはいないから、そこまでは重すぎない。


 プロフにはニンニクが入ってるけど、なぜか匂わないんだよな。


 それになにより、プロフはうまい!

 よし、今日も行きつけの定食屋に寄ってみるか!

 定食屋は、会社から歩いてすぐのところにある。昔からやってるらしく、和食・中華・中央アジア料理と、定番ものはひととおり揃ってる。新入社員の頃からお世話になってるなじみの店だ。


 数分歩いて、すぐに着いた。今日も適度に混んでるな。

 「おばちゃん、いつものね!」


 「はいよ! プロフ定食一丁!」


 おばちゃんが元気よく、厨房のおやっさんに声をかける。奥からは「あーい!」と返事が聞こえた。


 注文があったら、先に炊いておいたプロフを中華鍋で少し炒めるのがこの店の特徴なんだ。ジャッジャッとプロフに火を通している音が聞こえると、ふわっとニンニクと肉のいい香りがしてくる。おやっさん、今日のプロフも期待できそうだ!ますます、腹が減ってきた。

 「まずは定食のマントゥね!」


 おばちゃんがさっそく差し出す。ラーメンには餃子だけど、プロフにはやっぱりマントゥなんだよな。似たようなものだけど、この組み合わせはなぜか崩せない。本場のマントゥは蒸し料理らしいが、日本に伝わって焼きマントゥにアレンジされた。餃子よりも肉が多くて、食べ応えがあってうまい!

 「プロフもお待ちどお!ちょっと肉おまけしといたヨ!」


 「おばちゃん!」


 思わずお互いにサムズアップ! こういう心遣いで、常連客の心をつかんで離さないんだよな~! おばちゃん、さすがだぜ。

 でっかいスプーンでプロフをかきこむと、やっぱりうまい!肉、米、油、あと謎のスパイスの風味が全部一気に来て、抜群のうまさだ! チャーハンとか牛丼だと、こうは行かないんだよな。プロフならではの良さがある。プロフを食って、マントゥを食って、またプロフを食って、・・・止まらない! おやっさん、今日のプロフも最高だ!

 あっというまにプロフ定食を食べ終え、夢の時間は去ってしまった。


 「おばちゃん、ごちそうさん。お勘定お願い。」


 「はいよ、毎度どうもね!」


 小銭を探していると、おや、嫁さんからメッセージだ。内容を見て、思わず微笑んでしまう。


 「どうしたの?」


 「『今夜はプロフを作るよ!』だって!」


 「あらら!メニュー変えてもらいな。」


 「どうして? 俺は3食プロフでも大歓迎さ!」

 午後もがんばれそうだ。夜になれば、またプロフが食べられる。


 なんといっても、嫁さんのプロフが一番うまいんだよな~! 

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 Shun.

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