オカチマチ

平成4年生まれ。読んだ本とか調べたこととか書きます。ロシアが好き。

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最近の記事

こころの在り方重視の生き方へ       神谷恵美子『こころの旅』を読んで

藤井聡太が「結果は重視しない。自分でコントロールできないため。自分でコントロールできる過程を重視する」という主旨のことを言っていたのを聞いたことがある。 本書を読んで、それを思い出した。 長い人生の歩みにおいて第一に、人は何を成し遂げるかではなく、どう在るべきか、を意識した方がよいのではないか。 新入社員時代、「仕事ができるが性格が最悪な上司」か、「仕事はできないが性格が良い上司」のどちらが良いか、と同期と話した。 どちらが正しい、ということはないだろうし、仕事の性質や環境

    • お盆もきたので、、「季刊 地域」2017年夏号「赤トンボとホタルの増やし方」を読んだ。

       特集名は、「赤トンボとホタルの増やし方」。  いやいや、虫増やしてどうするの?と思いますよね。「老後2000万の蓄え方!」や「増税前にやるべきこと5つ」みたいな特集組んでる雑誌の方が気になりそうです。自分も、やはりお金や将来のことみたいな漠然とした不安や恐怖を煽ってくる見出しの方が目に付きます。訴求力があるから。虫の増やし方に、訴求力はありません。お金がないと死にますが、虫はどちらかというと少ないほうがありがたいですから。  ただ、なぜかこの特集は読んでみたくなりました

      • 合コンで出会った「イノベーターのジレンマ」の経済学的解明を読んで。「能力」よりも大事なもの。

         今回、イェール大学準教授の伊神満さんの著書『「イノベーターのジレンマ」の経済学的解明』を読んでみました。この本との出合いは、友人が開いてくれた合コンです。主催者の友人が何を狙ったのか合コンの席に携えてきたんです、このがっつり経済学の難そうな本を。それを、予定時刻より必ずきっちり30分遅れてくる系の女性陣を待つ間、新宿の飲み屋でハイボール煽りつつ拝借して読んだのが始まりでした。  結果、その合コンで唯一の収穫はこの本に出合えたことでした。面白い。一番自分の感性にしっくりくる

        • ”疑う”ことと、”引き寄せる”こと。村上龍「希望の国のエクソダス」取材ノートを読んで。

          「この国には何でもある。本当にいろいろなものがあります。だが、希望だけがない」 村上龍の小説「希望の国のエクソダス」中の言葉です。 「2002年秋、80万人の中学生が学校を捨てた。経済の大停滞が続くなか彼らはネットビジネスを開始、情報戦略を駆使して日本の政界、経済界に衝撃を与える一大勢力に成長していく。その後、全世界の注目する中で、彼らのエクソダス(脱出)が始まった。」文春文庫の紹介文です。 この小説は「不登校の中学生」「インターネット」「金融危機」といった政治・社会・

        こころの在り方重視の生き方へ       神谷恵美子『こころの旅』を読んで

        • お盆もきたので、、「季刊 地域」2017年夏号「赤トンボとホタルの増やし方」を読んだ。

        • 合コンで出会った「イノベーターのジレンマ」の経済学的解明を読んで。「能力」よりも大事なもの。

        • ”疑う”ことと、”引き寄せる”こと。村上龍「希望の国のエクソダス」取材ノートを読んで。

          「学力・心理・家庭環境の経済分析」を読んで、教育に真摯に向き合う姿勢を学んだ。

          昨今よく「子供の貧困」や「貧困の固定化」が取り沙汰されています。貧しい家庭に生まれた子供はやはり貧しく、成人してもその貧しさから抜け出せずにいる。そしてそういう人が、少なくない数いる。 自分自身、母子家庭で塾や習い事をさせてもらえなかったり、周りのいわゆる幸福な家庭に対して「家族」というバックグラウンドを持っていないと感じたりして悩んだ時期がありました。 そういう意識から、本書を読みました。”生まれ”と”育ち”は子供たちの成育にどのような影響を与えるのか。本当に可哀想なん

