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”H Jungle with t” 結成の過程

2024年5月11・12日に開催される『ごぶごぶフェスティバル』。
2日目の相方ゲストは小室哲哉。

30年前、このタッグが結成することになった経緯。





ミリオンセラーお願いします!


プロデュースした trf がミリオンヒットを連発。
『ごっつええ感じ』でダウンタウンと共演している篠原涼子の『恋しさと せつなさと 心強さと』もミリオン到達。

そんな状況の中、小室哲哉が初登場。


『HEY!HEY!HEY!』(1994.10.31)
ゲスト:篠原涼子・小室哲哉

松本:でも、小室さんとしたら手一杯でしょ? trfがおって篠原涼子、ねえ。
小室:手一杯です(笑)
松本:手一杯ですよねえ。
浜田:ちょっと僕らにも書いてもらえませんかね?
小室:それが一番…
松本:俺らお前、坂本龍一ファミリーやないか。
浜田:はははは(笑)。”ファミリー”って。オッサンなんかいうたら、すぐニューヨーク帰んねんもん。
松本:はははは(笑)
浜田:日本におれへん人に、もう別に。

坂本龍一プロデュースの”GEISHA GIRLS”がCDデビューしてから、わずか3か月後の事。

小室:僕がもしも頼まれたら断れないですから
浜田:でしょ!
小室:お2人に、もしも頼まれたら、それが…
浜田:ほらほらほらほら!
松本:あ、僕らが今、今ここで!今ここで頼んだら、もう断れないんですか?
小室:断れないですよ。
松本:なんや、それは”頼め”って言うてるようなもんですよ!
小室:だから頼まないでくださいって。
浜田:いや、ホンマ!(頭を下げて)小室さん、ホンマにお願いしますよ!ミリオンセラーよろしくお願いします!

すべてはここから始まった。




発売日決定

『HEY!HEY!HEY!』(1995.1.9)

浜田:え~、小室哲哉プロデュースのですね…
松本:小室哲哉プロデュースの。
浜田:わたしの、そのソロデビュー作がですね…
松本:あなたのソロデビュー作が。
浜田:3月の8日に全国緊急発売することになりました…
松本:あはは(笑)。そうですか。

いきなり発売日が決まる。

浜田:ただね!現段階で、わたしは曲も聴いてないし!
松本:はい。
浜田:どういう感じでいきたいのかも、何も聞いてない!なのに3月8日に発売だけは決まってるんですよ!

どんな曲なのかも知らず、発売日だけは決定!

松本:3月8日といえば、え~っと、もう2ヶ月とかそんな感じですよね。
浜田:そうですよ。来週、小室さん来るらしいんで。
松本:はいはい。
浜田:もう一回聞きますわ。話しますわ、僕。
松本:ヤツはどう思ってんのか。
浜田:どう思ってんのかを。納得でけへんかったら、俺やめるし!
松本:ワーオ!!メチャメチャやなあ。キミが言い出したんやで。
浜田:そんなもん、こんなんなると思えへんし。

トントン拍子に進んでいく話に、怖気づく浜田。




小室哲哉と再会

『HEY!HEY!HEY!』(1995.1.16)
ゲスト:trf・小室哲哉

松本:今日はね、こっち(trf)よりもね、むしろこっち(浜田)なのかな。
浜田:うーん、まあ、さっきも、ちょっと小室さんと打ち合わせしたんですけど……はぁー(笑)
松本:まあ、その辺の話も後で。
浜田:後でじっくり話します。今日はtrfの歌も新曲なんですよね?
YŪKI:はい。そうです。
浜田:これ、また小室さん?
小室:はい。
浜田:これはいけますか?今回の新曲は。
YŪKI:いけ……ます!はい。
浜田:ただ今回は、僕はライバルですからね。
YŪKI:はははは(笑)
松本:はいはいはい。そりゃそうですよね。争わないといけないわけですからね。
浜田:発売日ね、ズラされたんです、コイツらのせいで。
松本:あはははは(笑)

trfの新曲『Overnight Sensation 〜時代はあなたに委ねてる〜』と被るため、浜田の曲は3月8日から3月15日に発売日変更。


松本:ちょっと聞きたいのはそっち(浜田)の事なんですけど。
浜田:ああ、はいはい。
松本:もうどの程度まで進んでるんですか?
浜田・小室:(沈黙)
松本:いやいやいや、あなたですよ。茶色の(服の)あなた。
浜田:え?僕?
松本:あなたですよ。
浜田:主導権はこっち(小室)です。
松本:そうなんですけど、話はどの程度まできてるんですか?
浜田:いや、もう曲は出来上がってますよ。
松本:あ、曲はもう出来ましたか。
浜田:ええ。
松本:タイトルは?
小室:タイトルはまだです。
松本:ああ、タイトルはだいたい後なんですか。
小室:後からですね。

