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C01いきなり仕上げのイングランド

1979年のヨーロッパ旅行の最後の目的地は、イギリスのケント州にある小さな村でした。この地にたどり着くまでには色々なドラマがありましたが、まずはフランスの港からイギリスへ向かう夜行フェリーの話から始めましょう。

フランスのシェルブール港を出発したのは、夜も更けてからでした。ギリシャの港同様、埠頭はオレンジ色のナトリウム灯で照らされていました。日本では一般的な白色の水銀灯とは違うので、遠く異国の地にいることを改めて実感しました。出航するまで少し時間がありましたが、乗船可能になるとすぐに船に乗り込みました。シェルブールからサザンプトンへのナイトフェリーは、深夜に出港し、早朝に到着するため、宿泊代を節約できます。ただし、船内の客室を使用すると追加料金がかかるため、外デッキでの野宿を選びました。雨は降っておらず、7月の夜もシェラフで寝れば寒さはそこまで感じませんでした。

明日にはイギリスへの初上陸が控えており、わくわくしていましたが、まずは海に落ちないような場所を見つけて、荷物を置き、寝袋を広げました。特にすることもなく、空を見上げると星が輝いていました。日本のことを久しぶりに思い、最近受け取った長崎の両親からの手紙を思い出しました。さすらいの旅人として固定の住所がないため、日本からの郵便はJALのパリ事務所に送ってもらっていました。

友人たちからの手紙は、渡欧後2ヶ月で来なくなりましたが、家族からは月に一度手紙が届きます。父は新聞の切り抜きを送ってくれ、日本の平和を伝えてくれました。その平和がかえって懐かしさを増すばかりで、少しホームシックになりました。

【補足情報】 シェルブール港からブライトン行きのナイトフェリーは、フランスからイギリスへの重要な交通手段の一つです。このフェリーは、特に夏季には多くの観光客や旅行者に利用され、船内には寝るための客室が設けられていますが、追加料金が発生します。そのため、経済的な旅を心がけるバックパッカーには、外デッキでの野宿が一般的です。このルートは主に夜間に運航され、早朝にイギリスのサザンプトンに到着するため、宿泊費を節約しながら旅をすることができます。

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