          「学力・心理・家庭環境の経済分析」を読んで、教育に真摯に向き合う姿勢を学んだ。

          もっとアウトプットがしたくて樺沢紫苑著「アウトプット大全」を読んでみたら、ものすごい具体的でとりあえず笑顔になった。

          アウトプットは、インプット以上に大事です。 それは重々知っていました。どれだけ自分の中に学びや発見を蓄積しても、それを実生活に反映させていかないとそれはただの「知識」です。「知識」は仕事や普段の生活の中で活用することで初めて人生に影響を与えてくれます。それは、わかっていたんです。 ただ、アウトプットって具体的にどうするんだ、、、てところがわかりませんでした。とりあえずツイッターで読書の感想をつぶやきだしたけれど、、、これでいいのか?て感じでした。アウトプットしている感触が

          もっとアウトプットがしたくて樺沢紫苑著「アウトプット大全」を読んでみたら、ものすごい具体的でとりあえず笑顔になった。

          元官僚が、古賀茂明著「官僚を国民のために働かせる法」を読んでみて感じたところ。

          古本屋前の100円ワゴン、ついつい覗いてしまいますよね。たまに、これは!!!という出会いがあるものです。 私も今日、下北沢の古本屋で100円ワゴンを漁っていました。すると本書を発見。私は今年の3月まで肩書きとしては官僚でした。それで今、官僚の友達の家に居候させてもらっている。買うしかない!!そんで、官僚の友達に突きつけてやる!!!100円だし!!!!そんなちょっとした悪戯心で本書をレジに持っていきました。それで、渡す前に自分でもちょっぴり読んでみた次第。 官僚批判、鋭いで

          元官僚が、古賀茂明著「官僚を国民のために働かせる法」を読んでみて感じたところ。

          牧大介著「ローカルベンチャー」を読んで。鰻とガンダム。

          どこかでお勧めされていたのを見て読んでみました。自分も大学から現在までかれこれ8年間一次産業(専ら水産)に関わってきた人間の端くれなので、「ローカル」とか「地域」とかソトコトチックなワードに反応しやすいです。一次産業は多くの地域で経済的にも社会的にも文化的にも基幹産業となっているので、ついつい反応してしまいますね。地域と一次産業は密接に繋がっています。 結果、面白いし、勉強になりました。以下、自分がメモした中で特に意識したい点を3点羅列します。 ① 自分の「ワクワク」を軸

          牧大介著「ローカルベンチャー」を読んで。鰻とガンダム。

          「ボクたちはみんな大人になれなかった」はまさに他人の日記で、そこに生きるに値する一瞬を求めて読むうちに朝になる。

          今までの小説は、”物語に潜む謎”や”独自の感性と文体”を推進力として、最後まで飽きずに読者を捉えるように意識的にも無意識的にも設計されていたのではないか、と考えています。 三島由紀夫は、小説の動力はそこに潜む謎であるというようなことをどこかで書いていました。また、月並みでない小説はみな、その人でしか書けないなこれは、という独自性を有しています。それ故、ただ印字された活字をなぞるだけで時に思考の根幹を揺るがすような、日常を非日常的なものに変え得るようなカタルシスを得ることがで

          「ボクたちはみんな大人になれなかった」はまさに他人の日記で、そこに生きるに値する一瞬を求めて読むうちに朝になる。

          「すべての男は消耗品である」最終巻。相変わらず村上龍は救ってはくれない。

          終わってしまった。村上龍さんの連載エッセイ「すべての男は消耗品である」が終わってしまった。 村上龍さんは自分の最も好きな小説家なので、とても寂しいです。惜しみつつ読みました。相変わらずだと思いました。世の中との距離感と、静かに熱い生き方と。そして氏の既刊エッセイどれにも言えることですが、読後感はよくない。村上龍さんにそんなつもりは毛頭ないと思いますが、その文章は読者の危機感を揺すり起こす。自分は、このままでいいのだろうか、と思わざるを得なくなる。そしてそれを、突き放す。「私