曲は完成。タイトル未定。


小室:去年はすごく(浜田が)不安だったじゃないですか。
松本:はいはいはい。
小室:今年になってやっと…安心していただいてですね。
松本:ちょっと気合いを入れて。
小室:はい。
浜田:小室さんの中ではね、自信満々なんですよ。
松本:なんかそんな感じしますねえ。
浜田:うん。なんでそうさせんのかなと。何が彼をそうさせんのか。
松本:なんでこんなもんで自信が持てるのかなっていう。
浜田:そうなんですよ。
松本:うん。
浜田:もう完璧や、と。これもう絶対売れる、と。
松本:はい。
浜田:売れへんかったら、もう俺のせいになるわけやん。
小室:(笑)

ミリオンセラーを連発しながら、さらに自信満々の小室。
売れなかったら、もう浜田の責任。

松本:これもう、ちょっとあの…何位ぐらいまでいけそうでしょうか?
小室:さっきあの、trfと発売日が重なっちゃたって話だったんですけど、なんかもしかしたら浜ちゃん1位になるかなと思って、それでズラしたんですよ。
浜田:見て、この自信はなんなんや!これ、俺怖いわ!怖い!

小室プロデュース曲が両方1位を取るために発売日も変更。



松本も参加?

松本:あなた3位ぐらいまでガ――ッといったら、そのまま僕そーっといきますから。
浜田:(笑)。なんやお前、3位までは知らん顔か!
松本:はいはい、ごめんなさいホンマに。すんませんなあ、ホンマに。
浜田:ははははは(笑)
松本:3位ぐらいからフワーッとデュオに入っていきますから。
浜田:ははははは(笑)
松本:なーんもなかったように、最初から2人だったようになることもあるかもわからないですけど。
浜田:スーッとフェードインしてきて。
松本:その節はどうもご無沙汰してましたな。

世間ではミリオンヒット曲が連発している中、さすがに1位になるとは思っていない松本。


そして、小室から松本にお願い。

小室:それで、あの松ちゃんにね、1つだけお願いがあるんですけど
松本:はいはいはいはい。
小室:入ってくるじゃないですか、間奏で何気なくですね、こう…隠しコマンドってゲームとかファミコンとかありますよね。
松本:あのー、隠しアイテムみたいな事ですか?
小室:知ってる子だけわかるように。
松本:はいはいはい。
小室:そういう感じで、ポロッとこう、しゃべってもらえたら、うれしいなと思って。
松本:あ、イヤです、それは。
小室:(ガックシ)
浜田:おい!待てやお前!!
松本:断ったらダメなの?
浜田:アカンアカン、そんなん!
松本:あ、そうですか(笑)
小室:一応、もしよかったらですけど。
松本:ああ、まあまあその、さしてもらいますけど。まあ、その場合の売れた時の印税の問題が。
浜田:はははは(笑)
小室:それは、あの言葉でしゃべってもらった分は、ちゃんと著作権が発生します。
松本:あああ、そうですか(笑)。是非やらせてもらいますけど。

松本も何かしらで参加決定。




レコーディング場所


松本:普通、もっと時間かけてやると思うんですけど、割と早くに。
浜田:「レコーディングにロンドン来い」って言うたんですよ、最初に。
松本:ああ、行かなダメじゃないですか。
浜田:いやいや、そんな時間ないでしょ、そない。
松本:ほな、どこですんの?ロンドンダメになりました。
小室:あ、近くで。近所でやります。
松本:近所でやるんや。
小室:僕だけ、その録った歌だけ録れたらロンドンに行きます。

GEISHA GIRLSのレコーディングではニューヨークに行ったダウンタウン。
さすがに、今回ロンドンには行けない。



都内でレコーディング

『HEY!HEY!HEY!』(1995.2.13)

1995年1月下旬某日。
浜田はレコーディングのため小室哲哉のスタジオを訪れた。

小室:今日はギネス挑戦しましょう。
浜田:ギネス?
小室:レコーディング最短記録。
浜田:はははは(笑)。そうですね。

小室哲哉は吹きに吹いた!

