20190416_ゲーテ_若きウェルテルの悩み_

ゲーテ著「若きウェルテルの悩み」をさくっと解釈してみると...

かの高名なドイツの詩人、ゲーテの「若きウェルテルの悩み」がB○○K OFFの100円コーナーに無造作に挿まれており、「ゲーテ、助けてやるよ」の精神で連れて帰りました。B○○K OFFて歴史的な名著にも直に安っぽい100円シール貼ったりして、その辺容赦ないですよね。。

案外さくっと読めたので、さくっと自分なりの解釈を書きます。この文章もさくっと読んでいただければ幸いです。さくっとネタバレするのであしからず。

青年が自殺するお話。ひどく厭世的だが才能はある(らしい)ひとりの青年が、世の中から嫌われながら死に希望を見出していく過程を、この青年が友人に宛てた手紙を通して辿っていく小説。

内なる情愛に極端に忠実な若きウェルテルは、俗世が嫌いだから俗世からも嫌われるのか、俗世から嫌われているから俗世を嫌いになるのか、その辺は鶏か卵かでよくわかりませんが、とにかく世の中や運命といったものに拒否され続けていきます。叶わない恋に落ちたり、仕事で人間関係に悩まされたり。

率直な感想としては、「上手く折合いつけろよ...」です。自殺するほど人妻に入れ込むなよ...せっかく仕事あるんだから愚痴ってばかりいないでその辺そういうもんだって割り切ってやんなよ...と窘めたくなる。若いね、ウェルテル。

ただ、そう言えるのは、自分が「他人事」としてウェルテルを捉えたから。もし、自分が全く同じ境遇に陥ったらどうだろう。この人と結ばれないなら生きていても仕方がないと思えるような人に出会ってしまったら。そして、その情愛は決して成就しないとしたら。あなたは、折合いつけられますか?

残念ながら自分は折合いつけます。多分、いい思い出として処理してしまう。ウェルテルくらいの年なんですけどね自分も。

この小説がすごいのは、ゲーテの実体験を基にしてるところです。ゲーテは、この恋を経験している。小説中のヒロインには実在したモデルがいます。ただ、ゲーテは自殺してはいない。折合いをつけたんですね。仕事に関しても、小説や詩の他に政治家として政務長官を務めるなど、社会的に成功しています。折合いをつけながら世の中と仲良く生きていたんです。

それが、すごい。世の中と仲良くやれたゲーテが、上手く折合いをつけられなかったウェルテルを描くことに成功している。世の中や運命に嫌われないと辿り着けない景色を、実社会で成功したゲーテが、まるでウェルテルがその手で筆を執ったかのように描写している。世界線を越えている。

「自分の人生とは異なる次元の人生を、リアルに提示してみせる」優れた小説家の能力だと思います。さくっと、これで終わりです。ありがとうございました。

蛇足です。ウェルテルを読んで、ギャツビーを連想しました。内なる情愛に極端に忠実でありながら、世の中に徹底して拒否される。フィッツジェラルドはその人自身が波乱に満ちた逆境的な人生を送ったので、ゲーテとはまた違った”凄み”がありますよね。

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