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国土数値情報のデータダウンロード状況が興味深い


はじめに


こんにちは。今回はGIS操作ヒントそのものではないのですが。

現在、「今後の国土数値情報の整備方針 中間とりまとめ」として、国土数値情報の中間取りまとめの報告書が公表されています。
国土数値情報は、以前の数値だけのデータの時よりお世話になっているデータですが、やはり平成 13(2001)年に GIS ホームページが出来たことが、とても大きいと感じます。何よりデータ変換の手間がいりませんし、この手の情報リンクは業界ではすぐ広まり、自分で調べることもできるので。

2024/4/26まで意見が受付状態になっているようですので、もし何かあれば今すぐ。

その報告書の中に、(別表)として国土数値情報 公開データ 一覧表がついてます。データごとのダウンロード数が直近の3カ年度分(令和3年4月から令和6年1月まで、年度単位)について整理されているものです。
データ利用側、時に提供側、としては大変興味ある内容ですので、グラフにしてみました。

国土数値情報 公開データダウンロード数

データ別に3カ年度分ダウンロード数を合計し、降順にして、表にしてみました。データは縦に並んでいますが、193項目あります。
実際は各データごと、年度別のデータがある場合もあり、もっと項目数は多いはずで、それだけでもすごいです。

国土数値情報 公開データダウンロード数(令和3~5年度の合計(令和5年度は1月まで))
「今後の国土数値情報の整備方針 中間とりまとめ」https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/other/seibihoushin_chukan.pdf より作成

さらにこの表から、ダウンロード数上位30までをグラフにしてみました。

国土数値情報 公開データダウンロード数上位30(令和3~5年度の合計(令和5年度は1月まで))
「今後の国土数値情報の整備方針 中間とりまとめ」https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/other/seibihoushin_chukan.pdf より作成

ダウンロード実績についての個人的な感想


行政区域、土地利用細分メッシュなどは、使われた方も多いのではないでしょうか?地価公示データなども人気のようですね。
10位くらいまでみていくと、標高・傾斜度(5次メッシュ)、平年値(気候)メッシュなども利用が多いようで、土地利用細分メッシュと合わせ、地図的な空間解析を「駆使」する、従来的な地図利用のほかに、ダッシュボード的な利用というか、「串刺し」的な利用が多いのかなあという感じがします。(メッシュ解析が興隆していた昔に戻った気もします。。。精度が段違いですが。)

更に下位を見ていくと、避難施設、福祉施設、ヘリポート、医療機関など有事の際の対応を考慮したデータもニーズが高いようです。

環境の仕事をしている身としては、流域界・非集水域(ポリゴン)のデータにとても縁が深いのですが、これが61位にいること、それよりも流域メッシュが遥かに上位で、16位(数字が逆なのは偶然?)にあることも同じ意味で興味深いです。流域界は、あまり変わるものではないとはいえ、1977年のデータが今でも使えるというのは、感慨深いです。
もっとも当時とは違い、今では精度の高いDEMが整備されていますし、DEMから自動で流域界も生成できます。
流域界の精度検証(何次河川まで取り入れるのかなど)には最終的には人のチェック・判断がいるとは思いますが、そういうことをしても面白いかなとは思います。ニーズは限定的ですし、下流の難しい判定をどうするんだという話がありますが。やればやったで大変ですし。

翻って上位の行政区域や土地利用細分メッシュなどは、複数年度収録されているのが有効です。大きなデザインをするときなどは有効ですし。
特に後者の土地利用については、環境省の植生図の現行調査回(第6回、第7回基礎調査)の取りまとめが済めば、合わせて比較してみても面白いと思います。土地利用データは、近年のものは衛星データの解析がベースなのでその辺は考慮しないといけないとは思いますが。

研究者、私のようなボランティア(そうしたい訳ではないのですが・・・苦笑)を除けば、ほぼすべての作業は業務利用になります。結局のところ業務利用に道を開かない限り、利用は進まないと思いますので、商用利用には道を開いてほしいです。公的な仕事を請け負って行う場合も多いですし。

一方で、データを作る、維持するには多大のコストが掛かります。
利用者の利便性だけを言うのでなく、作成側にも何らかのメリット(要するにお金)を残しておいてほしいなと思います。そうでないとフリーライドのために努力するみたいになってしまうので。そのうち協力者が。。。

AI化は一つのキーだと思います。コンサル的にやっていると、精度が大体のデータでも、そのとき、それしか世の中にないのだとすれば使います。
データの整備時期もそうで、最新がいいに決まっていますが、最新ばかりを追い求めていては、いつまで経っても数値が確定ができず仕事にならない。年度末で成果を出さないといけない時期は大変です。
でも、特に機械学習(私のよく行っているリモセンの作業なども含む)などはそうですが、元データの諸元、データ作成のロジック、解析精度がはっきりわからないと、仕事で相手に説明ができず、やはり扱いづらい。そこはきちんと開示してほしいなあと思います。

最後に

ここまでご覧いただき、ありがとうございました。
普段は北海道に本拠地を置くNPOに所属し、環境保全を主な題材としてGISやリモセンに関する仕事をしています。

コンサベーションGISコンソーシアムジャパン の活動もその1つです。
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コンサベーションGISコンソーシアムジャパンの活動及びこのnoteでの活動はボランティアで行っているのですが、何分資金が不足しています。
もしサポートしてもいいなという方がいらっしゃいましたら、そちらもよろしくお願いします。
noteの中の人は都内に居るので、お仕事などお声がけいただければと思います。

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