小室:このリズムは世界一新しいリズムですから。これがJUNGLEっていうリズムなんです。

小室:とりあえず、100万はまず確実に目標で
浜田:(頭を抱える)

この日まで、暇をみつけてはデモテープを聴き、口ずさんでいたという浜田。すっかりこの曲にハマっている。

そして、無事にレコーディング終了!

小室:詞がもう完璧に浜ちゃんを浮かべて作ったんで…グッときちゃいましたね

3月15日発売!



『HEY!HEY!HEY!』(1995.2.20)
ゲスト:小室哲哉・trf

浜田:僕、この間レコーディングしまして。
松本:あ、その話もちょっとね。
浜田:もう、その話もちょこっと。
小室:そのために来たんですけど。
浜田:あ、すいません。

松本:(浜田の曲は)いけますか?
小室:はい。大丈夫です。
松本:かなり前も、自信あり気なこと言うてますけど。
浜田:そうそうそう(笑)
小室:もう、あれから5倍ぐらいに膨れ上がってます

レコーディングを経て、さらに手応えが大きくなった小室。


浜田:でもね、ほらあのレコーディングって、俺スタジオでちゃんとあるんかな思ってたら…家やねん。
松本:あ、小室さんの家でやってんの?
浜田:ビックリしたわ、俺。普通のリビングで歌ってんねんで、なんか。
松本:そんなんでちゃんと録れるんですか?
小室:もう、出来ました。ちゃんと。

ロンドンではなくリビングで録音。



ヒットの条件

松本:でも、(浜田は)素質としてはダメでしょ?
小室:素質も、声が高いんですよ、すごい
松本:あ、高いです高いです。
小室:これ、すごくヒットの大条件なんですよ
松本:声が高いっていうことが。
浜田:(カッコつける)
   客席からは「エ~~?」の声
浜田:「エ~~?」って言うなよ!

小室:あの、今ゲストの方…ミスチルの方もそうですし、あのB’zの人とか…もっとたくさんいるんですけど。あの声が、普通の男の人がこう歌うよりも、高い声が出るほうがやっぱりいいんですよ。
浜田:(再びカッコつける)
小室:で、あのー、XのTOSHIいるじゃないですか。
松本:はいはいはい。
小室:あれぐらい出るんですよ声が。

桜井和寿、稲葉浩志、TOSHI、浜田雅功。
声の高さでは錚々たる顔ぶれに並ぶ。


松本:これはなんでしょう、音域が広いってことですか?
小室:音域は狭いんですけど
浜田:(大笑)
小室:上に上がってるんです。
松本:あ、下は出えへんけども、全体的に上に上がってると。

音域は狭いが高音は出る。浜田の声はヒット曲の条件に合致。



めざせ紅白歌合戦!?

浜田:trfのファンも買うてくれたら、もう。
小室:あ、買ってくれるよね?きっと。
YŪKI:じゃないですか?
浜田:それがあったら、もう結構なもんですよね。
小室:あります。大丈夫です。
浜田:ねえ。
小室:言っときます。
浜田:頼みますわ、(カメラに向かって)trfのファン!trfのファン!

ここまで来たら、もうコケるわけにはいかない。

松本:こら今年、お前紅白出るな
浜田:出えへんわ!出えへん(笑)
松本:そのころ俺、裏で野球拳やってるけど。
浜田:(笑)

この時点では、まだ紅白歌合戦は遠い夢の話。




ユニット名決定


浜田:ずっと言うてた、あの名前がね。
小室:ああ、そうですそうです。
浜田:オンエアーのケツで出ますから。それはここでは言わないという。小室さんが付けましたから
小室:結局。

松本:結局、小室さんが付けたんですか。視聴者に募集したけど
浜田:うん。もう、ロクなのなかったからね。

番組で浜田のステージネームを募集したら28000通のハガキがきた。

その一部。

ハマジ、浜次、銀座じゅわいよくちゅうる・マキ・オーケストラ、浜田テイ遊園地、MC浜、M.C.HA-MA、起立浜田礼浜田着席浜田、浜田憲五朗、KENGORO Jr.、KENGOROジュニア with KOMURO、いくみ・みのり、パンチョ浜田、浜ちゃん・哲ちゃん、浜田まさし、TOWN雅功、大ハリセン、相方人志、浜っぺ、ライトてるお、クサイまさとし、フルチン王子様、玉川上水、福建省・雅、内須凱(ナイスガイ)、平平平平、、、など

しかし、どれもイマイチ。ステージネームだけが決まらない。
そんなある日、業を煮やした小室哲哉があるステージネームを提案。

小室:(紙に書いた名前を浜田に見せて)抵抗は別にない?
浜田:ないっすよ。

即決!