          「すべての男は消耗品である」最終巻。相変わらず村上龍は救ってはくれない。

          「平成遺産」を読んで、平成とか令和とかどうでもよくなってしまった。

          武田砂鉄、川島小鳥、最果タヒ、ブレイディみかこ、川添愛、みうらじゅん、田房永子、栗原康の8人による平成エッセイオムニバス、「平成遺産」を読んでみました。もうすぐ令和!平成のことは平成のうちに!と、読んでみたけれど、なんか平成とか令和とかどうでもよくなってしまいました。そんな不思議な本です。 8人のバックヤードは多種多様で、当然平成への切り込み方も全く違います。たとえば、武田砂鉄さんはなぜか「神田うの」について熱量たっぷりに語っている一方で最果タヒさんは阪神淡路大震災や最果さ

          「平成遺産」を読んで、平成とか令和とかどうでもよくなってしまった。

          萩原慎一郎 歌集「滑走路」を読んで。

          短歌が好きです。自分だけの日常と感性を31文字に閉じ込める。それが、思いのほか多くの人に届く。自分だけの日常と感性が、沢山の自分だけの日常と感性に響いていく。夜光虫のよう。自分の命の欠片でもある日常とそれに付随する感性を夜の海に投げ込むと、飛沫を受けて水面下でゆらゆら光る夜光虫。みんないたんだ、と思う。投げた方も、海面で光る夜光虫も。 「滑走路」もそんな歌集です。やっぱりいたんだ。 NHKで特集されたりしてご存知の方も多いかと思いますが、「滑走路」は自殺した萩原慎一郎さん

          萩原慎一郎 歌集「滑走路」を読んで。

          施川ユウキ「銀河の死なない子供たちへ」の極めて個人的で勝手な考察

          施川ユウキさんは、「バーナード嬢曰く。」で初めて知りました。そのころからSF系がお好きなのかなー、と感じていたけれど、今回読んだ「銀河の死なない子供たちへ」で、ホントのSFクラスターだ!と確信しました。随所にSF的な描写が散りばめられていて、こだわりが見られる漫画です。 ただ、自分あんまりSF読んでないからその切り口でこの漫画を解釈することはできません。。。ので!自分なりに思ったところをつらつらと綴ります。もちろんSFとか全く知らなくても面白い漫画ですし、多分施川ユウキさん

          施川ユウキ「銀河の死なない子供たちへ」の極めて個人的で勝手な考察

          ちょい前の芥川賞受賞作「コンビニ人間」をようやく読んでみた感想

          ちょっと前の芥川賞受賞作、村田沙耶香著「コンビニ人間」をようやく読みました。簡単に感想を綴ります。貧乏性で実際に貧乏なので、話題書は文庫になるまで or B00K OFFの100円棚に並ぶまで読まない一派です。なんだかんだB00K OFF好きなんですよね。。作家の方や出版業界には少し悪いですが、出世払いでつけといてください。。 主人公、かなり変わっています。マニュアルがあれば、それを模倣して生きていける。わかりやすいモデルがいたり、こうした方がいいよ、と一度教えられるとそれ

          ちょい前の芥川賞受賞作「コンビニ人間」をようやく読んでみた感想

          ゲーテ著「若きウェルテルの悩み」をさくっと解釈してみると...

          かの高名なドイツの詩人、ゲーテの「若きウェルテルの悩み」がB○○K OFFの100円コーナーに無造作に挿まれており、「ゲーテ、助けてやるよ」の精神で連れて帰りました。B○○K OFFて歴史的な名著にも直に安っぽい100円シール貼ったりして、その辺容赦ないですよね。。 案外さくっと読めたので、さくっと自分なりの解釈を書きます。この文章もさくっと読んでいただければ幸いです。さくっとネタバレするのであしからず。 青年が自殺するお話。ひどく厭世的だが才能はある(らしい)ひとりの青

          ゲーテ著「若きウェルテルの悩み」をさくっと解釈してみると...