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『うたばん』の猿岩石

猿岩石は『白い雲のように』でCDデビューしてから半年以上が過ぎ、各局いろんな番組に出てから『うたばん』のトークに初出演する。

3枚目のシングル『コンビニ』の時だ。

そこで、とんねるずの石橋貴明と共演することになる。


1997.5.20
猿岩石『うたばん』初出演

有吉:ああ、どうもはじめまして。
森脇:はじめまして。
石橋:会ったよ。
森脇:会ってますね…
中居:こうやってしゃべるのは初めてなんだ?
有吉:はい。そう、ちゃんとお話しさせ…
中居:どうですか?タカさんは。なにで会ったんですか?最初。
有吉:えーっとね、最初『ミュージックステーション』で。

3か月前の2月14日、『ミュージックステーション』に猿岩石が初出演した時、石橋は工藤静香とのユニットLittle Kissで出演。そこで初共演は果たしていた。


猿岩石の人気

中居:いやでも、猿岩石スゴい。僕、今レギュラー2本一緒なんですよ。
森脇:そうなんです。
中居:4月から『いいとも』と、あと『中居くん温泉』ってあんですよ深夜に。それ今レギュラー一緒なんですけども。だってスタジオの前、本当にスゴい!

猿岩石のファンによるスタジオの入り待ち・出待ちがスゴかったという。

中居:この前、だからちょうど、しゃぶしゃぶ食いに行ったのね。
有吉:はい。
石橋:2人で?
中居:うううん。3人と、あと山崎邦正と出川哲朗と5人で。
石橋:スゴい面子だね、それは。

山崎・出川も『中居くん温泉』のレギュラー。
芸人4人と中居でしゃぶしゃぶに。

石橋:その5人でメシ食いに行くときはどうすんの?割り勘なの?中居くんが払うの?
中居:いや、僕がしゃぶしゃぶのタダ券をもらったんですよ。
石橋:(苦笑)
森脇:セコい(笑)
中居:(うれしそうに)なあ?
有吉:はい。
中居:(うれしそうに)なあ?5万円分なあ?
有吉:ねえ。
石橋:しゃぶしゃぶのタダ券って…
中居:食い放題のタダ券。

レギュラー番組の座長でトップアイドルでもある中居がタダ券でのお支払い。
まあ、それはさておき猿岩石の人気について。

中居:(店)出た時に、もう11時12時ぐらいだったのかな。
有吉:そうですね。
中居:「出よう」つって出たんだけども、バッてやっぱ女の子がいるから、「ああ、これ俺のファンの子かなあ」と思って。ヤバいな、付いて来ちゃうと。ほら、僕だけじゃないから。猿岩石もいるし、山ちゃんも哲ちゃんもいるし、これはじゃあビシッと言わなきゃいけないなあと思って、こうやって歩いてったらみんな(中居を)通りすがって、みんな猿岩石の方に「有吉くん!」「森脇くん!」「(手紙)受け取ってください!」つって、俺スッゲーカッコ悪いのよ!今の俺っていうのはスター気分だから、こうやって(中居を)どんどん抜かしていくのね。ボーンとか当たっていくわけよ。
森脇:ふふふふ(笑)
中居:俺、手紙だったら受け取ってあげるのにな、と思うのに。スゴかったよな?
有吉:でも、あの日ちょっと本当偶然ですよ。

スター中居より人気だった日もあったという。

石橋:良かったね。でもねえ、売れて。
森脇:そうですね。報われました。
石橋:なかなか出てこれんからね、今お笑いの人は。曲も売れてミリオンで。

ミリオンアーティストになってからの石橋と共演。
猿岩石は、ちゃんと”売れた人”と認識されている。


石橋貴明に聞きたいこと

中居:タカさんの前って、やっぱり昔からなんかスゴく憧れが強くて、猿岩石のお2人は。どうしてもタカさんの前ですと、非常にアガってしまうと。
石橋:うん。
中居:やっぱりアガる?
有吉:そりゃアガりますよ。
森脇:アガりますね。
中居:今でもやっぱり。
有吉:アガりますね。
石橋:ダウンタウンの前でもそういうこと言ってんじゃないのか、お前!
森脇:はははは(笑)