ある日の早朝。
フジテレビ河田町駐車場の壁に敷き詰められた5万個の風船。
それが合図とともに空に吸い込まれていく。
そこで発表されたユニット名は……


H Jungle with T


決定!




H Jungle with t テレビ初登場

『HEY!HEY!HEY!』(1995.3.13)

オープニング、松本ひとりで登場。

松本:ちょっとねえ、覚えにくい名前なんですけども紹介したいと思います。えー、H Jungle with t さん、どーぞー!

浜田、小室、DJ KOO 登場。

松本:あのー、まあまあねえ、これもうスゴイ人気なんですけども。
浜田:はいはい、わかってます、わかってます。
松本:今、若者の間ではスゴイ支持を受けてるという…
浜田:あーーー!?
松本:あははは(笑)。すいません。
浜田:言葉遣い気ぃつけえよ。
松本:あー。ライブはいつもこんな感じなん?
浜田:あーーー!?(ゲストには)敬語でしゃべらな。

今回、浜田はゲストミュージシャンとして出演。

松本:メンバー紹介をよろしくお願いします。
浜田:ウチの相方の(小室)。
小室:tです
浜田:t
小室:tです。
松本:あ、tさん。Hさんとtさん。
浜田:そういうことです。
松本:で、あちらの方(DJ KOO)は?
浜田:呪いをかけている

H Jungle の呪い担当、DJ KOO。



松本から見た H Jungle with t

松本:どのぐらい今売れてるんでしょうか?
浜田:うん?
松本:今どれぐらい売れてるんでしょう?
浜田:うん、明後日発売なんやけどね
松本:あ、そうなんですか。状況がよくみえないと。
浜田:そうだねえ。
松本:えー、わかりました。
浜田:どう?
松本:なにがですか?
浜田:いけると思うかな?
松本:うーん、そうですね…まあ、なんとかねえ。
浜田:あーーー!?

松本:いやいやいや。小室さんがやっぱりスゴイ!
小室:どんな印象ですかねえ?
松本:あのねえ、ちょっと別人っぽかった。
浜田:ああ、そうですか。
小室:うんうん。
松本:なんか全然違う…その、ボクがイメージしてたのとねえ。
浜田:もっとダサい思ってた?
松本:うん。なんかもう、ちゃんと出来てしまってるっていう感じがしますよね。
浜田:ああ。

松本:これね、でもね、悔しいですけどね、ちょっと売れるかもわからないですね

松本も絶賛!


松本:またDJの声がいいじゃないですか。
浜田:お前や!
松本:ええ。
浜田:お前や。最後に語っとるやないか。
松本:はははは(笑)
浜田:「浜田と初めて会ったのは…」って。えらい(曲は)カッコええのに最後語りが入ってる。

間奏の「B・U・S・A・I・K・U・H・A・M・A・D・A」と最後の語り。
これが松本の隠しコマンド。



目標とライバル

浜田:明後日発売なんですよ。
小室:すっごいドキドキしてますけどね
松本:いやなんか、聞いたら予約の段階で、もうそこそこいってるっていうのはチラッと聞きましたけど。
小室:こんなに、こう一曲を大切にしてきたのないんですよ
浜田:過去ね(笑)
小室:過去。
浜田:過去ないんですよ。
松本:そうなんですよ。助走が長かったから。
小室:そうなんですよ。もう、本当なんか宝石のような感じで
浜田:ははは(笑)
小室:最初は、あの原石ですから。

小室哲哉が一番大切にしてきた宝物のような曲。
『WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント』が完成!


松本:もう一度、ほんなら最後に聞いときますけども、何位を目指しましょう?
浜田:あ!?
松本:ふふふ(笑)。いやいや、何位ぐらいまでを目指しましょう?
浜田:1位ですよ
   盛り上がる客席
   客「ライバルは?」
浜田:ミスチル
松本:まあまあ、あの~、まだ発売してないんで、言いたいことは言える。
浜田:はははは(笑)

結果、7週連続1位。200万枚を超える大ヒット曲になった。


2024年5月12日。結成から29年。
万博記念公園で最強タッグが復活する。


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