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ニッポンの縮図・お正月編 #156

親戚付き合いってまじで気が狂いそうになる。別にそこまで嫌とか嫌いとかっていうことではなく、ただとにかくその間中「気が狂いそうだ……」「これがあと一日続いたら発狂する」「家族全員狂ってるだろ」と思いながら過ごしています。具体的なまじで嫌なこととかはほぼ発生しないし、なんなら行くまではちょっと楽しみだったりもするのだけどいざその場に行くとうおお!これは!狂う!と感じるこの現象に名前がほしいわ。

というのは父方祖母とのご飯会帰りに毎度浮かぶ感想なのですが、今回は元日に行った母方祖父母家のパワーバランスがおもろかったのでその記録をしようと思います。

▼登場人物

祖父
まもなく百歳を迎えるが元気。もちろん薬など飲みつつではあるが、ボケもしない耳も遠くない割としっかり歩ける。元気。社会的地位の高い職業に就いていたこともあり権威的価値観が時々ちらつく。家事は長年祖母に任せていたのでリタイア後もほぼしない。

祖母
専業主婦。腰と脚が悪くなってきて耳も遠くなっているが引き続き家事を懸命にこなしている。娘二人との関係は良いが、息子への甘やかしが酷いと時々責め立てられている。

叔父
祖父母の長男。大手企業に勤めつつ実家暮らしを貫く、姪と甥に優しいおじさん。祖母が何でもやってくれる家で育ち続けたのでほぼ家事は祖母任せである。車の運転や多少の手伝いは行うが、妹二名から見ると「実家にいるくせに何もしない兄」である。


祖父母の長女。祖父(父)に大好きなアイドル雑誌をビリビリに破かれたことがトラウマで一生根に持っている。幼い頃から兄にだけ極端に甘い両親、実家暮らしのくせに大掃除や家電買い替えなどの負担を妹に押し付け続ける兄など、実家のあらゆる点に男尊女卑文化が根付いていることに改めて気付き、全てに対して「いい加減頭にきている」。


社交的でもないし多分居心地悪いだろうに毎年来ていて偉いと思う。

伯母
祖父母の次女。スタンスは母と同様。割と娘二人で結託している。

伯母の夫
お酒が好き。息子との関係が複雑そうな時期があったが過ぎたか?


初孫にあたる。幼い頃は賢い自慢の孫娘担当であった。

従兄弟・兄
伯母の長男。私と同い年。言葉選びに空気の読めなさを感じることが時々あるが、それを差し引いても心優しく真っ直ぐな好青年である。祖父の戦時中の話や祖母の昔話を一生懸命に聞いていて本当に偉い。

従兄弟・兄の妻
可愛らしく朗らか、小柄でとにかく優しそうだが実は誰よりアウトドア派でフルマラソンも走るし雪山登山もする。

従兄弟・弟
この集まりでは最年少。他の男性陣と違い、配膳やお皿下げなど、隅々まで気を回しよく働く。男性陣のなかで唯一、キッチン周りの手伝いをする素晴らしい逸材。誰より心優しい孫なのに一時定職に就いていなかった的なことでサラリーマン男性陣との会話についていきづらそう。


メンバー紹介の特に冒頭の方でだいたい言いたいことは終わってしまったので出来事は適当に。

要は全員の食事の場で「主人や息子含め男性陣に対して気を配り続ける癖が抜けない祖母」が「そろそろお酒を持ってきてあげないと……」「ほらあっちの人達(男性陣)食べ終わってるからそろそろご飯を持ってきようか……」「そろそろデザートを持ってきてあげないと食べるものがないじゃない……」「いちご用のフォークとお皿と練乳も持ってきてあげないと……」と気を揉み続けるのに対し、娘二人である母・叔母が「ママが一番体が辛いんだから!」「何もしなくていい!座ってて!」「酒なんか飲みたいやつが持ってくればいい!」「まだご飯も持ってこなくていい!」「男たち勝手に喋って飲んでるんだからほっとけばいいんだよ!」「いちごなんて手で食べられるだろ!」「練乳はかけたいやつが持ってくればいーんだよ!何で私達が全部やってあげなきゃいけないわけ!?」と祖母の男性陣への気遣いをストッパーのように跳ね除けては再び祖母側から押し返され、謎の攻防が繰り広げられるというお正月でした。

いやーそれにしても根深いよね。祖母からしたら長年の男性への気遣いや奉仕の習慣を突然変えるなんてことは今更できないでしょう。とはいえ母世代からすると、明らかに体が弱っている母親が働き続けるのはおかしいから休ませてやれよという怒りもあるし、一方で息子には気を遣いまくるくせに娘の自分達に対しては「(女だから)兄のために働け」と言われているような気分にもなるだろうから、男性陣にも母親にも別の意味で腹が立つのだろうね。

というニッポンの縮図みたいなお正月を毎年過ごしては、おれももうちょい働かなきゃいけないんだけどなぁ……と申し訳程度に皿洗いぐらいだけして帰るお気楽な孫娘をやっている私でございました。

しかしこれだけ男尊女卑カルチャーが深くありつつも、孫娘の私が勉学で成果を上げることについては全くネガティブな意見をされたことなかったので実際のところ大変ありがたいよね。悠々自適な新世代として育てていただけて本当に良かったわ。



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