※一応書いておきますが、ここでいう”アガる”とは”緊張する”ということです。テンションが”アガって”いるわけではない。

ちなみに、ダウンタウンとは『HEY!HEY!HEY!』で共演済。

石橋:何を聞きたいわけよ?
中居:あ、そうそう。素直にいきましょう。じゃあまず、有吉からいきましょうか。
有吉:素人だったら簡単に聞けるんですけどね。なんか…そうっすね、芸能人で誰とヤッた事がありますか?とか。
石橋:くだらねえな、おい。
中居:そうなんですよ。
有吉:だから聞きにくいんですよ。
中居:でも、一般人じゃないですか、やっぱり気持ちはまだ。一般人のいわゆる質問ですよね、タカさんっていう芸能人に対する質問。
石橋:うん。
中居:芸能人で誰とヤッた事あるんですか?
石橋:おいおい、そんなお前、一緒にベッドを共にしたヤツの名前なんか(カメラ目線で)死ぬまで吐けねえぜ。
中居:ははは(笑)
有吉:(笑)

石橋がカメラ目線でカッコつけた言い方をした事で、一段落はついたが……

中居:じゃあ芸能人とお付き合いしたことある?
石橋:俺、だって23の時、もうカミさんと同棲してたんだもん。
中居:……
有吉:でも関係ない…でしょ?(石橋・中居に頭を叩かれる)
森脇:そら殴られるわ。そら殴られるわ。
有吉:(中居に)ねえ?そうですよね?
石橋:お前らくだらねえよ!それがオメエらの聞きたいことか、このヤロー(森脇・有吉の頭を台本で叩く)。
森脇・有吉:(笑)

猿岩石は、ネタやバラエティ番組での振る舞いで売れたのではなく、外国を旅して帰国したらスターになってたという、今までにない売れ方をした。
だからこそ、芸人として笑いに振りきることも、新人タレントとして真面目にいくことも、どちらもいききれないという状態。
これが、どの番組に出ても居心地悪そうにしていた原因だった。
そんな中、真面目にいこうとする森脇に対して、何かしらは芸人として振る舞おうとしていたのが有吉だ。


思い出の味
地元広島で行きつけだった、近所のお好み焼き屋さんから材料を送ってもらい、その味をスタジオで再現。

石橋:どんな感じ?
森脇:あ!そっくりだ、味。
中居:「そっくり」って、材料はそっから本当送ってもらったんだから。そっくりでしょ?
有吉:……うん。
中居:どっちだよ(笑)
有吉:ふふっ(笑)。いやあ、(棒読みで)美味しい。
中居:あんま似てねえんだろ?
有吉:(わざとらしく)懐かしいなあ。
中居:ウソつけよ!おめえウソだろ(笑)。なんだよ、全然違うなら違うって言えよ。
有吉:ちょっと違う(笑)
中居:ふふふふ(笑)。やっぱ違うんじゃねえか。

美味しく食べる森脇に対して、素直に喜んだりしない有吉。


今、欲しいもの

有吉:欲しいもの。僕はそうですね、自転車欲しいですね、無印良品のやつ。
石橋:そんなもん買えるやろ、もう。

ここは、”現実的な答えをする”、という答えをする有吉。

石橋:森脇くんは何が欲しいの?
森脇:僕はだから、今“実力”が欲しい
中居:何の実力?
森脇:バラエティに富んだ実力。
中居:なるほどね。お笑いなのか歌手なのか。

「“実力”が欲しい」。
これは素直な答えなのだろう。
お笑いとしてバラエティ番組も出てレギュラーも決まり、歌手としてCDも出してヒット曲もある。両方同時に売れたことで自分の実力が追いついていない。そう感じているからこその答え。

石橋:いやだから、そういうのあんまり考えなくていいんじゃない?もう。俺たちだって、最初『雨の西麻布』だとかなんとかって売れた時、絶対そのままいなくなるって言われてたもん。
中居:ああ。
石橋:今の猿岩石より、もっとヒドい言われ方したもんなあ。でもなんとかなるもんだからねえ。
有吉:ああ、そうっすか。
森脇:そうなんですかねえ。

とんねるずが『一気』を出した時、最初は121位だった。それが5ヶ月かけて19位まで上がっていった。でも19位だ。
デビュー曲がミリオンセラーとなった猿岩石とは正反対。
それでも売れた石橋貴明の言葉は重い。

石橋:なんとかなるんじゃない?あんまり考えない方がいいと思うよ。
有吉:ああ、そうですか。
石橋:前向きに前向き。前向きが一番よ。


(『うたばん』1997.5.20・6.24放送分を元に執筆)

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