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Google Earth Engineで森林火災を可視化する

ヨーロッパに今年も熱波が襲来しています。
イギリスでも気温が40度に迫ると予想されるなど、例年に比べかなり暑くなっているようです。エアコンが無い家も多いようですし心配ですね。
自分が経験した過去最高気温は47度でマドリードでした。。。

自然発生する森林火災は広域に渡るため、衛星での検知が有効な手段として使われています。下の絵はCopernicus EUのFacebookページで紹介されている画像ですが、Sentinel-2衛星で取得されたスペインの森林火災地域を表示しています。

#Copernicus for #wildfires monitoring Furious #fires are raging in 🇵🇹🇪🇸🇫🇷 Multiple fires 🔥 are ongoing in almost all...

Posted by Copernicus EU on Saturday, July 16, 2022
  • スペインの首都マドリード西方225kmほどモンサグロの近く

  • Google Street Viewを見る限り周囲は灌木が多く、乾燥した地域の模様

  • 取得日 2022/7/15

Sentinel-2データは、Copernicus Open Access HubEarthExplorerからダウンロードしてGISアプリケーションで利用することが出来ます。
ただ、最近はデータサイズが1GBを超えるなど、非常に巨大化しており、ダウンロードだけでも数十分から数時間かかったりする場合がでてきました。一度に多くのデータを見てみたいという場面で、大量に扱うのは難しくなっています。そんなときにはクラウドGISの1つであるGoogle Earth Engineなどの活用が有効です。

Google Earth Engineのコードの例

以下は、Copernicus EUの画像と同じ場所の同期間のデータを表示するための
JavaScriptコードの例です。

//Google Earth Engineで森林火災箇所を表示

//対象の場所スペイン、モンサグロ
var LocMonsagro = ee.Geometry.Point([-6.247778484197723,40.51171282524176]);

// Sentinel-2 MSI: MultiSpectral Instrument, Level-2A
var Sentinel2 = ee.ImageCollection("COPERNICUS/S2_SR")
.filterBounds(LocMonsagro) //場所を指定
.filterMetadata('CLOUDY_PIXEL_PERCENTAGE','less_than',20) // 雲量20%未満
.filter(ee.Filter.date('2022-07-10', '2022-07-18'))//データの期間
.sort('system:time_start',false) // 撮影日の降順(最新日を先頭にする)
.first();//先頭データのみ使用

//画像表示
Map.centerObject(LocMonsagro, 12); //モンサグロを中心にズームレベル12で表示
Map.addLayer(Sentinel2,{bands:['B4', 'B3', 'B2'],min:0,max:5000},'S2 True');//TRUEカラー表示
Map.addLayer(Sentinel2,{bands:['B12', 'B8', 'B4'],min:0,max:12000},'S2 FALSE');//FALSEカラー表示

このコードについて、ざっくり説明すると以下のパートからできています。

  • 場所をポイント(やポリゴン)で定義

  • 使う衛星とプロダクトのレベルを指定し、補足情報として

    • 場所、期間、雲量を追加する

  • 画像の表示位置を定義

  • 表示の仕方(色の表示の仕方)を決定

TRUEカラー表示
FALSEカラー表示 赤い部分が延焼箇所と思われる
Map表示

Trueカラーは、人の見た目に近い色で表示するものなのでわかりやすいかと思います。ただこれだと、煙の下、雲の下になっている場所がわかりにくくなります。
対してFALSEカラーとした後者では、人の目で見たものとは違います(そのため”FALSE”です)が、煙の下の状況も可視化出来ます。ここでは火災の最前線が赤く見えています。Trueカラーでなければ、すべてFALSEカラーになるので、実際にはこの他のバリエーションも存在し、それがリモートセンシングの特徴の1つになっています。
コードの中のB2,B3,B4などのBはBandの意味です。人の目には見えないものもありますが、複数の色のセンサーをもっていると考えるとわかりやすいと思います。

実際にはもっと広域かつ長期間の検索表示も可能で、それこそがクラウドGISの1つである、Google Earth Engineを使う最大のメリットだったりしますが、文字ベースで言うのはなかなか難しいので、あくまで1例として紹介しました。皆さんも是非1度アカウントを取って使ってみてください。

おわりに

このnoteではコンサベーションGISコンソーシアムジャパンの中の人をやっている私が、本来業務である環境分野での長年のGIS業務経験をもとにデータやサービスの使い方などを中心に情報の提供を行っています。
GIS業務、リモートセンシング業務のほか、関連データ作成、データ処理、研修活動なども行っていますので、もしお困りのこと、ご質問などがあれば、遠慮なくご連絡ください。




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